ただ事でないロシア軍の損耗率

プーチンのウクライナ侵攻から2か月の4月24日、ウクライナ陸軍が最新統計を出した。戦争では互いに敵の損害を多めに出すものであるが、これまでのロシア側発表はまるでデタラメであることを考慮すると、ウクライナ側発表は信憑性は高いと考えられる。

それによると(画像は英国「デイリー・メイル」紙から)、兵員の死者は21,800人 戦車873両、航空機179機、大砲(牽引式と自走式)408基、ヘリコプター179機、、装甲車2,238両、地対空ミサイル69基、多頭ロケット発射システム147基、兵員輸送車両1557両、無人航空機191機、輸送車76両 軍艦8隻。

「損耗率25%」という試算もある。20%を超えると普通、軍隊としては「負け」である。

いずれにしても甚大な損害である。2月24日の時点で、ロシアの陸軍は28万人ウクライナは12万5600人だった。2週間で制圧という目論見だったようだがあてが外れ、3月下旬にはキエフ近郊から撤退を余儀なくされ、ドンバス東部での攻勢に力を入れざるを得なくなった。

総司令官も任命せず、普通は林に隠れながら進軍するのに戦車を一列縦隊で進ませて米軍貸与の対戦車砲ジャベリンの格好の餌食になった。送られてくる路肩に擱座したおびただしい数の戦車のスクラップを見ると拙劣な攻撃ぶりは明白である。ロシア黒海艦隊の旗艦「モスクワ」はウクライナ自前の地対艦ミサイル「ネプチューン」2発で海の藻屑となった。

ウクライナ海軍は10年前の露軍のクリミア半島侵攻でセヴァストポリ軍港から追い出されオデッサ軍港に押し込められていたが、すべての艦船を入り口に自沈させた。自軍も出られないが、ロシア軍も揚陸艦から兵隊を上陸させられない作戦である。「ネプチューン」の射程距離2キロ以内にノコノコと旗艦を進めたミスは明らかで、今頃になって黒海艦隊司令官を逮捕したところで追いつかない。

専門家によれば、この戦争は「第2段階」に入った。すなわちロシアがドネツクとルハンスクのドンバス地域の領土を奪取し、南部のマリウポリを廃墟にしてもこれまで海路でしかクリミアのセヴァストポリ軍港に兵站路がなかったものを、陸路でつなげようとする試みだ。いずれ停戦交渉に入るだろうが、そのとき、両軍の占領地図を基に交渉されるのが戦争の基本だからだ。

しかし、これは容易ではない。たしかにマリウポリ市街は破壊されているが、最後は陸上部隊が入るしかない。今のように、親露地区からロケットで攻撃するだけでは容易に陥ちるものではない。ロシア軍は当初ウクライナ全土の掌握を目指していたがもはやその意図は無理筋だ。なぜなら専門家の見るところ「ウクライナ全土を掌握し全人口を支配するために必要なロシア兵の数は100万人近くになる」(キングス・カレッジ・ロンドン戦争学部のマイケル・クラーク客員教授)。キーウを撤退した今、ロシア軍にできる最善の策は親露地区の独立とクリミア半島への南部の兵站ルートを確保することである。

侵攻2か月での甚大な損耗は何を物語るか。

プーチンの「終わりの始まり」と言われるが、問題はその「終わり方」である。プーチンはソ連時代の秘密警察「KGB」(カー・ゲー・ベー)出身のスパイである。ところがロシア軍より上に位置するその親衛隊と最近ミゾが深まっているという。何十人か粛清されたという噂もある。先月、ロシア軍幹部と「異常に長いテーブル」を挟んで会談している写真があった。「コロナ対策」というのが公式の発表だったが、あれは暗殺を恐れてのことだという説が出回った。警備の厳重なクレムリンでもし持ち込めるとしても拳銃が精一杯である。20メートルも離れていては拳銃の弾はたいていそれるという。

暗殺はロシアの常套手段である。反プーチンで毒殺されかけた反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏(45)は、「ロシアは臆病者の国であるべきではない。狂った皇帝をひきずり下ろすため、すべての人々に街頭に出て、平和のために闘うよう要請する」と獄中から呼びかけているが、この戦争を止める最良の方策はプーチンを大統領の座から追い出すことである。

もう一つの方策は病気である。先日、ジョイグ国防相とのサシの会談が公開されたが、その動画では異常な仕草から病気、パーキンソン病の進行が指摘されている。

露大統領府が公表した約12分間の動画では、プーチンはショイグと着席で会談を始めた直後から、右手でテーブルの端を(白く見えるほど)強く握り、最後まで離すことはほとんどなかった。また足を小刻みに揺らしていた。一方、ショイグ国防相も心臓発作を起こしたあともあまり調子が良くないようで、言葉にハリがなくひたすrらメモを読み上げるばかり。ビデオを見た専門家も「プーチンとショイグ双方とも『落ち込んでいて、健康状態が悪そうだ』」と述べている。

この場でプーチンは「ロシアはマリウポルを解放したと主張し、ジョイグに対し反抗的なウクライナ人が立てこもるアゾフスタン製鉄所を、ハエ一匹通れないように封鎖するよう」猛烈に命令していた。言葉は激烈だが、映像からはプーチンの姿勢の悪さ、明らかに肥大化した顔と首について、最近低下しているとされる彼の健康について憶測を呼んだ。

テキサス工科大学のボディランゲージ専門家、エリック・ビュシー教授はサン・オンラインに、「数年前にも観察したプーチンと比べると、驚くほど弱体化している。健常な大統領なら、テコのために手を差し出して体を支えている必要はなく、両足を地面につけていることに気を使うこともないだろう。小さな会議テーブルでかろうじて直立しているように見えるプーチンの肖像だ」という。

プーチンの膨れた顔と首は、ステロイド治療を受けているという観測を裏付ける。プーチンは甲状腺癌を専門とする医師と「常に」一緒にいるとの報道もある。モスクワの中央臨床病院の外科医エフゲニー・セリバノフは、黒海のリゾート地ソチにいるロシアの指導者のもとへ35回以上も飛行機で訪れている。セリバノフ医師には、「高齢者甲状腺癌の診断と外科的治療の特殊性」という論文がある。

 英国の元国会議員はSNSで「プーチン氏はパーキンソン病を患っている。テーブルを握っていたのは右手の震えを抑えようとしていたからだ」との見方を示した。

 露独立系メディア「プロエクト」は1日、プーチン氏が甲状腺の病気を抱えている可能性を報じた。体調悪化がウクライナ侵攻を巡る判断に影響しているとの見方もある。

ロシア軍の士気の低さ、兵器の常識を超える損耗率、秘密警察への粛清、艦隊司令長官の拘束‥この戦争は今後数ヶ月から数年続くとの見方が出ている。しかし、ブログ子はロシアの内部崩壊に期待する。

ロシア旗艦「モスクワ」炎上写真からわかること

ロシア海軍黒海艦隊旗艦のミサイル巡洋艦「モスクワ」(約1万2500トン)がウクライナの開発した地対艦巡航ミサイル(ネプチューン)2発によって撃沈される直前の写真をウクライナ高官がオンライン上で公開した。

ロシア軍は撃沈と認めず「艦内で火災が発生、弾薬が爆発したため母港に曳航中に荒波で浸水、沈没した。乗組員は全員退避して人的損害はなし」と発表した。しかし、その後沈みゆく「モスクワ」の写真が公表されると、ことごとくウソであることが明白になってきた。

写真左側が「モスクワ」の前部。左舷喫水線近くに穴があいていることがわかる。右舷奥に放水する救助船、ヘリ格納庫が開いていること、艦橋下の救命ボートが無くなっている。

写真から読み取れることについて軍事専門家などはこう見ている。

BBCが海軍の専門家3人に動画と画像を見せて見解を求めたところ、撮影された画像は日中であることから、ウクライナが巡洋艦「モスクワ」を攻撃したと主張する日の翌日、4月14日に撮影されたもので、損傷がミサイル攻撃のものと一致するように見えるとの共通の見解を得られた。

また、画像からは海は穏やかで、ロシア側の発表のような「弾薬の爆発で艦体が損傷し、その後荒れた海が原因で沈没した」のではないことがわかる。救助艇から撮影されたとみられる3秒間の動画では、艦艇が左側に大きく傾いている。艦艇の右隣には、ロシアのものとみられるタグボート1隻が確認できる。艦艇からは黒煙が立ち上り、乾舷(船の中央部で、満載喫水線から上甲板の舷側までの高さ)の一部は大きく破損している。乾舷のほかの部分にも複数の穴が開いていて相当量の海水が流れ込んでいたことを示唆している。

船の左側の喫水線付近の損傷、左側面の煙と火災の被害、救命ボートの欠損、ヘリコプター・ベイの開いたドアなどが写っており、すでに積載のヘリが離陸したことがわかる。また、救助船が被災船の後方に見え、ジェット水流を噴射している。

「左舷の煙の跡は喫水線に近くにあるように見える。ネプチューンの特徴だと報告されているシースキミング(超低空飛行)が可能なミサイルによる損傷である事を示している」

「船の側面がかなりギザギザに内側に破裂しているのがわかる。艦内での爆発なら、内側ではなく、外側にめっきが突き出しているはずだ。これは(ミサイルの)貫通とその後に爆発があったことを示唆している。1発あるいは2発のミサイルが命中したのは間違いない」

もう一人の北大西洋条約機構(NATO)の司令官でもあった人は「大きな煙が上がったのは、ミサイル攻撃により艦内に保管されていたミサイルに穴が開き、甲板に沿って燃料が漏れて壊滅的な火災が起きたためだ。甲板が完全に変形し、船全体が燃え尽きているように見える。燃料が甲板に沿って船尾の方まで流れたのだろう」

英王立防衛安全保障研究所(RUSI)の軍事専門家、はBBCに対し、「対空砲の弾薬が積まれていた場所で火災の被害が見られる。最初の攻撃で発生した火災によって、対空砲の弾薬に火が付いたというのが、1つの有力な仮説だ」

また日本側の専門家の見方でも概ね一致する。元産経新聞ロンドン支局長、木村正人氏が香田洋二・元海上自衛隊自衛艦隊司令官にインタビューしたところでも(JBpress)、同様にロシア軍完敗の解析がされている。

(以下、香田氏の見方)
 ロシア側は最初、モスクワで火災が発生し弾薬が爆発したと説明したが、軍艦の特性上あり得ない話だと思った。ウクライナ側の対艦ミサイルによる攻撃だと予測できた。軍艦は基本的に武器と燃料と弾薬のかたまりで、その間に人間が寝泊まりしている。このため最大の危険物である搭載弾薬類には二重、三重の安全措置と装備が準備されている。

 戦闘被害ではなく通常の状態で火災が起きた時は、弾薬庫に二酸化炭素を充満させたり、普通のビルの約50倍の密度で設置しているスプリンクラーを作動させたり、最後の手段としてミサイル区画に海水を張ったりして爆発を防ぐ仕組みになっている。

 モスクワは両側に「SS-N-12(西側の識別番号)」という対艦ミサイルを8基ずつ甲板上にむき出して積んでいる。これは弾薬庫での保管とは異なるので海水の漲水などは困難であるが、火災の際には外部から大量散水して冷却するのが鉄則だ。戦闘以外の火災で爆発することは、乗員の拙劣な防火活動など極まれなケースを除きまずあり得ない。

 逆に、対艦ミサイルの命中による被害の際は、このような安全機構の全部または一部が作動不能となり、その結果、搭載ミサイルや弾薬の誘爆に至ることが多い。12時間後にモスクワが沈没したことを考えると、ミサイルの誘爆と二次被害による船体の破損がもたらした浸水という事態の公算が高く、ほぼ確実にウクライナの対艦ミサイルによる攻撃だ。

 ウクライナ海軍は2月24日にロシア軍の攻撃が始まった時に大型の戦闘艦をすべて自沈させた。軍港を占領された場合、ロシア軍が自国の戦闘艦を無傷で使う事態を阻止するためであった。これによりロシア軍は労せず黒海の制海権を獲得した。ロシア海軍がいまやっている任務は二つある。一つはウクライナ南東部の陸上戦闘を支援するための艦砲射撃とウクライナの地上目標に軍艦から巡航ミサイルを撃ち込む対地作戦だ。

 もう一つの任務は輸送だ。首都キーウ(キエフ)や北西部の作戦が上手くいかなかった理由の一つに、橋を破壊されたり、途中で待ち伏せ攻撃をされたりしてロジスティックラインをウクライナに切られたことがある。

 10トントラックで1万トンの燃料を運ぼうとすると1000台いる。海上輸送ならクリミアから一気に半日で運べる。しかも制海権をとっているから陸上のようなウクライナ軍の妨害がない。キーウ撤退以後の主正面となり戦闘が日々激化している南東部の戦線ではロジの支援ルートとして陸上に加えて海上が安全に使えた。

 しかし今回陸上から対艦ミサイルが撃たれ、モスクワが撃沈されたことで、ロシア軍としてはウクライナ軍の対艦攻撃能力を無力化する必要に迫られている。そのあとでないと安心して海上輸送できない。このことが陸上戦闘に相当大きな影響を与える。

 ロシアの目論見は大きく崩れた。いくらいい装備で訓練が行き届いていても燃料、弾薬、食料がないと軍隊は戦えない。その流れが悪くなる。モスクワ撃沈は軽視できないというレベル以上の影響を与える。

 巡航ミサイル防衛は対空戦の中で一番難しい。ロシア海軍からすると黒海にはそれほど強敵はいないので、黒海艦隊の装備も一世代前、訓練の程度も、乗員の戦闘に際しての心構えも十分ではなかったのではないか。

 これはロシア海軍の杜撰さ、甘さによるところが大きい。敵国の海岸に近づく時は陸上発射型の対艦ミサイルが非常に大きな脅威になるので、まず入念な事前攻撃により対艦ミサイルや対空ミサイルのような主防衛システムを潰してから近づくのが鉄則である。

 それをしなかったのは、ウクライナ軍の能力をなめてかかったか、そういう情報がなかったか、あるいは作戦の基本ができていなかったかだ。アメリカのやり方できちんと訓練をしている日本や西側の標準から言うと、そんな作戦は立てない。

 4月に入ってから軍事作戦を統括する総司令官をようやく任命したのには驚愕した。陸軍だけでも15万から20万人という大部隊を動かすのに1人の総大将もいないというのは近代戦では考えられない。

 ロシア軍がウクライナ軍をなめきって、そもそも総司令官はいらないと考えていたのか、そこは不明であり、このことのみでロシア軍を過小評価するつもりはないが、ウクライナ侵略戦争に投入されたロシア軍は近代戦を戦う資格さえないと言われても反論さえできない。

 サイバー攻撃で最初にウクライナ軍の神経系を断ち切って戦闘意欲のないウクライナ兵をロシア軍の量で一気に蹴散らせば100時間で終わると高を括って戦争を始めたのか、とさえ思わざるを得ない。

 失敗の条件はすべてそろっていた。「キーウ作戦でロシア軍は2割の被害を受けた」と米国防総省が発表した。これは「2割しか損害を受けていない」ではなく「2割も損害を受けた」と理解すべき事態である。キーウや北西部の戦いの問題点は少しも改善されていない。

 2014年はウクライナ軍の準備が全くできていなくて赤子の手をひねるようにクリミアを併合できたが、今回はNATOもウクライナ軍も、短く見て昨年秋から、長く見ると14年以降、準備していた。

 それに対して総大将も置かずに戦争を始めるとは、ロシア軍は近代戦を理解していないというか、杜撰としか言いようがない。プーチン大統領は対独戦勝記念日の5月9日までに決着をつけたいと考えているようだが、無理だろう。

衝撃!!ロシア黒海艦隊の旗艦「モスクワ」の撃沈

 現地時間4月14日(日本時間4月15日)、ロシア海軍黒海艦隊の旗艦スラヴァ級ロケット巡洋艦「モスクワ」がウクライナ軍の地対艦ミサイルで撃沈されたニュースは衝撃だった。

、ロシア国防省の発表では、「モスクワ」は前日に爆発炎上し総員退艦、その後まだ浮いていたのでセヴァストポリ港に戻ろうと曳航中に悪天候で浸水、沈没したというが、これは明らかにウソである。ウクライナ側の地対艦ミサイル「ネプチューン」2発により船腹に穴が空き、退艦の間もなく、沈没した模様だ。まだ未確認だが艦長以下殆どの乗組員が艦と運命をともにしたという情報がある。

例えて言うなら日本海海戦で旗艦「三笠」が撃沈され、東郷平八郎・連合艦隊司令長官以下全乗組員が死んだというに等しい損害だ。加えて「モスクワ」はオデッサなどウクライナ南部の制空権を握っていた広域防空艦だった。長射程の対空ミサイルを持ち、この地域の制空権を握っていただけに、その損害の大きさは計り知れない。ウクライナ空軍は南部での行動の制約が大きく解かれたことになる。もうひとつ、これでロシア軍は揚陸艦隊を出してオデッサなどでの上陸作戦を行うことがほぼできなくなった。地対艦ミサイルの威力を知ったからである。

ウクライナ側の発表では乗員510人全員が死亡したと主張する。これを裏付けるロシア側の動きが伝えられている。「モスクワ」の母港であるセヴァストポリで「モスクワ」の乗組員の「追悼式」が行われ、供えられた花輪には、「船と船員に捧ぐ」と書かれた献辞が読み取れる。全員死亡かどうかは別にしてかなりの犠牲者が出たことは明らかなようだ。

しかも、犠牲者には艦長のアントン・クプリンも含まれるという。ロシア国防省が「全員退艦したあと、木曜日の夜に船内の火災が原因で沈没した」とするが、虚偽である可能性が高い。

「全員退艦、曳航中に荒波で‥」というロシア国防省発表がウソ臭い理由は「モスクワ」を撃沈したウクライナの地対艦ミサイル「ネプチューン」の特性からも読み取れる。「ネプチューン」は亜音速の対艦ミサイルで、アメリカ軍のハープーン対艦ミサイルやロシア軍のKh-35対艦ミサイルとよく似た性能を保つ。ウクライナ国産の新兵器で少し前に生産に入ったばかりで、最初の1個大隊の編成完了が4月の予定だったので、ぎりぎりでロシアとの戦争に間に合った兵器だ。

攻撃はトルコ製バイラクタルTB2無人偵察攻撃機などでまず洋上索敵を行い目標艦を発見したらネプチューン地対艦ミサイルで攻撃するという手順で、ウクライナ側の発表ではオデッサの海岸近くからセヴァストポリ沖に遊弋中の「モスクワ」に発射された。発射機は4連装で海面すれすれに飛び、目標艦の喫水線近くを破壊する。命中すれば直ちに浸水するから、ロシア側が言うような退避や母港に曳航中などの余裕はなかなか取れないものなのだ。

「モスクワ」をめぐるもう一つの話題がある。ウクライナ侵攻が始まった2月24日、巡洋艦「モスクワ」は黒海に浮かぶウクライナ領のズミイヌイ島(スネーク島)を攻撃し、駐留する国境警備隊員に降伏を促した。すると兵士は「ロシアの軍艦よ、くたばれ」と降伏勧告を拒否した。攻撃で全員死亡したとみられていたが隊員らは生存が確認され、3月24日に捕虜交換で解放されていた。

この国境警備隊員の勇敢な姿はウクライナ国内で称賛を集めたが、国境警備隊員が叫んだ通り、「くたばった」のは「モスクワ」の方だった。ウクライナ郵便局は、急遽、巡洋艦「モスクワ」に中指を突き立てる姿を描いた切手を100万枚印刷発売した。英BBCは14日、「モスクワ」が沈没したというニュースを受けて、ウクライナ国内の郵便局に行列ができていると伝えた。

またこの台詞を吐いた兵士、ロマン・グリボフ氏は捕虜交換で釈放されたあと、故郷のチェルカースィ州に戻っていたが、急遽チェルカースィ州知事の表彰を受けることになり州庁舎でメダルを授与された。

表彰式の動画では知事と握手を交わしたあと「ウクライナの人々の支援に心から感謝します。私たちは、みなさんの支援に勇気づけられています。強さと正義は私たちの側にあります」と述べている(写真右)。

また「ロシアの軍艦よ、くたばれ」というグリボフのセリフは、ウクライナの抵抗を象徴するフレーズとして全国に広まっているという。

戦争の有り様を変えた

国と国との戦争というのは、人類はベトナム戦争以降知らない。パレスチナやアフガンがあるではないかと言われるかもしれないが、あれは「紛争」である。

次世代の戦争はIT戦でドローンやロボットが主役だと言われるが、それは漫画の世界である。しかし、それに近いものになる予兆のようなものがウクライナで見られる。ブログ子はその代表的な礼を「ブチャの虐殺」の中でみた。

前回、「ブチャ惨劇に目をそらすな」であえて遺体の写真を紹介した。その中で 「自転車の近くで倒れていた赤いマニキュアを付けた女性」の遺体があった。ロシア軍が撤退したあと現地に入ったウクライナ軍が遺体一つ一つを検証してロシア軍の戦争犯罪として記録している。

目撃者の証言で、彼女は今月、53歳の誕生日を迎えるはずだったイリーナ・フィルキナさんだとわかった。彼女は今年からメイクアップの勉強を始めた。インスタグラムへの投稿やコンサートでどんなファッションをするかを楽しみにしていた。

そのネイルが確認の手がかりになったのはなんとも悲しいが、彼女は育て上げた2人の娘をポーランドに逃し、自分はブチャに残って住民やウクライナ軍のために料理をしていた。

さらに驚くことに、彼女が虐殺される瞬間はドローンでしっかり記録されていた。写真でイリーナさん(右側の赤丸)が自転車を漕いでゆっくり進んで来て角を曲がった途端、ロシア軍の戦車が火を吹く(左の赤丸)ところが捉えられている。戦車には直射砲と機銃が備えられているが、吹き出す噴煙の量が機銃にしては大量であるがこの動画からはわからない。

同時にロシア軍の戦車の兵士が「やったぜー!」と叫んでいるのが録音されている。戦車隊は普通は、目標物を捉えた隊長が射撃命令を出す。ロシア軍の命令系統が乱れていて、戦車の軍用無線が使えなくて兵士がケイタイでやり取りしていて、これがIT先進国のウクライナ軍に傍受されているという報告はかねてから伝えられているが、それを証明するようないい加減さである。

この発砲した戦車はT-72B3Mといい、1972(昭和47)年から旧ソ連陸軍に配備が開始されたT-72戦車の改良型。古いが105mmライフル砲よりも強力な125mm滑腔砲を装備し、鋼鉄にセラミックやガラス繊維などを挟み込んで強度を高めた複合装甲を車体前面に採用するなど、極めて優秀な戦車だが、今回ウクライナ軍にやられまくっている。開戦から1か月間で撃破されたロシア陸軍の戦車の総数が109両で、うち25%強にあたる28両がこのT-72B3Mである。

ロシア軍は侵攻から1ヶ月で4000台以上の軍用車両を失った。中でも戦車の損害は大きく、配備の15%ー20%を失ったと推定されている。西側によりウクライナ軍に供与された携行式対戦車ミサイル「ジャベリン」の威力というのもあるが、軍事大国、ロシアにしてはただごとでない損害だ。なぜか、このことに就いては後日また書く機会があるだろう。

昨9日ロシア紙が報じるところでは、
アレクサンダー・ベスパロフ大佐の葬儀は金曜日にロシアの閉鎖都市オゼルスクで行われ、彼は「ウクライナでの特別軍事作戦中(これは、モスクワが「戦争」という言葉を避けるために使う用語)に殺されたという。ベスパロフは第59親衛戦車連隊の司令官だった。

ロシア軍の戦車隊の指揮官の死亡は9人目である。これまた異常な数字である。

ブチャ惨劇に目をそらすな

劣勢にさらされているロシア軍が首都キーフから撤退、東南部のマリウポリへ戦力を振り向けた。そのあとにウクライナ軍とメディアが入ったが目にしたのはロシア軍の虐殺の惨状だった。

首都キーウ近郊ブチャに入った記者の報道の一部を抜き出しただけでもーーーーー・

「道のあらゆる場所に、遺体が横たわっていた。建物の地下室では体の一部が切断され、拷問されたとみられる子供の遺体も」」

「解放のうれしさは感じない。あるのは犠牲者への悲しみだけだ」

「ある人は自転車に乗ったまま横倒れに、またある人は買い物袋を握りしめ路上で息絶えていた。橋には対戦車用の地雷が散らばり、舗装道には不発弾が突き刺さる。別の村では1日の捜索で1500超の爆発物が見つかった」

英紙サンデー・タイムズによると、領土防衛隊としてキーウ近郊の警備に当たる庭師のトロビクさん(53)は、「ここは地雷だらけだ。家の中も、庭も、道も。別荘地の地下室で18人の遺体を目にした。(ロシア軍は)拷問していたんだ。一部は耳が切り取られ、ほかは歯が抜かれていた。14歳くらいの子供の遺体もあった」

ブチャに入ったAFP通信の記者は、「静かな並木道に、見渡す限り遺体が散乱していた」と表現した。記者が確認した約20人の遺体は、いずれもジーンズやスニーカーなどを身に着けており、軍人には見えない服装だったという。

 犠牲者の多くは18~60歳の男性だとの情報もある。撤退決定を受けて露軍が組織的に住民を殺害したとも考えられる。露軍部隊が遺体や民家に地雷を仕掛けているとされ、民間人被害の全容把握には時間がかかりそうだ。

 ウクライナのゼレンスキー大統領は3日、米CBSニュースのインタビューで、「ジェノサイド(集団殺害)だ。ウクライナの国と国民全体を抹殺しようとしている」と強く非難した。

◇ ◇ ◇

報道の多くは虐殺の明白な証拠写真だというのに、画像にモザイクを掛けたり、遺体に毛布をかけたあとの画像にしたり、手を加えている。特に日本のメディアはこうした写真をいっさい使わない。

ブログ子はこれは人道に名を借りた「報道犯罪」だと断言する。新人記者で地方支局にいた時、一日に一度は死体を見た。多くは遺体の写真を撮った。交通事故、殺人事件、変死、鉄道自殺‥吐き気をもよおしたこともある。だが、そのうち情けないことに慣れて素手で触ることもあった。当時から紙面に遺体の写真を載せることはあまりなかったが、いまは、例え残酷に見えても載せるべきだと思っている。なぜなら、遺体写真は多くのことを伝えているからだ。

後ろ手に縛られて射殺された遺体。明らかに虐殺のあとだ。

犬を連れて散歩中だったのだろう。道端に横たわる人。犬がロープで繋がられたままそばにいるところを見ると、ロシア軍はブチャ撤退の直前に民間人を射殺したものと思われる。

「こども」とロシア語で書かれた車も蜂の巣にされ中にいたこどもが複数殺害されていた。

この女性はロシア軍が撤退する時いきなり射殺された、と目撃者は語る。

目撃者によるとこの人は自転車で側道を通っていていきなり射殺された。

ウクライナ戦争で脳内お花畑論義の者ども

終戦時、6歳だった。8月15日は山形県米沢市で疎開先の母の実家で迎えた。朝から人夫が庭の築山に防空壕を掘り始め、昼の詔勅を聞いて午後から埋め戻していた。食糧難もほとんど知らない幸せな「戦争を知らない世代」だ。だが、新聞記者としてその後「戦争」についていささか勉強したせいで、残念ながら結局、世界は「力」が支配している事を知っている。

ロシア・ウクライナ戦争の深刻な写真を見るたびに悲惨さに涙が出る思いでいる。しかし、今や「戦争を知らない世代」が大半の日本人の頓珍漢、能天気かつ歴史に無知な議論の横行に暗澹、落胆、の思いである。

呆れる議論の筆頭は、「侵略者が来たら降伏しよう」論である。橋下徹元大阪府知事とテレビ朝日のコメンテーター玉川徹がその筆頭株である。

橋下徹は、最初ロシアが侵略してきたときは「命が大事だからみんな逃げて20年後に戻ってこい」といい、それが批判を浴びると「ウクライナ政府が早く降伏しろ」といい始めた。それでは侵略したロシアが得すると批判されると「NATOが軍事介入しろ」と言い始め、それが核戦争の原因になると批判されると、今度は一転して「ウクライナもNATOも譲歩してロシアと話し合いしろ」と言い出した。今でも「降伏と政治的妥結は異なる。戦闘によって終結を目指すのか、政治によって終結を目指すのかだ。この恐怖心を戦闘によって払拭するなら、一般市民の被害がどれだけ出ても戦い続けるしかなくなる。生き残るチャンスがあるならそれを無闇に棄てるべきではない」と言う。山本夏彦は弁護士を「三百代言」といったものだ。そのとおりだ。

テレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」で玉川徹は、「ウクライナが退く以外に、市民の死者が増えていくのを止められない。死者が増えないようにすることも指導者の大きな責任」と、太平洋戦争で降伏を拒んだ日本軍まで引き合いに出してまくし立てた。

降伏は祖国の喪失を意味する。国土と時には国語を失うことが即「亡国」であることの意味がこの2人には理解できない。テレビで見たが、西部の国境まで妻子を送り届け、涙しながらウクライナの戦場に戻る男性の姿に心打たれた。この2人には今や無意味でしかない憲法9条が刷り込まれているのだろう。、民族や国家の独立、尊厳、自由を守ること。そのために個人も命をかけて戦うことが如何に尊い行為か、いまウクライナ人に学ぶべきときである。

過剰な「安全神話」を振り回すテレビもある。元NHKで今ニュース番組「news zero」(日本テレビ系)のキャスターを努める有働由美子アナがキーウにいるジャーナリストと結んで中継していたとき、そのジャーナリストが「空襲警報が鳴っていますね。聞こえますか? これ空襲警報です」と落ち着いた様子で話すと、有働アナは「すぐに逃げてください! 中継は後でしましょう」と打ち切った。

戦争取材はジャーナリスト一番の出番である。しかし命の危険がある。現場ではそれなりの安全を確保して行動している。この場面でも「大丈夫です。そういう状況ではない」と言っていたから、安全と判断してのことだ。なのに、遥か離れた日本の感覚で「逃げましょう」では、なんのための中継か笑い草だろう。

ロシア通でなる日本維新の会の鈴木宗男参院議員は「ウクライナが東部で数機のドローンを使ったことがプーチンを挑発した。(侵攻前に)話し合いを断ったのはウクライナのゼレンスキー大統領だ。原因をつくった側にも責任がある」と主張する。戦争となると「どっちもどっちだ」という手合が出てくるものだが、一方的に9万の軍隊で侵攻してきたロシアにこの論法はなかろう。こんな人物が北方領土問題でロシア通顔されたのではたまったものではない。

元新潟県知事の米山隆一と結婚した作家の室井佑月は、「わけの分からぬ夫婦」と呼ばれるが、ロシアの核使用の可能性と福島第一原発を結びつけて「読売新聞には、ウクライナ情勢の悪化に伴うエネルギー価格高騰を受け、与野党から原子力発電所の再稼働を求める声が高まっている、と書かれていた。人はどうしてこうも愚かなんだろう」と書く。先日、東京電力管内はブラックアウト寸前までいった。原発はEUも安全・安価と舵を切った。まともに考えればそうなるべきなのに、それがわからないとは愚かな人間はこの人のほうだろう。

愚かといえばルーピー・鳩山由紀夫元首相が23日、自身のツイッターをで「ウクライナのゼレンスキー大統領が国会で演説すると言う。私は訊きたい。なぜ彼はロシアの侵攻を止める外交努力をしなかったのか。熱狂の先に平和はない。今、日本人に必要なのは、誰を支持する、しないと叫ぶことではなく冷静になることである。そして、如何にして平和を創るかに協力することである」と大言壮語した。侵略された方に何の外交努力もしなかった、とは呆れる。

ゼレンスキー大統領の演説に猛反対した珍種が2人いる。

ジャーナリストの鳥越俊太郎はツイッターで「私はゼレンスキーに国会演説のチャンスを与えるのには反対する! どんなに美しい言葉を使っても所詮紛争の一方当事者だ。台湾有事では台湾総統に国会でスピーチさせるのか?アメリカ議会でremember Pearl Harborなら日本の国会ではremember Hiroshima & Nagasakiでしょう! それ以外にはない! そこを外したら奴は単なるアホだ!」

 立憲民主党の泉健太代表は「私は日本の国民と国益を守りたい。だから国会演説の前に『首脳会談・共同声明』が絶対条件だ。演説内容もあくまで両国合意の範囲にすべき。それが当然だ」

 演説内容について事前に合意を形成すべきだとする主張には「誰かと打ち合わせてのんびりやるようなことではない。普通の国が平時に国会で演説したいと言ってるのとは、わけが違う。死に物狂いで世界に訴えているのだ」と、党内からも批判の声があがると、翌日、「演説自体に反対したわけではない」と釈明した。

2人ともわけが分からぬ点で共通している。来たるべく参院選の結果が予想される口説の途だ。

. ロシアとウクライナは「どっちもどっちだ」という、ガキの喧嘩で両成敗論をひけらかす輩もいる。
代表的なのは、れいわ新選組で「国際紛争を解決する手段として武力の行使と威嚇を永久に放棄した日本の行うべきは、ロシアとウクライナどちらの側にも立たず、あくまで中立の立場から今回の戦争の即時停戦を呼びかけ和平交渉のテーブルを提供することである」(談話)

これはまず憲法解釈が間違っている。憲法第9条に定める「戦争の放棄」は、侵略戦争の放棄を定めるもので、すべての武力行使を禁止するものではない。話し合いで解決するぐらいなら、最初から戦争は起こらない。そんなきれいごとでは、国際紛争は解決しない。しかしきれいごとで済ますのが日本のテレビだ。

『サンデー・ジャポン』(TBS系)で杉村太蔵、爆笑問題・太田光はこういう。

杉村「『ウクライナ可哀想だな』『ウクライナ頑張れ』って世論になってますよね?」「ただ、ちょっとやっぱ冷静に考えなきゃいけない。戦争をしてる片方に加担するってのが本当に日本の外交に正しいのか?」などと疑問を呈すると

太田「本当に僕もそう思う。『圧倒的な正義』ってのは無いんじゃないかってことですよね。プーチンは悪ですよ、僕らから見たらね、ただ、プーチンの中にも彼なりの正義がある」

生きるか死ぬかの戦いをしているウクライナにこのお茶の間談義である。ブログ子はかねてから、テレビのワイドショーから三百代言の弁護士と、お笑いとか芸能人のキャスター・コメンテーターを外せ、と言っている。とりわけ、ウクライナ・ロシア戦争の今は軍事記者、軍事専門家、とくに防衛省で参謀本部的部署に就いていた人物しか要らない。

3月28日の産経新聞で元官房副長官・松井孝治が語っていた。
「平和、独立、自由という価値のうちで、日本は戦争で平和を喪失した経験はあるが、独立や自由を失った歴史的記憶が(GHQの平和的な占領の短期間を除けば)ない。世界史上の多くの異民族支配と比較すれば、日本は穏やかだったといえるが、それでも日本が味わった様々な悲劇や屈辱は少なくはなかった。そのことを考えれば、国民の生命を守るとともに、民族や国家の独立、尊厳、自由を守ることがもっと重視されてしかるべきではないか」

まったく、同感である。

プーチンの「終わり」の兆候が次々と

プーチンがウクライナに侵攻してあと1週間ほどで1ヶ月になる。全ロシア軍の90%を動員して2週間ほどで一気に勝敗を決するつもりだったのが、とてつもない誤算でもたついた結果、逆にプーチンが窮地に陥っているのが明白になってきた。侵攻は「終わりの始まり」と書いたが、そのとおりになってきた。

衝撃のシーンを見た。ロシア国営の「第1チャンネル」で14日夜、ニュース番組の放送中に、キャスターがニュースを読み上げていたところ、女性が紙を掲げて突然現れ、「戦争をやめて。プロパガンダを信じないで」などと書かれた紙を持った女性がスタジオに登場する場面があった。

画面はあわてて別の映像に切り替わったが、この場面はしっかりと世界に流れて衝撃が広がった。国営メディアにも反対の声があることがあらわになったからだ。タス通信によると、女性は同チャンネルの編集担当者で、警察署で取り調べを受けている。ウクライナ南部オデッサの出身という。この女性が事前に撮影したとみられる動画では、父親がウクライナ人、母親がロシア人と明かして「今ウクライナで起きていることは犯罪だ」などとウクライナ侵攻を批判していた。

一方、ロシアの独立系メディア「メドゥーザ」は13日までに、プーチン大統領に侵攻前のウクライナ政治情勢を報告していた連邦保安局(FSB)の対外諜報部門トップ、セルゲイ・ベセダ氏が自宅軟禁に置かれたと伝えた。侵攻が計画通りに進まないための「懲罰」だとみられている。

FSBの前身は泣く子も黙る諜報機関KGB(ロシア語でカー・ゲー・ベー)で2004年以降18年間、ウクライナを含む旧ソ連圏での全諜報活動を担ってきたが、ベセダ氏らはプーチン氏を怒らせないように聞きたいことばかりを報告していたが、侵攻開始から約2週間が経過し、プーチン氏がようやく「誤り」に気付いたという。

いまや全世界の90%がウクライナ支持に回っている、ロシアを支持しているのは中国(控えめだが)、ベラルーシ、北朝鮮くらいのものだ。ウクライナ難民は1000万人になるという予測もある。日本も受け入れを決めたが、難民生活もそれほ長くならないで母国に戻ることができるとブログ子は思う。

翻って、毎日放送されるテレビのワイドショーのお気楽なことはどうしたものか。さっきまでコロナを「解説」していたコメンテーターが手を返して「ウクライナ」を語るというのはあまりにひどかろう。

難民の窮状にお涙頂戴式のコメントは要らない。クラウゼヴィッツの「戦争論」を読んでからコメントしろとまでは過大要求しないが、口喧嘩の末、戦争状態になった今は双方の軍事力や武器知識などに通じた軍事記者や参謀関係にいた防衛省OB、単なる軍事オタクでない軍事評論家に出番を回してもらいたい。

クラウゼヴィッツは2世紀も以前の人だがブログ子が覚えているのは「戦争は契約である」という一言だ。外交で決着できなくて戦争になった場合、負けた方は勝者側の要求を呑むとい「契約」であるというものだ。「戦争とは政治の継続である」というのもある。

メデイアは「侵攻」と表現しているが、ロシアがとっている戦術は、クラウゼヴィッツの言うところの「侵略」である。侵略とは、占領と異なり、その領域を長く保持する意図はなく、単に疲弊させることを目的として行われる。ザポリッジャ原発の占拠もその一つである。重要インフラを押さえ、主要都市を押さえ、そして首都を押さえることで、ウクライナ政府や国民の抵抗を抑え、戦意を喪失させようとしているわけである

長くなるので止めるが、戦争の勝敗は外的要因と内的要因で決着するものだが、上で紹介した片々としたニュースではあるが、ロシア敗北への一歩であると、ブログ子は考える。

この項をアップしてから、彼女の名前はマリーナ・オフシャンニコワさんといい、事前に用意していたビデオメッセージの内容がわかった。

◇  ◇  

今ウクライナで起きていることは犯罪だ。そしてロシアは侵略国家だ。その侵略の責任は、プーチン大統領にある。私の父はウクライナ人で、母はロシア人だ。これまで一度も敵対したことはない。(ロシアとウクライナの国旗の色があしらわれた)私の首にかかるネックレスは、ロシアが今すぐに、同胞を殺す戦争を止めねばならないという象徴だ。私たち兄弟国は、まだ和解ができるはずだ。

残念ながら、私は過去何年もの間「第1チャンネル」で働き、クレムリンのプロパガンダを広めてきた。今は、それを本当に恥ずかしいと思っている。テレビ画面を通じ、ウソを伝えることを許してきたことを恥じている。国民を、何も考えないようにすることを許してきたことを恥じている。

すべてが始まった2014年、私たちはただ黙っていた。クレムリンがナワリヌイ氏を毒殺しかけたとき、私たちは抗議集会に行かなかった。この非人間的な政権をただ黙って見ていた。

そして今、世界中が私たちに背を向けてしまった。私たちの子孫は今後10世代にわたり、この兄弟殺しの戦争の恥を洗い流すことはできないだろう。

私たちロシア人は思考力があり、賢い。私たちの力だけが、この暴挙を止めることができる。抗議集会に参加してほしい。何も問題はない。彼らは私たち全員を拘束することなどできないのだから。

今こそプーチンの本心が読み取れる木村汎氏の言論

このブログで前回、故・木村汎・北大名誉教授(2019年没)の言論に触れた。ロシア人を知るにはスラブ民族というものを知らねばならない。プーチンの本心は北方領土など返還する気はない。ソ連邦の再興あるのみ‥など現在のウクライナ情勢を読み解くのに必要な知識が山盛りだった。

そんな折、3月2日の産経新聞に同紙「正論」に寄稿した、プーチン政権の本質に鋭く迫るコラムが再掲された。6年前のコラムだが一つも古びていないばかりか、ロシアのウクライナ侵略の狙いと、少し先になるだろうが落とし所について鋭い言論なので転載する。
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「ミニ・ソ連」再興こそがプーチン大統領の白昼夢なのだ

 北海道大学名誉教授・木村汎 (2016/1/8 )

ソ連邦は、1991年12月に崩壊。早いもので、今年は25周年に当たる。冷戦終結は、既に2年前の89年12月にブッシュ米大統領とゴルバチョフ・ソ連邦最高会議議長によって口頭で宣言されていた。とはいえ実際終焉したのは、ソ連解体後とみなすべきだろう。

糾合できない旧構成国

もっと重要なことがある。人間の心理や営みは複雑で、国際政治は決して一直線を描くような形で進行しない。揺り戻しを含むある程度の紆余曲折は当たり前である。実際、その後のロシアではソ連邦復活の試みが後を絶たない。国際場裡でも「冷戦の再開」と騒がれる事態すら発生している。

ソ連崩壊は無念千万-。プーチン現大統領がこのような思いを抱いていることは間違いない。大統領は2つの発言を行った。まず、2003年に述べた「ソ連崩壊を惜しまない者には、心(ハート)がない。だが、その復活を欲する者には、頭(ブレーン)がない」。05年には多くの評論家が引用する有名な言葉を語った。「ソ連邦の解体は20世紀最大の地政学的な大惨事である」。確かに後者のほうが大統領の本音に近く、「ミニ・ソ連邦」の復活こそがプーチン氏の強い願望に違いない。

実際、クレムリン復帰が確実視された11年10月、プーチン氏は「ユーラシア連合」構想を発表した。旧ソ連邦構成諸国のうち、既に欧州連合(EU)や北大西洋条約機構(NATO)に加盟済みのバルト三国を除くなるべく多くの国々を糾合して、ロシア指導下に「ミニ・ソ連」を創ろうというスキームだった。

ところが、それから4年経過し「ユーラシア経済連合」と名称を改めるなど、同構想の内容を若干修正したにも拘わらず、既に参加を決定したのはロシアを除くと4カ国にすぎなかった。カザフスタン、ベラルーシ、キルギス、アルメニア。いずれも自国内に多くのロシア系住民を抱えるか、経済的、軍事的理由から要請を断れない弱みをもつ国々だった。

敵に回したウクライナ

他方、ジョージア、ウクライナ、アゼルバイジャン、モルドバといった有力な旧ソ連構成諸国は同「連合」参加をボイコットした。これら4カ国は、それぞれの頭文字をとったGUAMと名乗る組織を形成済みだった。モスクワの覇権主義を嫌い、ロシアから距離をおく姿勢を明確にしていた。

ロシアは、さらに08年夏のジョージア侵攻、14年3月のクリミア併合によって、ジョージア、ウクライナを明らかに敵に回した。そればかりか、これらの国々と同様の運命に遭うかもしれないと危惧するモルドバやアゼルバイジャンの反発を招いた。

なかでも、ウクライナを「ミニ・ソ連」プロジェクトから離反させるだけでなく、EUやNATOの方へ事実上追いやる結果を招いたことは、ロシアにとり大きなマイナスだった。というのも、ウクライナは地理、人口、国力などから見て、旧ソ連構成諸国のなかで群を抜く重要な地位を占めているからである。プーチン氏発案の「ユーラシア連合」の成否は、ひとえにウクライナが同プロジェクトに参加するか否かに懸かっているといっても過言でない。

戦術家・プーチン氏の過ち

プーチン大統領の決断によって、ロシアがクリミアを獲得したことは確かに事実かもしれない。だが、そのためにロシアが支払わねばならない代償は実に大きかった。仮に主要8カ国(G8)からの追放、経済制裁、「ミニ冷戦」の発生を別にしても、ロシアはウクライナ全体を失ってしまった。ウクライナは米欧、EU、NATO側へ急接近を遂げる一方、「ユーラシア連合」構想へ参加する意欲をゼロにしてしまったのだ。戦術家・プーチン氏は、なぜそのような戦略上の過ちを犯したのだろうか。私の説明は、こうである。

プーチン氏とて生身の人間である。理性(頭)にばかりもとづいて、政治的判断を行っているわけではない。時にはエモーション(心)に動かされて、衝動的な決定を下すこともあろう。まさにクリミア併合の決断は、その一例だったのではないか。

クリミア併合は、14年3月16日に実施された住民投票の結果、圧倒的多数がロシア編入に賛成していることが判明。それを知ったプーチン大統領は2日後に電光石火のごとく併合に踏み切った-。しばらくの間こう説明されていた。

だが、この通説はその後、大統領自身の言葉によって否定された。はるかそれ以前の段階、2月23日午前7時にクリミア併合の決断は下された。これが、今日の公式説明なのである。ちなみに、この時、同決定に参加した4人は全てKGB(元ソ連秘密警察)の勤務経験者であり、外務省関係者は加わっていなかった。

最重要決定は心でなく頭で行うべし。己が述べた至言を、プーチン氏自らが必ずしも常に実行しているわけではない。

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このほか、下記の木村汎氏の評論が
https://www.sankei.com/tag/topic/world_104/#kimuraに掲載されている。ぜひ読んでいただきたい。

領土保全がプーチン思想の柱だ(2019/2/11)
プーチン氏は法を恣意的に操る(2018/11/22)
露の軍事的威圧を黙認するな(2018/09/18)
プーチン氏は二重尺度を恥じない猛獣(2017/09/04)
早とちりしてロシアに接近すると日本は百年の計を誤る(2016/10/05)
「ミニ・ソ連」再興こそがプーチン氏の白昼夢(2016/01/08)
核の恫喝を弄するプーチン戦術(2015/07/06)
プーチンの「実像解明」に総力を(2015/03/05)
日本こそ対露制裁の旗振り役に(2014/10/01)
「策士」策に溺れたプーチン氏(2014/07/23)
プーチン氏がウクライナの恩人?(2014/06/27)
「異質のロシア」研究を再興せよ(2014/03/27)
ロシアこそ、日本が必要になる(2013/03/26)

「国際法などクソ食らえ」の隣国に取り囲まれた日本

地政学的に日本ほど「ろくでもない国」に取り囲まれている国家は世界でもまれだ。ロシア、中国、北朝鮮は言うに及ばず韓国含め、まさに現代の悲劇といって良い不運な取り合わせである。

そのロシア軍は24日ウクライナへの攻撃を開始した。ウクライナ外務省は、同国内の複数の都市が攻撃を受けたと発表した。首都キエフがミサイル攻撃を受けているという。バイデン大統領が世界大戦まで覚悟していないということを見抜いての強硬姿勢である。東部親ロ派地区を国家承認するなどなど明らかに国際法違反だが、そんなもの気にする国ではない。現にプーチン大統領は22日、記者会見で、ウクライナ東部の紛争をめぐる停戦や和解プロセスを定めた「ミンスク合意」について「もはや存在しない」と述べている。

「ミンスク合意」というのは2015年2月、ロシア、ウクライナ、ドイツ、フランスの4カ国による首脳会談で停戦に合意したもので、ウクライナの隣国ベラルーシの首都ミンスクで実施されたのでその名がつくが、れっきとした停戦協定にである。ロシアは歴史的に自国の利益のためには国際法など平気で反故にする国である。

例えば、太平洋戦争末期、ソ連は日本と「日ソ不可侵条約」を結んでいたが、日本がポツダム宣言を受諾した8月15日から3日後の8月18日になって、一方的に破り、クリル諸島北端の占守島に上陸を始め、自衛のため応戦した日本軍と激戦が交わされた。樺太電話局の女性交換手たちは最後まで仕事をして最後に「さようなら」の声で自決した悲劇も伝えられた。ソ連軍はアメリカ軍が来ていないか確認しながら南下し、北海道も危なかったが多くの日本人の反撃で押し返したのが現在の北方領土を含む、ロシアとの「国境線」である。

国際法などそのときどきの「便法」に過ぎないのがロシアのやり方なのは他にも例がある。1939年、不可侵条約を結んだナチスドイツとソ連は、両方からポーランドへ侵攻して分割占領している。いまソ連をロシア、ドイツを中国に置き換えたらよく分かる。台湾、尖閣、沖縄、北方領土‥ポーランドの悲劇は明日の日本になる。

中国も鄧小平の「一国二制度」という都合の良い理屈で、資本主義と共産党独裁という水と油をまやかしで固めて、「後進国」として世界からODAや世銀援助を掻き集めては、輸出大国にのし上がり、世界が気づいたときには東・南シナ海に巨大な軍事基地を作り上げ、「一帯一路」の美名でヨーロッパにまで触手を広げてきた。

これまた香港返還時に英国と約束した約束など平気で反故にして、民主派を強権で押しつぶして平然としている。韓国も然り。自由陣営にいるフリをしているが中国べったりで反日だけが生きがいである。文在寅大統領のクビはあと1ヶ月もたたないうちにすげ変わるが、韓国大統領選の保守系最大野党「国民の力」候補、尹錫悦(ユン・ソンヨル)前検事総長が、大統領に就任すれば文在寅政権に対する捜査を行うと宣言したことに震え上がっている。

北朝鮮にすり寄った以外5年間、政治的にも経済的にもなんの実績もない大統領である。慰安婦問題でもろくな解決策も示さなかった。安倍-朴槿恵の日韓の慰安婦合意は、韓国側は、もう二度とこの問題を国際的にも持ち出さない、最終的、不可逆的な解決とするということを確認した画期的とも言えるものだった。日本側は戦時中の軍部の関与のもとに多くの女性の名誉と尊厳を深く傷つけたことについて、政府は責任を痛感しているとし、法的な責任や人道的な責任ということについては明確に触れることは避ける代わりに、日本政府は新たに韓国政府が作る「和解・癒し財団」に10億円を拠出するとしたものだ。

ところが今後「たかり」の相手を失うと猛烈に挺対協が反対したのを受け、国際法違反もいいところのちゃぶ台返しをやらかした。韓国最高裁の長官に判決など一度もない書いたことがない男を据え、判事も反日派に入れ替えた。これだけでも文在寅に「死刑」判決がでてもおかしくない。もっとも韓国の「死刑判決」はすぐ恩赦になるようだが。

火がついたウクライナ問題から、国際法違反を常とする国々の話になったが、もう一度ロシアに戻る。

ブログ子は大学で露西亜文学を専攻した。卒論はチェーホフだったが、当然トルストイやツルゲーネフも読む。その時の体験だが、例えば「罪と罰」で主人公のラスコーリニコフが吹雪のなか次の旅籠までえんえんと喘ぎながら独白するところがある。この描写に原文はざっと30ページである。ロシア語は難しい。英語なら初心者でもすぐ辞書を引けるが、ロシア語だと変化がはげしく例えば20文字くらいの単語があっても元の語は3,4文字という具合。そもそもロシア語の辞書が引けるだけで「中級者」である。

えらく時間がかかる。ところが日本だとどうか。「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」( 『雪国』川端康成)。一行だ。土台、日露で「息継ぎ」が違うのである。交渉事でもそうで日本人はロシア人に太刀打ちできない、と実感した。

北大には「スラブ研究所」があった。ロシアというのは多くの民族で成り立ち、まとめてスラブ民族という。ここには亡くなったが木村汎教授がいて、その民族性から言って、ときの日本首相に北方領土からロシアとのパワーバランスについて鋭い忠告をしていて共感していたものだが、多くはこの民族的「息継ぎ」論からこの国との付き合い方をアドバイスしていた。

新聞記者になってからもソ連大使館(当時)とはよく付き合った。シベリア鉄道にハバロフスカからモスクワまで記者を乗せる企画があった。汽車の4人がけのコンパートメントはKGBの息のかかった人間3人が来ることがわかっている。大使館の広報部長と会って「自然の出入りにしてくれ」と頼むだけに銀座で一晩付き合った。

強いのなんの。バー数軒はしごしたが毎度ウイスキーの瓶一本きれいに開けてしまう。部長と二人で相手したが、見送ったとあと部長は歩道に崩れ落ちた。2,3日あと警視庁の公安まわりの記者から「何軒はしごしたそうですね」とバーの名前を上げて報告を受けた。刑事に尾行されていたのである。向こうも同じことをやっていたのだろうが。

身近な経験からいうのだが、何かというと、「外交で」というばかりの、岸田首相と林芳正外相では、とても彼らに太刀打ちできるものではない。国土は広大だが、ツアーリ時代の農奴制を引きずっている中流国家に過ぎない国である。外交ではなく経済で攻めるほかない国だと思う。

“下駄の雪”公明党 切るべし

自民党と公明党が連立を組んだのは1999年10月、小渕恵三首相のときだから、かれこれ22年余になる。連立誕生のきっかけは、98年参院選での自民党の惨敗だ。参院で過半数を失った同党は、政権を安定させるため、まず旧自由党、次いで公明党を与党に迎え入れた。その後、旧自由党が離脱して2003年から自公両党の連立体制が確立した。

“悪夢の民主党政権”3年3カ月の野党時代から脱出するという意味では効果があったことは認める。しかし、政権の「蜜の味」を知った公明党の“仏壇返し”は目に余る。たとえば、第二次安倍政権の末期、新型コロナウイルスの感染が拡大した20年4月、国民への現金給付をめぐり、山口代表は安倍首相に直談判し、「困窮世帯への30万円」から、かねて求めていた「全国民一律10万円」に変更させた。封印していた連立離脱カードを切る脅しをかけた。

昨年11月にも岸田政権下で「18歳以下のすべての子供に対する一律10万円給付」をゴリ押した。結局、岸田首相が山口代表と会談し、18歳以下への10万円相当の給付について、所得制限(年収960万円以下)を設ける方針で一致した。バラマキ批判に配慮した形だが、実際に給付対象から外れる世帯は全体のわずか1割程度にすぎず、ほとんど「一律給付」である。

何かというと「国の財布に手を突っ込んでバラまく」公明党の手口には飽き飽きした。自公連立の立役者だった野中広務が、「天下の愚策かもしれないが、(公明党に対する)国会対策費だと思ってほしい」と語ったのは有名な話である。

だが、ブログ子が許せないのは「度が過ぎた親中韓」と「憲法改正」という、現在日本にとっていちばん大切な政策への公明党の「逆張り」である。

習近平主席が中国全土に築き上げた監視カメラは約2億台。とりわけウイグル人の監視は厳しく、カメラにより24時間見張っているだけでなく、家族全員が地元警察によって「健康検査」を強要され、採血からDNAサンプルまでありとあらゆる身体検査で、考えられる限りの個人データを収集して弾圧している。

米国も欧州各国も、中国共産党のウイグル人弾圧をジェノサイド(大量虐殺)と認定し、日本の国会もようやく重い腰を上げ中国の人権侵害に関して抗議し非難する段取りにこぎつけた。ところが、公明党はこの非難決議案を徹底的に骨抜きにした。

例えば、非難決議案の元々のタイトルは「新疆ウイグル等における深刻な人権侵害に対する非難決議案」だったが、公明党は「人権侵害」を「人権状況」に変えた。「非難決議」から非難の二文字を削除してただの「決議」に修正した。非難される国として明記されたのはミャンマーだけで、中国は記載されなかった。

本文で「深刻な人権侵害が発生している」と断定した部分は「深刻な人権状況への懸念が生まれている」と柔らかい表現に直された。「弾圧を受けている人々からは」支援を求める声が上がっているというところは、「弾圧を受けていると訴える人々」と変えられた。弾圧を受けていると訴えているけれども、その訴えが本当かどうかはわからないというニュアンスにしたのだ。

原案には、衆議院としての決意も書きこまれていた。「(人権侵害や力による現状変更を)強く非難するとともに、深刻な人権侵害行為を国際法に基づき、国際社会が納得するような形で直ちに中止するよう」強く求める。「立法府の責任において、深刻な人権侵害を防止し、救済するために必要な法整備の検討に速やかに取り掛かる決意である」。公明党はこの二つの文章の全てを見事に削除した。(櫻井よしこ「日本ルネッサンス」1月27日号)

朝鮮半島への思い入れは創価学会の古くからの体質である。池田大作・創価学会名誉会長は東京都大田区の朝鮮人部落に生まれた。本名は成太作(ソン・テチャク)という。「大田区大森海岸の朝鮮部落の海苔の漁師出身」と本人が語っている。前創価学会会長の戸田城聖の元で、高利貸し会社「大蔵商事」の営業部長として辣腕を振るった。病気で寝ている人間を叩き起こして布団まで持って帰ったというエピソードが残っている。

朝日新聞が「地上の天国」と煽った北朝鮮帰還事業では在日朝鮮人9万3000人が海を渡ったが、実は「この世の地獄」であった。昨年には、脱北者5人が北朝鮮政府に計5億円の損害賠償を求めて東京地裁に起こした訴訟が今も審議中だ。これに対しても、池田大作は「北鮮帰還などというのも、やはり東洋広布の大前提なのですから」などと、創価学会の勢力拡大の機会として、帰国事業を肯定している。

憲法改正は自民党結成当時からの公約である。今ようやく「衆参議員3分の2」という大きな壁がクリアできそうな絶好の機会が訪れている。GHQでマッカーサーの腹心ホイットニー民政局長が1週間で書きあげたメモを元に、主語もない怪しげな日本国憲法ができたのだが、せめてまともな日本語の憲法に改正してもらいたいとブログ子など切望している。

安倍晋三元首相は任期中から憲法改正に執念を燃やしており、今も陰に陽に機会をうかがっている。ところが公明党は、憲法への自衛隊の明記などに慎重姿勢を崩していない。敵基地攻撃能力の保有にも否定的だ。

こんな公明党は切るべし、と思うのは私だけではあるまい。先の総選挙では日本維新の会が躍進した。次の参議院選でも躍進が予想される。今こそ「切る」ときだと思うのだが、何故か公明党は強気である。

 1月15日の地方組織幹部とのオンライン会議で、山口那津男代表は自民党との相互推薦を今回は行わない方針を伝えた。自民党幹部は慌てて修復に走り回ったものである。実に見苦しい。総選挙ではどこの小選挙区でも創価学会票が2-3万票ある。参院選でも力のない自民党候補にはこの学会票が欲しくてたまらない。その足元を見られているのだ。

実は公明党には大きな不安材料がある。遠山清彦元財務副大臣と太田昌孝元衆院議員の渋谷朗・元政策秘書の事件だ。貸金業の登録をせずに、新型コロナウイルス禍で経営が悪化した企業や個人の依頼を受け、日本政策金融公庫に融資を仲介。1000万円を超える手数料を得ていた貸金業法違反罪で昨年末に在宅起訴された一件だ。「クリーン」が看板の公明党のイメージにまるで反するダーティさだ。衆院議員の辞職に追い込まれたが、さらに東京・銀座の高級クラブに深夜に滞在、豪遊していたことが週刊文春の報道で発覚したことが創価学会婦人部を怒らせた。

加えて集票マシンとして強力だったその婦人部(今は女性部)が高齢化で力が落ちている。我が家でも家内の実家のお手伝いさんだった創価学会員は選挙前に住民票を関西から東京に移していたし、戻したあとの選挙でも必ず「よろしくね」と我が家の3票目当てに電話してきたものだが、いまは途切れている。

前回参院選の公明党の比例票は過去最低の約653万6000票で前々回から100万票以上減少。昨年の衆院選で比例票は増えたものの、投票率の上昇によるもので、得票率は低下している。

今こそ「下駄の雪」を振り落とせ。

韓国TV馬の脚にワイヤーつけて落馬シーン撮影の残酷

未だに怒りが収まらない。こんなことが許されている韓国はどうかしている。

事の顛末は1月22日に報じられた。韓国放送(KBS)の時代劇ドラマで落馬シーンを撮影するため、スタッフは馬の後肢に2,30メートルのワイヤーを付けて走らせたという。当然、馬はロープが伸び切ったところで頭からもんどり打って転倒する。迫真のシーンが撮れたろうが走らされた馬は死んだ。

この無残なドラマ撮影は昨年11月2日に行われた。時代劇「太宗李芳遠」第7回で、李成桂の落馬シーンだった。ちなみにKBSというのは日本のNHKにあたる国営TV局である。日本同様に大河ドラマを制作している。李成桂というのは李氏朝鮮の初代国王で、李芳遠というのは三代目
、徳川幕府に例えれば家康と家光にあたる。

駆り出された馬は元は競走馬だったが、成績不振が原因で京畿道の馬レンタル会社売られ、「カミ」という名前でタレント活動していた。主人公が乗る馬は別にいて、転倒シーン撮影の場面だけに、つまり危険なスタント役の馬として動員された。 ある関係者は「馬レンタル会社には通常、落馬シーンだけのために使う馬がいる。大半が廃馬たち、今日死んでも構わない馬を投入する。今回死亡した馬もそのような馬ではないかと思う」という。

韓国ドラマの制作現場では、馬の脚にワイヤーをかけ転倒シーンを撮るのは昔の時代劇で使われていた方法だいう。「馬の安全や休息権のようなものは現場で乗馬監督が提案しなければならないし、契約書でも要求しなければならないが、実際には行われていない」と述べた。

動物団体が公開した撮影当時の映像で明るみに出たのだが、「カミ」は劇中の人物である李成桂の代役であるスタントマン俳優を乗せて、後ろに縛り付けられたロープに脚を取られ猛烈な勢いで首から落ち、胴体が空中で回転しながら地面に投げ出され、苦しんでいる。

映像が公開された後、虐待に非難の声が高まると、KBSは「事故直後、馬が自力で立ち上がり、外見上負傷がなかったため、馬を(レンタル会社に)返した。最近の健康状態を確認したところ、撮影から1週間後に死亡したことを確認した」と謝罪した。

現場にいた馬レンタル会社代表も。「馬が倒れる場面は1回で撮影が終わり、馬が地面に頭を打ったように見えるが、最小限の安全装置があった。地面をある程度掘り、中にマットを設置した」と述べた。さらに「倒れた後、馬が自力で立ち上がり、健康に問題はないと思った。撮影直後、馬が死んだわけではなく、3~5日後に死亡したため、KBS側には知らせなかった」と付け加えた。

白々しい。両者で口裏を合わせたとしか思えない。映像を見ても、猛烈に地面に叩きつけられていて、クッション材が敷かれていたなどという形跡はまるでない。第一、投げ出されたスタントマンのところには数人が駆け依っているがピクリとも動かない「カミ」に駆けつけた人間は一人もいない。

TBSでこのテレビドラマを演出したプロデューサーは2014年のドラマ「鄭道伝」の責任プロデューサー(CP)で、このときも落馬シーンにワイヤーを使ったことがあるという。KBSは「事故だ」と釈明しているが、韓国では馬を小道具扱いするのは、長年テレビ制作現場に蔓延している制作慣行だと言える。

映像から(https://twitter.com/i/status/1485607137103740933)は「カミ」の首の骨は折れているしロープがかかった両後肢はこれまた脱臼ないし骨折と見て取れる。これほどの重症でも1週間生きることは考えられるが、大変な苦痛を伴う怪我だからまともな獣医なら「安楽死」を選ぶところだ。それすら怠り、1週間放置したとすれば許しがたい犯罪である。

動物団体「カラ」と動物自由連帯は、該当場面の撮影は動物保護法違反に当たるとし、告発した。カラは「動物も苦痛を感じる知覚力のある存在であり、生命は撮影現場で使われる小物や道具ではない」とし、「公営放送KBSは今回の状況を単なる謝罪で終わらせるのではなく、虐待に対する法的責任はもちろん今後動物安全保障に対する具体的なガイドラインを用意すべき」という立場を明らかにした。(ハンギョレ新聞)

韓国では2016年、朴槿恵元大統領の親友、崔順実が娘のチョン・ユラ(当時20)を名門、梨花女子大体育科学部に馬術の特待生として裏口入学させるは、財閥のサムスンに1億6000万円払わせてドイツの名馬を購入させるなどやりたい放題がバレて起訴されている。

この国の馬に対する残酷な仕打ちと己の利益のために動物をこき使う性癖を見ると、馬を飼う資格は皆無である。早々に世界の馬術界から追放すべきだ。

独裁国でオリンピックを開催させるな

北京五輪冬季大会が4日から始まる。しかしさっぱり盛り上がらない。昨夏の五輪でも採用されたコロナ対策の「バブル方式」(大きな泡で包むように、選手やコーチ・関係者を隔離、外部の人達と接触を遮断する)で取材する方も「ホテルと練習会場・会場以外には移動できない」こともあるのだろうが、直前1週間のテレビは消毒液まみれの様子ばかりで、見る気もしなかった。

しかし、その他の「雑報記事」では面白い側面を見せてくれている。その一つが、翡翠(ひすい)の「翠」の字が「禁止用語」になっているという。翡翠は中国と日本で特に珍重される宝石で、今大会の金銀銅メダルは、2008年の北京夏季大会と同じデザインで、安徽省で発掘された古代中国の翡翠の飾りを描いている。「五千年の偉大な中華文明」を象徴したつもりなのだろう。

では現地でどう扱われているか知りたいところだが、我が古巣の産経新聞はじめどこの特派員もそれに触れた記事を見ない。すこし説明が必要だろう。

中国語では翡翠の「翠」は、「羽」の下に「卒」が付いている。これが大問題なのだ。簡体字では「羽」も習近平の「習」も「习」となる。簡体字というのは字画が多い漢字だと庶民の教育普及に差し障りがあるからと、1950年代に創出した3000字あまりの「漢字」である。中華の「华」とか、「習」近平の「习」がそれにあたる。

「卒」 は中国将棋で日本の将棋の「歩」に当たる駒で、「小者」も指している。また「死」という意味もある。だから「习」が二つに「卒」で「習近平は2度死ぬ」「くたばれ習近平」という意味になる。これはまずかろうと、習近平の近習たちが忖度したのだろう。

何やらWHOのテドロス事務局長の忖度で、今猖獗を極めている「オミクロン株」の命名騒ぎと似ている。「オミクロン」は、アルファ、ベータ、ガンマ、デルタから始まって、 オメガで終るギリシア語のアルファベットだが、この株が南アフリカ共和 国で登場した時に、インド生まれのデルタに次ぐニュウの順番に当たって いた。だが「ニュウ」と命 名したら、英語の「新しい(ニュウ)」と混同 するから一つ飛ばすほかな かった。

で、その次がクサイ「Xi」(ヅィ)だったが、習近平の中国語の発音が「Xi Jinping(ヅィ・ジンピン)」である。「Xi(ヅィ)株」ではまずかろうとテドロスが忖度して一字あとの「オミクロン」になった。

習近平のオリンピックを利用した「唯我独尊」は台湾問題でも露骨だ。台湾代表団の漢字表記は、妥協の産物ではあるが「中華台北」とされ、昨夏の東京五輪でも踏襲された。それを中国は今回、「中国台北」と勝手に変えた。一字違いで大違い。台湾が「中国の一部」であるとの印象を世界に植え付けようというわけだ。

開・閉会式で読み上げられる国名で「台湾」の呼称が一切排除されることを察知した中華五輪委は、開閉会式不参加を表明したが、国際オリンピック委員会(IOC)から「五輪憲章では参加する各国・地域は、関連式典への参加を含む責任を果たすべきだ」と圧力を受け翻意をやむなくされた。仲裁に入るべきIOCの「ぼったくり男爵」の異名をとるバッハ会長が中国一辺倒なのだから何をか言わんやだ。

ウイグルでの人権侵害を理由に自由主義諸国は北京五輪の「外交ボイコット」に踏み切った。かくて開会式には、ロシアのプーチン大統領やカザフスタンのトカエフ大統領ら世界の「悪役」たちと、中国の「債務の罠」にハマっているアフリカ諸国が勢ぞろいする。

違和感はもう一つある。禿山に人工雪をまいた競技会場である。中国北部にある北京の冬は日中でも連日マイナスだが、スキー場が開けるほど雪は降らない。北京周辺の2月の降水量は1カ月で4ミリほど、降水日数も月に3日ほどしかない。土台、冬季五輪会場には不向きなのに、「北京が夏季、冬季両方の五輪を初めて開催する都市」と自画自賛したいがために無理無理招致した。

万里の長城の観光基地である八達嶺からさらに北側にある2つの街、いわば「北狄」の地に、約300基の人工降雪機「スノーガン」を使って人工雪をまいた後、専用のトラックでゲレンデなどに広げる。人工降雪機自体は、過去の大会でも韓国の平昌五輪など雪が足りない部分に補充したりするのに使われているが、会場のほぼ全体が積雪ゼロの地に人工雪をばらまいての会場設営は北京が初めてである。

こうした人工雪は環境の観点から持続可能ではないとの批判も当然上がる。中国側は「造雪機は再生可能エネルギーで駆動しており、周辺の山の生態系を損なうことなく、使用した水は春の雪解けで地元の貯水池に戻る」と説明している。まあ、これを信じる者はいないであろう。「グリーンな大会を目指す」という北京の宣言に反すると指摘するのは仏ストラスブール大学のカルメン・デヨング教授(地理学)は、水が少ない地域で大量の電力と資源を使って雪をつくることは「無責任」だと非難。「それなら月や火星でも五輪を開催できる」と皮肉った。

冬季五輪そのものへの疑問もある。選手がスキー板のスポンサー企業のロゴをこれみよがしにカメラに向かって差し出すことから始まった商業主義は当初は批判的だったものの、今では当たり前の行動になった。リュージュやボブスレーのような競技は山の斜面に何万という氷柱を張り詰めてつくる。ジャンプ台を作るにもカネがかかる。まともに冬のスポーツと言えるのはノルディックぐらいのものである。

加えて温暖化である。このまま気温が上昇すると過去の会場、シャモニー、ソチ、アルベールビル、ソルトレイクシティ、バンクーバー・・・みな雪なし都市になるという。予測では2050年には積雪量を満たす冬季五輪会場は札幌市だけになるという。

ブログ子は1972年の札幌冬季大会のとき取材で大倉山のジャンプ台で繰り広げられた笠谷幸生以下「金銀銅メダル日本独占」の現場にいた。街中にトワ・エ・モアの「虹と雪のバラード」が流れていた。札幌は次の冬季五輪に立候補しようとしている。人工降雪機頼りの会場への批判は更に強くなるだろうし、立候補しようにも雪がないところばかりである。

遠からず札幌招致は実現するだろう。ロシアとか中国の独裁国は必ずオリンピックを自国体制の宣伝の場にする。オリンピック精神を忠実に守る大会運営ができるのは日本だけである。

マックはなぜ国産ポテトを使わないのか

マクドナルドが「マックフライポテト」の販売をSサイズのみに限定している。その理由というのが、ポテト材料の主な輸入先である北米とカナダでの大規模な水害と、コロナ禍での世界的な物流網への混乱の影響による輸入遅延が発生しているためという。

ブログ子は孫に付き合って年に三、四度口にする程度なのでどうということはないが、不思議に思ったのは、なぜジャガイモをわざわざ北米産のものを使うのかということだ。

学生時代、といっても半世紀以上前だが北海道で過ごした。夏などテント担いで道内をくまなく旅したが、お世話になったのが日本一おいしいジャガイモだ。道内いたるところにジャガイモ畑があり、どこの農家でも貧乏学生に気前よく分けてくれるので、帯広駅前などで飯盒で塩茹でして命をつないでいた。「男爵」と「メークイン」が主で、どちらもほくほくしている。北海道ではバターを乗せて食べる人が多いが、そちらは「男爵」、型崩れのしない「メークイン」は煮物などの料理に使う。

いま、夏場八ヶ岳にいるが長野県産ジャガイモも出回るのだが、中に紫のスが入ったり、水っぽかったりして今一つなので、北海道産を箱買いする。北の大地で見晴かす限り広大なジャガイモ畑を見てきたから、ジャガイモは100%国産でまかなえているとばかり思っていた。それがマクドナルドは船便ではるばる北米から運び、船便が届かなくなったといって大型輸送機を飛ばしてまで日本に運んでいる。

不思議なことだ。いまや穀物はじめ多くが外国頼みになった。小麦は大昔から米豪頼り、そば粉も長野産では間に合わず、北海道から運んでもまだ足らず中国産が多くなった。食糧安保の点からみても危ういことだ。エゴ丸出しの中国がそば粉を止めたら(大いにありうる)日本中の蕎麦屋が死ぬことだってある。ジャガイモまでその仲間入りするのか。

マクドナルドはアメリカ企業だから日本産のジャガイモを使わないのだろうかとも考えたが、違うという。実際、主力商品のハンバーガーは、主にオーストラリア産の牛肉を使用している。

実は北米産ジャガイモに頼る理由は、現在のジャガイモ品種と製造工程の変更が困難だからなのだという。マックフライポテトに使われているジャガイモは「ラセットバーバンク」という、アメリカで古くから栽培されている品種。特徴は大きいことと、そのままカットするだけで、フライドポテトの「長さ」に丁度良いサイズになる。マックも、日本での栽培を試みたようだが、気候の違いで大きく育たなかった。そのため、輸入せざるを得ない。

次に、法律と製造工程の理由がある。ポテトは、防疫上の理由で、生で日本に輸入することができない。為に現地でカットし素揚げした冷凍加工品を輸入している。その上で、製造工程を構築しているから、日本産を使うとなると、新たに生産ラインを作り直す必要に迫られる。

マックフライポテトの原価率は10%という高利益率商品、いわば「稼ぎ頭」である。完全に販売停止すれば、セット商品の利益が低下してしまう。なので、1か月間、Sサイズに限定販売し、現在の輸入量で凌ごうという作戦のようだ。

ブログ子と同じ「なぜ国産ジャガイモを使わない」という抵抗派は、国産ジャガイモ使用のバーガー店へ。

フレッシュネスバーガーは国産ポテトで顧客奪取を図っている。「フライドポテト増量キャンペーン」で従来の25%増しのポテトを提供している。マクドナルドと逆に「増量」できるのは、国産ジャガイモを使っているからだ。品種は、北海道産の「北海こがね」。特徴は、形状が長細いこと。揚げても変色しないこと。フライドポテトにはうってつけだ。、

弱腰の岸田政権、やっと佐渡金山を世界遺産推薦へ

岸田文雄首相は文化審議会が世界文化遺産の国内推薦候補に選んだ「佐渡島の金山」(新潟)について、国連教育科学文化機関(ユネスコ)に推薦する方向で最終調整に入った。政府高官が28日、明らかにした。韓国が戦時中に朝鮮半島出身者らへの「強制労働」があったなどと反発を強め、外務省が見送る方向で調整に入っていたが、自民党内や地元の意見も踏まえた。

首相は同日午後にも官邸で林芳正外相や末松信介文部科学相と協議し、決定する意向だ。さらに、その後記者団に推薦の理由などを説明する。(産経)
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ブログ子は親中韓で煮え切らない林芳正外相と外務省には腹を据えかねていた。韓国のデタラメな主張を是認するようなら金輪際自民党を許さない、と考えていた。左翼メデイアには自民党右派と呼ばれていたが安倍晋三元首相や高市早苗政調会長の「蹶起」が奏を効したようで、まずは筋を通す事になってよかった。

ユネスコに世界文化遺産に登録するため、推薦書を提出しなくてはならない期限は2月1日と迫っていた。ところが、外務省はなにを血迷ったか推薦の見送りを検討していた。朝鮮半島出身者が過酷な労働に従事したとして韓国が反発しており、令和5年の登録が見込めないというのが見送りの理由だ。

これはウソであることは高市早苗政調会長の1月24日の国会予算委員会での質問で明らかである。韓国外務省は「朝鮮半島出身者が強制労働させられた被害の現場だ」などとして即時撤回を求めているが、言いがかりも甚だしい。

申請対象は、あくまでも「江戸時代まで」だ。韓国が問題視する戦前、戦中とは時期が異なる。そもそも強制労働の現場だったとする認識自体が事実誤認だ。昭和15~17年に朝鮮半島出身者約1千人が佐渡金山で働いていた事実はあるが、給与などは支払われていた。江戸時代までと区切らなくても、韓国には理がない。政府は昨年、朝鮮半島出身者の強制労働の有無について「募集、官斡旋(あっせん)及び徴用による労務は、強制労働には該当しない」との答弁書を閣議決定した。推薦を見送れば、これを否定することになる。

高市早苗氏は
「今年(2022年)に出さないのであれば、もう来年以降は出したらいけないと思います。2月1日に政府から佐渡金山をユネスコに推薦していただければ、来年6月には結果が出るわけです。来年の夏を過ぎてしまいますと、ユネスコ世界遺産委員会の委員国のなかで任期切れになる国が出て、来年の秋からは新たに韓国が委員に入って来る。余計困難になる。」

「来年の6月に決まるということで、いまから約1年4ヵ月もあります。ユネスコ世界遺産委員会の委員国は21ヵ国で構成されています。そして、最後に多数決で3分の2以上の票を獲ればいいのです。つまり14ヵ国が賛成すればいい。日本も委員国ですから、そのうちの1か国は日本です。残り13か国にしっかり説明して納得してもらえばいいので、絶好のチャンスだと思います」

彼女の言うとおりである。これまで日本は慰安婦や長崎端島の「軍艦島」での戦時労働者についてきちんとした反論をせず中途半端な対応をしてきた結果、問題はこじれにこじれた。

ブログ子の父は佐賀県唐津市の出身である。親戚には端島炭坑で働いていた人もいて、朝鮮人も同じような待遇を受け仲良く運動会や島内の娯楽に参加していたと聞いていた。「慰安婦問題」ではこと売春だけに自ら名乗りてるものはいないから、挺対協の尹美香に日本からの拠出金をいいように利用されて、スーパーの己の買物代までピンはねされた。しかし「軍艦島」ではまだ大勢の元島民が生存しているから、証言者は続々と現れた。

真実は明らかになると思われたが、ゆすり・たかりを常習とする韓国は「強制労働」というウソを反日のマスコミと政府は改めようとはしなかった。NHKまでありえない「半裸で坑内でツルハシを振るう炭坑労働者」という映像を流した。抗議を受けてもいまだに「よその炭坑という証左は見つからなかった」と抗弁している。呆れたものである。

以下は朝鮮問題に詳しい西岡力・麗澤大学教授のコラムからだが、「強制労働」など韓国側の大嘘であることがよく分かる数字だ。

戦時動員期間に240万人の朝鮮人が内地に渡航したが、うち動員渡航者は60万人で、180万人は自分の意思で渡航した自発渡航者だ(内務省統計)。その上2~3年の契約が終わる前に約4割が条件の良い職場に移るために逃走した。朝鮮から雪崩のような出稼ぎ渡航があったのだが、それを戦争遂行に必要な事業所に秩序だって送ろうとしたのが戦時動員だった。「強制連行」「強制労働」などとは異なる歴史的事実だ(詳しくは西岡力編『朝鮮人戦時労働の実態』産業遺産国民会議)。

佐渡金山における朝鮮人戦時労働の実態について書こう。39年から行われた戦時動員で合計1519人の朝鮮人労働者が佐渡金山で働いた(平井栄一編『佐渡鉱山史』)。うち66%にあたる1005人は佐渡鉱業所の募集担当者が現地で行った「募集」に応じた者たちだ。第1陣の募集では「一村落二〇人の募集割当てに約四〇人の応募が殺到した」(相川町史編纂委員会編『佐渡相川の歴史・通史編・近現代』)という。

待遇も悪くなかった。賃金は内地人と同じ、坑内夫は採掘量に応じた出来高払いで、「精勤賞与」「勤労賞与」もあり、契約を更新すると奨励金が出た。家族持ちのための家族宿舎、単身者のための寮は無料で、1食50銭(実費不足分は会社負担)で食事が出た(佐渡鉱業所「半島労務管理ニ付テ」)。労働者のために鉱業所が直営農園で甘藷(かんしょ)、馬鈴薯(ばれいしょ)、野菜を栽培し養豚をしていた(新潟日報42年4月8日)。

終戦時には1096人が残っていたが、45年12月までに数人の佐渡在留希望者以外全員が帰還した(『佐渡相川の歴史』)。最近、韓国マスコミはきちんと賃金をもらっていなかった証拠だとして鉱業所が49年2月25日に朝鮮人労働者1140人に対する未払い金として23万1059円59銭を供託していた記録が見つかったと大きく報じた。しかし、これは反対に待遇がよかった証拠だ。

韓国の学者、李宇衍氏は45年の朝鮮人労働者の賃金は「少なくとも月一二〇円」(『反日種族主義との闘争』)と推計。未払い金は1人当たり203円で、2カ月分の賃金にもならない。退職手当や賞与なども含め、1人当たり1カ月分程度の賃金の未払いが戦後の混乱で生まれ、鉱業所は供託という手続きで、できる限りの対応をしていたことがわかる。

韓国相手にこれまでのような轍(てつ)を踏んではならない。歴史的事実を突きつけて、世界の世論に訴える努力をすべきときである。

脱原発を叫ぶ輩の無責任をあざ笑うトンガ火山噴火

南太平洋の島国・トンガの首都ヌクアロファの北約65キロにある海底火山「フンガトンガ・フンガハーパイ」が15日超絶大規模な火山噴火を起こした。太平洋は広大だが地球規模で見ると「たらい」みたいなものだから、衝撃波によると見られる「津波」が世界中を襲い周辺国では死者が出たり、日本でも多くの漁船が転覆した。

これが原因となって今後、異常気象が確実に起こる。1,2年以内に日本でも大凶作に見舞われるのが目に見える。なぜなら前例があるからだ。1991年にフィリピンのルソン島西のピナトゥボ火山で起きた噴火では、火山噴火にともなう噴出物が成層圏まで巻き上げられて太陽光が遮られ(パラソル効果)、世界的に気温が低下、2年後、日本では東北地方を中心に米が大凶作となって、米不足からタイ米を緊急輸入した。

こういう地球の大地殻変動を目の当たりにすると、やれ脱炭素社会だ、ゼロカーボンだ、地球の気候変動を促してしまうから温室効果ガスの筆頭である二酸化炭素を減らさねば、と声高に叫んでいる脳天気な連中の罪深い行動がいかに世界に害毒を流しているか、いっそう際立って見える。

ブログ子は、CO2ゼロという極端な目標は、経済を破壊するばかりか亡国の理論だと思っている。環境大臣になった小泉進次郎が衆院予算委員会で「(二酸化炭素などの)温室効果ガス削減の先進地域を国内に作りたい」と持論を展開していたのはつい10ヶ月ほど前である。

環境先進国であるドイツや、ドイツに導かれたEUに倣え、というのだが、そのドイツはどうなったか。メルケル首相の脱原発で、ロシアからの天然ガスの輸入に大きく依存しているが、ウクライナを巡る軍事的緊張が暗い影を投げかけている。ロシアと直結する海底ガスパイプライン「ノルドストリーム2」の建設を進めてきた。ノルドストリーム2は昨年9月に完成し、稼働前の認可手続きに入っていた。

しかし、米国は「欧州のロシアへのエネルギー依存が強まる」として反対の立場をとっていて、新たに就任したべーアボック外相(緑の党)と対談した米ブリンケン国務長官はロシアがウクライナに侵攻すればノルドストリーム2の稼働停止を排除しない」とも述べた。おかげでドイツでは電気料金が63%もアップ、国民は怒り出した。

 輪をかけて、ドイツが主導してきた欧州連合(EU)域内の二酸化炭素(CO2)排出量取引制度も物価上昇に拍車をかけている。メルケル首相時代の産物で、発電所や航空会社などCO2排出量が多い事業者は、上限を超える量を排出する場合、その分の排出量を購入しなくてはならない。多くの企業はEUが求めるCO2削減目標に追いつかず、購入を余儀なくされている。昨年12月上旬に1トン当たり90ユーロと最高値を更新し、1年前の約3倍の水準だ。

 エネルギー供給のリスクを前に、ドイツ、フランスなどEU内では「何のエネルギーソースがクリーンなのか」という議論を始める始末。結果、欧州委員会が社会や経済の脱炭素化に寄与するエネルギー源として、天然ガスと原子力を公式に認定する方針を発表。フランスは原発をクリーンなエネルギーと認定した。ドイツはメルケル前首相の原発全廃の政策の手前「脱炭素化に貢献するグリーンな投資対象であるとは認定できない」と拒否したものの、天然ガスだけで電力価格の高騰に対処するのはまずもって不可能だろう。彼らが、いままで積み上げてきた脱炭素、脱化石燃料、脱原発といった各種議論は何だったんだという惨状である。

日本も「対岸の火事」と言ってられない。寒い冬を越すのに電力の使用量は跳ね上がる。この年末年始、東京電力での発電量だけでは足りず、中部電力などから電力を融通してもらい、何とか急場をしのいだものの、SDGs(持続可能な開発目標)の名のもとに環境破壊に繋がるエネルギー政策は改めようという機運はまだまだ盛んである。

カツカツの電力事情なのに、「2050年までにすべてEV車に」、「2050年までにカーボンニュートラル」と威勢のよい掛け声だけ聞こえるが、ブログ子はまるっきり信用していない。ブログ子がいるのは超寒冷地の山の中である。バッテリーは寒ければ仕様書の半分も電力はないであろう。自宅から山まで片道100キロ以上あるが一回充電で200キロ走れるEV車はまだない。EV車に急坂を登る馬力はあるのか、供給する電力はどこから生み出すんだ、という問に答えてもらいたい。

流石というか、トヨタ自動車の豊田章男社長が、記者会見や文春誌面で、ブログ子と同じく、EV車に充電するための電力はどうやって創り出すんだと怒り狂っていたが、まさに正論で、全国に充電網を張り巡らせるのにさらに膨大な二酸化炭素を排出することになる。スエーデンの小娘・グレタ嬢がまなじりを釣り上げようとこれは避けられない必然なのである。

そこそこ強い風が吹き、長大な海岸線をもつデンマークやノルウェーでさえ風力発電でエネルギー需要の4割しか賄えない。土台、これらの国の人口は600万人もない。一億人を超える日本やアメリカや中国で全面的に再生エネルギーに移行できるなどというのは夢のまた夢なのである。

電力消費がますます増える時代に、化石燃料はだめ、再生エネルギーもすぐには代替できない、ではどうするんだとなると、原子力発電所を運用して、核のゴミがどうにかなる技術を何とか開発しながらやりくりするしかないではないか。

親日国・トンガは壊滅的な被害が出ているかもしれないが、まだシカとした情報はない。インターネットが全滅しているという。日本はじめ多くの大国の光回線海底ケーブルがみなトンガを中継しているから、影響は世界に及ぶに違いない。

トンガの大噴火で世界のエネルギー政策がいかに脆い基盤の上に成り立っているかを見せつけてくれた。環境主義者たちは地球のマグマの前に粉砕されたといってよい。

日本人としての誇りを取り戻そう

新年あけましておめでとうございます。オミクロン株が再び猖獗を極めようとしていますが、なんとか穏やかな年明けです。昨夏、八ケ岳の山墅で転倒、頬骨、肋骨、下腿骨骨折で入院・手術のドジをやらかしましたが、今は元気にしています。

これまでのパンデミックがそうであったように、感染症は突然「自滅」して終結します。コレラ、ペスト皆そうでした。新型コロナもオミクロン株を最後に春には終わるであろうと、勝手に断定しています。

新年、ブログ子の胸にストンと落ちた評論は加瀬英明氏の下記の一文でした。出所はメモしていなかったのですが、多分、産経新聞だと思います。

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日本国民は日本人として誇りを取り戻そう
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            加瀬英明
 
 アメリカでは、白人、アメリカ人、男性、国家であることを恥じる キャンセル・カルチャーが、白人、民主党支持者、中産階級、高学歴のあいだで、草木を靡かせる力を持って、ワシントン初代大統領、独立宣言起草者・3代目大統領のジェファーソンが奴隷主だった、リンカーン大統領、第一次大戦時のウィルソ ン大統領が人種差別主義者だといって、 アメリカ大陸を発見したコロンブスをはじめとする銅像、街路、公園、 公共建造物などがつぎつぎと撤廃されている。

 人種、宗教、性差別といって、ポリティカル・コレクトネス(言葉 狩り)が暴走して、「ミスター、ミセス、ミス」は全員を「Mx(ミック ス)」、「メリー・クリスマス」を「ハッピー・ホリデイ」、「クリスマ ス・ツリー」を「ホリデイ・ ツリー」と言い替えねばならない。自らつくりだした贖罪意識という泥濘のなかを転げ回って、快感に浸っている。

 戦後の日本によく似ている。私は親しいアメリカの友人たちに、「アメ リカが日本占領下で日本の伝統を棄てるキャンセル・カルチャーを強いて、天に向かって唾を吐いたことが、ブーメランのように頭部に当たって脳震盪を起している」と、からかっている。

 天網恢恢(てんもうかいかい)だ。ブーメランはオーストラリア原住民の 木製、扁平弓型の狩り道具で、投げ手の元に戻ってくる。

 アメリカは野蛮な国だ。対日占領が粗暴なものだったのに驚くことはない。

 幣原喜十郎内閣が占領軍総司令部の「日本国憲法案」を鵜呑みにすることを強いられた閣議で、幣原首相が涙に咽せながら「国体(天皇)を護るために方法がない」と述べたのは、よく知られている。

 アメリカ軍による占領期間は僅か六年だった。自虐史観と日本国憲法が定着したのは、アメリカ軍の力によるものではない。保身のために占領軍の傀儡となった大新聞や、学者たちが積極的に協力したからだ。東京裁判は23人が昭和6(1931)年の満州事変から敗戦までアジアを侵略する共同謀議を行った“罪状”によって、裁かれた。

 だが、満州事変から真珠湾攻撃まで、昭和の日本にとってもっとも重要だった10年に首相が11人も交替した。1人1年以下だ。国家戦略も共同謀議もあったものでない。

 大東亜戦争という名称は、日本政府もマスコミも使用しない。東京裁判が進行中、連合国は日本が解放したアジア植民地を再支配しようとして侵 略していた。大東亜戦争は昭和20年8月に終わったとされているが、誤りだ。大東亜戦争をアジア諸民族が戦い続けて、インドネシア、ベトナム、マレーシアなどの諸国がつぎつぎと独立した

 大手新聞の販売部数が激減して不動産収入によって息を継ぎ、占領軍の 商女(ゆうぎ)だった学者も退場しつつある。日本の夜明けが近い。

林家三平「笑点」クビの当然

日本テレビ系の「笑点」で大喜利のレギュラーメンバーを務めていた落語家の林家三平(51)が、26日の放送で降板した。後任は来年1月1日の放送で発表するという。

やっぱりなあ、というのがブログ子の感想である。妙な縁で「笑点」とは50年ほど前、日本テレビが麹町にあった頃から付き合いがあった。それは毎年発売される「笑点カレンダー」がはじまりだった。

当時はソ連の時代だったが、ブログ子の新聞社のモスクワ支局から毎年10月頃になると、カレンダーとボールペンを大量に送ってほしいという依頼が来る。ちょっとした取材の謝礼に使って喜ばれるからで、ホントはトイレットペーパーも欲しいのだがかさばってとても郵送に耐えられないのでその二つで良いという。

ソ連のトイレットペーパーは「まるで画用紙で尻をこそぎ落とすよう」と言われていた。筆記具は鉛筆が主流で良質のボールペンなど皆無だった。カレンダーは日ソで祭日も違うし不便だろうと言うと、粗雑な印刷技術で日本の大昔の絵本のようなものしかないそうで美しい日本のカレンダーは大喜びされるという。特に日本の山や海の風景もの、中でもJALや美しい和服の美女ものが人気だがカレンダーなら何でも良いと言われた。

日本でカレンダー配布が始まるのが11月末で、大急ぎで集めるのだが、そのとき大量に協力してくれたのが日本テレビの「笑点カレンダー」だった。モスクワに着くのはぎりぎり年内、時には新年に入ることもあるが、支局に着いた時にはカレンダーもボールペンも三分の一ほどになっていた。途中で税関や郵便局員に抜き取られるからである。ソ連の崩壊も近い、と予感させた。そういえば今年2021年はソ連崩壊から30年だ。

そんなわけで「笑点」のディレクターや広報と付き合いがあり、毎週観ていたものだが数年前からブログ子も家族も誰も観なくなった。三平があまりにも下手くそで観てられなくなった。記事によると5年前の平成28年5月からメンバーに加わったとあるからその直後だ。

NHKの「とんち教室」(1949年1月3日から1968年3月28日にかけて19年間放送)を知っているが、石黒敬七(柔道家)、長崎抜天(漫画家)、玉川一郎(ユーモア作家)、春風亭柳橋 (6代目)、桂三木助 (3代目)、渋沢秀雄(渋沢栄一の息子。東宝元会長)など分野が違うのに揃ってトンチの才を競ったものである。そのトンチの才が三平にはない。

更に加えると、木久扇も「馬鹿キャラ」だけで番組をこなしているが一番のトンチではさっぱりである。「笑点」の視聴率もジリ貧というが、三平と木久扇が番組をだめにしていると言っても過言ではない。正月になると女子アナや女優・タレントの大喜利が恒例だが、これも面白くないというか、スイッチを切るレベルである。早くやめた方がよい。

「多くのバラエティー番組では台本がしっかり書かれているが、笑点では構成作家は答えを用意してません。解答者の落語家が考えます。三平さんの答えがイマイチなのは、視聴者にも指摘されていましたが、答えを出す量がそもそも少なかった。本人も先輩方とスキルが違うことを自覚していましたから、今回の降板になってしまった」(夕刊フジのコメンテーター)

12月19日の放送で「笑点から重大な発表があります」と春風亭昇太から話を振られた林家三平は「今年をもって一旦焦点から離れる決意をしました。この5年半、一度も座布団10枚取ったことがない。座布団10枚獲得するためにも勉強しなおして、芸の幅を広げて戻ってくる」と語ったが、トンチというものは勉強すれば磨かれるものでもなかろう。持って生まれた才能としか言いようがない。そうした意味で落語家には世襲というものが似合わないのだと思う。

余談になるが、ブログ子は落語を3つのパターンに分けている。一番上が「噺家」で古典落語を専らとする。二番目が「落語家」で新作もこなす。三番目が「落語屋」で少し落語を齧っただけでほとんどタレント活動を専らとする。

今年、人間国宝、柳屋小三治が亡くなったが「私は噺家です」と自らを定義していた。立川談志は「俺は落語家であって噺家ではない」と自認していた。

かれこれ30年ほど前だが、この小三治師匠と永六輔を私のクルマに乗せて富山の宇奈月温泉から同じ富山・城端(じょうはな)市まで運んだことがある。同僚の記者が新聞社を辞めて入婿としてこの地の寺の坊主になった。現役時代親しかった永六輔が「昔は落語はこうしたお寺でやっていたもんだ」と、小三治と組んで毎年、農閑期に「野休み落語会」を開いていたのだが、招かれたブログ子が頼まれて一時間半ほどの旅を一緒にした。

後部座席の二人の話の面白いこと。ブログ子の大好きな志ん生のなめくじ話から当代の噺家の裏話、芸談・・・再現できないのが残念だが、一部は彼の著書『芸人その世界』にあるが、あっという間の時間で、城端市から東京に戻る間も思い出し笑いしていたものだ。

女市長の暴走を止めた女性市議の名演説

3か月居ただけの腰掛け外国人にも投票権を与える武蔵野市の住民投票条例が僅差で否決されたことを書いた。市長の暴走を止めたのが、これまで市長提案にほとんど賛成に回っていた中立会派の女性市議の素晴らしい演説であったことが、音喜多駿・議院議員ブログで知った。同氏は小池百合子都知事のシンパであったが反旗を翻して今は維新から参院に入った人物であるが、よく勘所をとらえているのに感じ入った。

ブログによると、武蔵野市はいわゆる「リベラル」が強い自治体で、中道保守勢力は劣勢。委員会も賛成多数で可決し、情勢を覆すのは困難とも見られていた。その見通しを覆したのが、いわゆる中立会派の動向で、今回、反対に回った本多夏帆議員(写真左)の反対討論の内容は秀逸だった。

趨勢決めた本多夏帆議員が涙ながらに訴えたことは、外国人参加の是非というより、「住民投票制度それ自体」や「成立プロセス」に重きを置いて反対理由を述べた。

第一が、住民投票制度そのものへの周知・市民理解の不足。住民投票制度は議会が機能不全になっている時にそれを補うため有効とされる手法だが、その本来の目的がどこまで議論されているのか。

市長は議会答弁で「住民投票制度がここまで知られていないとは思わなかった。成立後に周知広報を徹底したい」と述べたが、周知広報するのは成立前にやることが必要不可欠ではないか━という正論からピシャリと主張が始まった。

第二の反対理由が、リスクマネジメント不足。日本人であれ外国人であれ「特定の意図を持った集団」が制度を悪用することは残念ながらありえる。それにどう対応するか、できるだけ入念な制度設計や規則が求められる。

にもかかわらず、本条例案には公平性を担保するための具体案が未だにない。意見が真っ二つに分かれる中で、これだけ「住民」の定義を幅広くとった(外国人も含めた)のだから、それ相応のリスクヘッジ策を提示するべきだったのに、そこを無視してしまった。この対応こそが、今回の案の実現可能性を最も損ねた部分だと、本多議員は喝破した。

そして第三の理由は、そもそもの政策目的と手段、プロセスの妥当性、優先順位。住民投票制度の目的は市民自治の推進であり、武蔵野市においては市政運営やまちづくりに参加する住民が「固定化」している、いつものメンバーだけになってしまっている点が課題だとされてきた。

しかしそもそも課題になっている「参加する市民の固定化」の部分、これを打開することなく今回のような大胆な施策に打って出た結果、市が二分されるような分断が生まれてしまった。まさに多様な意見を取り入れ、立ち止まるプロセスこそが必要だったのではないか…。

そして本多議員は最後に松下市長に対して、

「中立派の会派として、これまで市長の提案であるパートナーシップ制度や子どもの医療費助成の拡大など賛成してきました。(中略)

しかし、今回の案と今の状況でこれを可決することで、武蔵野市が目指す多様性を認め合うまちづくりが推進されるとは思えません。また、自分が推進したい案なら手続き論は甘く、反対したい案なら厳しくという姿勢は一貫性がないことからも、この決断へと至りました。」

と市長のダブルスタンダードにチクリと釘を指しながらも、今後も継続的に条例案を検討していくことには肯定的なスタンスで討論を終えた。

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ハリウッド映画にジェームス・スチュアート主演の「スミス都へ行く」(1939年。原題「Mr. Smith Goes to Washington」) というのがある。上院議員の穴埋めとして政治の世界に送り込まれた男が、 腐敗に気づき、たった一人で抵抗する。議案を葬る方策が、長時間演説で切り抜けるというストーリーだ。

日本で上映されたとき私は中学生くらいだったが、大阪・千日前の映画館で これが民主主義というものかと感動した覚えがある。

本多夏帆市議がどういう御仁か知らないが、 「行政書士。4歳1歳の子どもたちと夫との4人暮らし 」とある。同氏のもとには市長派からものすごい攻撃が殺到しているという。そのことへの反論ツイッターがまたいい。

「考えが合致しないのは分かります。でも、だからって、最低だとか馬鹿だとか、そういうのはやめません?」

左巻きは60年安保のときも、70年安保のときも、反対派に対し「低能」「馬鹿」と投げかけてきた。ブーメランで今同じ言葉が彼らに投げかけられている。

松下玲子市長に取って代わって本多夏帆議員にその席についてもらいたいものだ。

女の「平和・人権」論で国防問題にしゃしゃり出るな

東京都武蔵野市議会は21日、日本人と外国人を区別せずに投票権を認める住民投票条例案を反対多数で否決した。議長を除く25人で採決が行われ、賛成11、反対14。過半数は13で、条例案は廃案となった。態度を明確にしていなかった無所属議員2人が反対に回りかろうじて否決されたが危ういところだった。13日の市議会総務委員会では可決されていたが、本会議で判断が覆った。

ブログ子はかねてから条例案を提案した松下玲子市長の「外国人だからという理由で地域の課題に対して意見を表明する権利を奪う合理的な理由は見つからない」と強引に令和4年度中の施行を目指す姿勢を危うんでいたが、ひとまず良かった。


 条例案では、市内に3か月以上住む18歳以上の市民に投票権があると定め、留学生や技能実習生など在留資格を持つ外国人も含まれる。投票資格者に外国人を含む住民投票条例を持つ自治体は全国に43あるが、永住外国人に限るなどの要件を設ける自治体が多く、日本人と同様に3か月以上在住していれば投票できるとするのは、神奈川県逗子市と大阪府豊中市の2市にとどまる。

外国人と日本人を区別せずに投票権を認めるということは、国益を損なうということがの市長にはわかっていない。住民投票では、自衛隊誘致や原発建設など安全保障政策に直結するテーマが争点になることが多く、主権国家にとって危険な流れにつながる。本国に忠誠を誓う外国人住民に投票権を与えるのは重大な危険を伴う。

「税金を納めているのだから、市内に住む外国人にも投票を認めるべきだ」というのが、賛成派の主張だが、「外国人への投票権付与は、国民主権の侵害リスクを伴う」ものなのである。自治体には公権力の行使を伴う事務も多い。外国人の投票を認めれば、日本人住民の総意には反する結果が出ても、市は従わざるを得ず、住民の権利を侵害する事態も起こり得る。

松下玲子市長は東京都議を経て平成29年に市長に就任し、今年10月の市長選挙で自治労、 日共、立憲民主党、社民党、れいわ新選組、武蔵野・生活者ネットワー ク、緑の党が支持して、自民党、公明党、東京維新の会が推す候補を圧勝 して再選された。武蔵野市は菅直人元首相のお膝元で左派が強い。

彼らは「安全保障上の懸念」という声に「外国人が大挙して押し寄せて、自治体を乗っ取るなんて夢物語だ。地方政治に国防や安全保障に関わることなどない」と主張するが、台湾が目の前でその先の中国から指呼の間にある与那国島、すでに韓国人が大挙して押し寄せていて土地が買われている対馬など「危うい」ところはたくさんある。

外国人参政権が離島などの小さな自治体に広がっていけば、かなりの権限を外国人住民が持つことは現実的にありえる。また 外国人参政権は違憲の疑いが強い。地方政治の投票権であっても結果的に憲法違反につながるのだ。

外国人の政治活動が問題とされた昭和53年のマクリーン事件最高裁判決では、政治的な意思決定などに影響を及ぼす政治的活動を外国人に認めていない。武蔵野市のような条例案が通れば、外国人に対しても市政に参加する権利が認められたことになるから、住民投票のテーマではない市の重要な計画策定や条例の制定改廃についても意思表明の機会を設ける努力が必要となる。最高裁判決の趣旨から考えても、憲法違反の疑いは明らかだ。

「外国人に寄り添う」のもいいだろうが、尖閣に連日押し寄せる中国や、未だにありもしなかった従軍慰安婦・徴用工をわめき続ける韓国の行動を念頭に入れてからにしてもらいたい。

否決されたものの松下市長は、改めて条例案を検討した上で再提出する意向を示しているという。もういい、いいかげんにしろと言いたい。「平和」は念仏のように唱えていれば訪れるものではない。確固とした「軍事力」を持った国だけが自力で手に入れるものである。それが国際社会での力学である。

岸田首相、何をためらう「外交ボイコット」

米英豪加などファイブアイズ国家が北京五輪の外交的ボイコットを表明した。さて、日本はどうか。日本政府は「現時点では何も決まっていない」というが、開催まで、あと2カ月である。いつまで優柔不断を続けるのか。

9月の自民党総裁選出馬に当たり、香港や新疆ウイグル自治区での人権侵害に「毅然と対応する」と主張、新設した国際人権問題担当首相補佐官に中谷元・元防衛相を起用した。これはきちんと対応するのだろうと思ったら、「人権問題」担当の当の本人は 「制裁を伴ってどういうことが起こるかしっかり検証しないといけない。日本は対話と協力で対応してきた」とトーンダウンさせる始末だ。

来年(2022年)は日中国交正常化50周年の節目に当たるので波風を立てたくないという腹なのだろうが、中共政府はそんなことで日本への圧力を弱めたりはしない。尖閣諸島には連日海警船が押し寄せているし、招請されて中国に渡った大学教授を未だに拘束したままだ。

中国外務省の趙立堅報道官は25日の記者会見で、「中国は既に、日本の東京五輪開催を全力で支持した。日本は基本的な信義を持つべきだ」とあからあまに牽制している

腰が引けた日本は見透かされている。2008年8月の北京五輪はどうだったか。当時の国連事務総長に加え、英チャールズ皇太子も開会式への不参加を表明。フランスの外相も「EUは開会式への不参加を検討すべき」と発言し、実際に英国やカナダ、スペイン等々、世界各国の首脳が開会式への参加を控えたが、日本は歴代の首相の中でも媚中派ナンバーワンであった当時の福田康夫首相が笑顔で開会式に参加した。さすがに実現しなかったが、中国は当時の天皇陛下、皇族方のご出席まで要請していた。

1989年の天安門事件後に開かれたG7サミット(先進国首脳会議)でも日本は醜態を晒した。対中関係の維持を図る日本が、人権重視の欧米に「1対6」の構図で抵抗。中国への制裁で結束していた西側諸国の足並みを、一人で乱した。当時、中国外相を務めた銭其琛元副首相は後に、「日本は西側の対中制裁の連合戦線の最も弱い輪であり、中国が西側の制裁を打破する際におのずと最もよい突破口となった」と回顧した(『銭其琛回顧録』東洋書院)。

岸田首相は「聴く力」を看板にしている。しかしこのところ挫折の連続である。公明党主張を入れて決めた18歳以下の子供への一律10万円相当の給付金は「年内に現金5万円、年度末までにクーポンで5万円」が、事務経費に960億円という馬鹿な経費がやり玉にあがり、「自治体希望で10万円一括支給もOK」ときた。

新型コロナの新たな変異、オミクロン株の感染防止策をめぐっても、岸田文雄政権は迷走した。日本着国際線の新規予約を日本人を含めて停止するよう、各航空会社に要請したが、批判を受けて、たちまち修正した。

もし実施されていれば、海外に滞在していて、これから年内に帰国しようと思っている日本人は、予約済みの人を除いて、帰国できなくなってしまう。年末年始を控えて、一時帰国を検討中の在外邦人も多い。海外出張者も、いったん出国したら、いつ帰れるか、分からなくなる。

国家最大の使命は国民の生命と暮らしを守ることだ。「日本人が日本に帰国するのを政府が認めない」などという話は、ありえないし憲法違反で訴えられて然るべき話である。北朝鮮による拉致被害者の帰国に向けた国民大集会に出席した岸田首相は、「わたしの手で、必ず解決しなければならない」と決意を述べた(11月13日)が、なにか空々しい。

中国の報道官ごときに「信義」で脅かされた日本政府の対応はというと、東京五輪・パラリンピック組織委員会会長の橋本聖子参院議員か日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長の出席を検討していると言われる。今夏の東京大会に中国は閣僚級の苟仲文・国家体育総局長を派遣した。政府関係者によると、苟氏は中国オリンピック委員会トップも兼ねており、苟氏と同格の山下氏を派遣すれば、外交上の「返礼」を満たすとみている。

これで米国などと歩調を合わせた「人権重視」対応との説明ができるというのだろうが、狡猾な中国はそんなこと見透かしている。そんな姑息な手段はやめて堂々と正面から「外交ボイコット」に出るべきだ。

ジャーナリストの櫻井よし子さんは12日のインターネット番組「言論テ レビ」でこう語っていた。「東京五輪で森喜朗氏を(女性蔑視、差別だ と)激しく批判していた人たちは、中国のウイグル人に対するジェ ノサイド、民族集団虐殺に対して森氏より何十万倍も激しい批判をしてく れると信じたい」

また朝日新聞の社説では、外交ボイコットは「(政府は)付随的な意味しかない政府代表の参加をやめることで、中国への強腰と人権重視の看板をアピールしたいようだ。ただ、この措置が実際に問題解決につながる見通しはない。中国国民の胸中には人権意識よりも、米国への反発心を強く残しかねない」という。

ブログ子の経験では、何事も朝日新聞の逆を行えば正解である。この意味でも、早急に外交ボイコットに踏みきるべき時である。

「盲亀の浮木」の屁理屈を振りかざす腑抜け知事

秋田県の佐竹敬久知事は1日、地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の配備計画断念を巡り、防衛省が秋田市で開く予定の住民説明会について「地元をだいぶ振り回したことへのおわびの言葉は絶対ほしい。防衛省側の出席者については、少なくとも政務三役に顔を出してもらいたい」と求めた。

30日午後6時10分ごろ、米軍三沢基地(青森県三沢市)所属のF16戦闘機が青森空港に緊急着陸した。防衛省関係者によると、着陸前に燃料タンク2個を同県深浦町の道路付近と岩木山(弘前市など)周辺の山林に投棄した(写真右 見つかった2個目タンク)。青森県の三村申吾知事は三沢基地のティモシー・マーフィー副司令官と県庁で面会。「一歩間違えれば大変な惨事だった。深く反省してほしい」と抗議、原因が判明するまで同型機の飛行停止を求めた。副司令官は「県民にご心配、ご迷惑をお掛けしていることを改めておわびしたい」と陳謝。岸信夫防衛相は1日夕、記者団の取材に応じ、「住民に不安を生じさせる、あってはならないことだ。大変重く受け止めている」と述べた。

◇ ◇ ◇

緊急時のタンク投棄は戦闘機のマニュアルにあることで、着陸時の大炎上を避けるため当たり前のことだ。これが沖縄だと沖縄タイムス、琉球新報というメディアを先頭に共産、社民、立憲民主の「オール沖縄」勢力が「住宅地までわずか数百メートル」といった「恐ろしや」騒ぎがいつも繰り返される。青森、秋田というのはそれに比べればまだ「マシ」な部類だと考えがちだが、そこでも以上のような、「盲亀の浮木」騒動である。

盲亀の浮木というのは、大洋を泳ぐ盲目の亀が浮木にぶち当たる確率で、千に一つ、万に一つもないこと。ただ最近ではアメリカの原子力潜水艦が大洋で浮上したところ大型貨物船にぶつかって艦長以下当直士官が更迭される事件があって、「百に一つ」くらいの確率になっている。

地方への権限移譲が進んで知事の裁量がおよぶ案件は以前より大幅に増えた。ただ、安全保障の問題は知事裁量を超える国政の問題である。それを大声で言うと騒ぎがさらに大きくなるのが日本の現状で、米軍の副司令官は「お詫び」するし、防衛相は「あってはならないことだ」と言わざるを得ない。

その結果どうなるか。
上で「イージス・アショア」(陸上イージス)が迎撃する際、ロケットの弾倉が住宅地に落下する恐れがないとは言えないと拒否した秋田県や山口県(写真右は山口県の反対デモ)のような「盲亀の浮木」論が幅を利かすことになる。

ごねられて政府は陸上イージスの導入断念、代替艦「イージス・システム搭載艦」2隻の導入方針を昨年12月に閣議決定した。しかし計画当時の総コストは4500億円ほどだったのが、試算してみたら少なくとも2倍の9千億円、あるいは1兆円とも。

さらには洋上で2隻がミサイル防衛に従事できる期間は年にわずか126日と一年の三分の一。整備などに充てる期間が必要なためだ。米軍が実施した迎撃試験の確率が低いという説も出てきた。

「張りぼて」説もある北朝鮮の弾道ミサイルを撃ち落とす装備にしては高すぎる。その間、中国が超音速大陸間弾道弾の実験に成功との報道も伝えられた。イージスでは対応できない軍事技術の進歩を前に、イージス計画は頓挫に追い込まれている。

平和ボケした日本は左翼・リベラルが振りかざす憲法を盾にした「専守防衛」から抜け出せない。現代戦は先制攻撃で一巻の終わりである。未だに「敵基地攻撃」などもってのほかなのだから、何をかいわんや、である。

くだらない「記者質問」が多すぎる

以前にはなかったことだが最近、記者会見がテレビ中継されることが多い。元新聞記者として見ていて、「質問が長すぎる。要するに何が聞きたいんだ」といらつき、腹立ち紛れにスイッチを切ることもある。

最近の例から挙げる。立憲民主党の枝野幸男前代表が先の衆院選で敗北した責任をとって辞任、12日に開かれた記者会見がネット中継されたときのことだ。ぐだぐだと「質問」する記者に、枝野代表が「ここはあなたの意見を聞く場ではない」ときっぱり拒絶したのだ。なんでも反対、口を開けば「政権を寄越せ」の代表が最後に見せた対応は立派だった。

再現するとこうだーーー。ネットメディア「インディペンデント・ウェブ・ジャーナル」(IWJ)の記者というのが、ながながと自説を繰り広げた。

「衆院選では意図的に隠されていたが、本質的な争点は緊急事態条項(の創設)を核とする自民党4項目の改憲か、その改憲案に反対かであったことは明らかだ。立民は自民党の改憲4項目に反対する改憲反対派としてこの国の市民、国民に重大な責任を負っているのではないか(中略)。後継の代表選に名乗りを上げた人物には、自民党より改憲に貪欲な姿勢をみせる方もいる。代表人事を誤ればこの国の未来を危うくする。(後継指名する場合)緊急事態条項は絶対に許さないと、今度こそこの問題を焦点に据えて野党共闘で戦うことを条件として提示するか」

この記者は左派らしく「(枝野代表は)辞任の必要はない」という主張も含めて質問時間はなんと3分を超えた。

枝野氏は「申し訳ないが、あなたの意見だと思う。記者会見はあなたの意見を聞かせてもらい、そのことに答える場ではない。あくまでも中立的立場の報道機関の皆さんに対して説明をする場だと思っている」と打ち切ろうとした。

IWJ記者は、なおも「質問は自らの意見でなく、常に市民から要請や意見を頂戴し、その事実に基づいて総合的に判断している」と反論したが、枝野氏は「私たちの考え方と百八十度違う社説を載せている社もいるが、そういう社もここでは中立性という立場に立った前提で質問をもらっている。そこを整理しないと会見が混乱する。そもそも選挙の争点はあなたが決めるものではない」。

このやりとりを受け、朝日新聞記者が応援のつもりか「中立性という言葉は恣意的な解釈の幅がありうる。ネットメディアやフリーランスを排除することはないのか」と質問。枝野氏は排除を否定したうえで「『こういう意見もあるがどうか』みたいな話は当然あるだろうが、それを延々と話してもらう場ではない」と答えた。

さらに別の同じ仲間と見られるフリー記者が「記者差別、排除につながる問題発言だ。(4年前の希望の党合流をめぐる)排除発言から生まれた立憲民主党の代表とは思えない暴言だ」と批判し発言の撤回も求めたが、枝野氏は応じなかった。

◇ ◇ ◇

自民党の高市早苗前総務相が党総裁選への出馬表明記者会見もひどかった。会場にいた「報道関係者」が森友学園をめぐる問題について「再調査するのか」「話さないのか」と怒鳴り声を上げた。高市氏は「一人の公務員が大変追い詰められ、命を絶った気の毒な事件だ。こういった改竄が絶対に起こらない体制を作る」などと説明したがおさまらず、さらに

「安倍晋三前首相への忖度か」「安倍氏の傀儡ではないか」と怒鳴り続けたため、別の報道関係者が「やめろよ」と制止に入った。高市氏は「そこまでやじり倒さないでください。本日はありがとうございました」と締めくくった。

男は横田一という左翼活動家で、小池百合子知事の記者会見で「(前原代表が)希望の党に公認申請をすれば、排除されないという説明をしたのですが、あなたは、安保、改憲を考慮して一致しない人は公認しないと言っている。どうなのか」と迫り、小池知事から「排除されないということはございませんで、排除いたします」という答弁を引き出した人物。

本人は、高市会見で大声を出したことを認めた上で「ルールやマナーを守っているばかりでは、聞くべきことが聞けなくなる。相手を怒らせて本音を引き出すというのは、インタビューの常套手段ですよ」としらばっくれる。

◇ ◇ ◇

毎日開かれる官房長官記者会見で長々と質問するので有名なのが東京新聞の望月衣塑子記者。政府高官が彼女の長ったらしい話を非難し、彼女の質問を完全に遮るということもよくある。彼女が北朝鮮について質問すると、菅義偉官房長官(当時)は「あなたの個々の質問にお答えする必要はありません」と言い返して、演台からつかつかと立ち去ったほどだ。

◇ ◇ ◇

11月15日に千代田区の日本記者クラブでの大谷翔平凱旋記者会見もひどかった。およそ1時間の会見は、NHKやネットでもライブ中継され、数多のメディアが思い思いの質問をぶつけた。しかし、その内容は高額納税者として日米の税制についての見解や、帰国後の初めての食事、プライベートでの結婚観についてなど……。本筋の野球からは外れた内容のものばかり。

米スポーツ専門放送局『FOX Sports』のアナリスト、ベン・バーランダー氏は、1分あまりにわたった冒頭の質問を自身のTwitterで「僕は流暢な日本語を話せないけど、この質問は長すぎる」と一刀両断。そのうえで、「「記者会見が今終わった。ショウヘイ・オオタニは彼らが尋ねた質問よりも遥かに価値がある。この男は、史上最も素晴らしいシーズンを過ごし、MVP受賞まで数日と迫っているんだ」と皮肉った。

もっとひどかったのは、 元日本ハムの投手で、野球解説者としてテレビに出ている岩本勉氏。自身があてられると、「会場の皆さん、世界でこれだけ活躍している大谷翔平選手が、華々しく日本に帰ってきてくれました。まずをもって大きな拍手をお願いします」と報道陣に拍手を求めた。さらに「ロングタイムノーシー ハウアーユートゥデイ(お久しぶりです。今日はご機嫌いかがですか)」と英語で語りかけて、まわりを唖然とさせた。

ブログ子は日本記者クラブの会員でもあり、少し知っているが、会員資格は「新聞記者で、入会には会員2人の紹介が必要で、毎月6000円(今は5000円)の会費納入者」で、会見場に入れるのは会員社及び会員である。野球解説者がどうして“取材者”として出席できたのか。おそらくテレビ番組の関係者が名義借りしたのだろう。

◇ ◇ ◇

ブログ子の観察だが、記者会見での「問題児、馬鹿質問」は政治問題では左翼・リベラル系、皇室問題では女性誌、スポーツ選手相手では運動部記者、タレント・女優相手では芸能記者が多い。

政治家の記者会見が面白くないのは確かである。経験で言うのだが、それには理由がある。総裁選などの立候補者、官房長官会見‥これらは政治部記者にとって「表向き」でしかない。本音はそれぞれの「番記者」が夜回りや、派閥の有力者を回って仕入れるしかない。誰が入閣予定者の名前を記者会見でしゃべるものか。

裏取材の世界だが、記者クラブ制度が閉鎖的だという批判にさらされている。また会見がそのままテレビやネットで中継されるのが普通となり、フリーランスの記者ややネットメディアの記者も参加する開放的な傾向にある。フリー記者で懸命に取材していてそれをぶつけてくる人もいるが、中には自分がテレビに写りたいがためとか、目立ちたい、持論を展開するだけといった、邪道に陥っている者など鋭い質問とは言い難い輩も少なくない。

ジャーナリストとは本来「新聞記者」の意で、自分で取材して、何らかの発表手段を持つ者である。「質が落ちた」というのは簡単だが、ここらで是正しないと、見限られることになるだろう。

新聞・テレビの凋落で選挙予測は的外れに

 衆議院議員総選挙は、自民党がやや議席を減らしたものの、単独で絶対安定多数を確保(261議席)、野党は立憲民主党が議席を減らして(96議席)枝野幸男代表のクビが飛び、日本維新の会が議席を4倍に増やした。

この選挙で惨めだったのが新聞、テレビなど報道各社による事前の情勢調査や予測記事がことごとく外れたことだ。

 報道各社の事前予測では、
▼「自民“単独過半数”は微妙な情勢」(25日、FNN)、
▼「自民の単独過半数維持は微妙」(28日、読売新聞)
▼「自民議席減・与党過半数の公算 立憲上積み視野」(21日、毎日新聞)
▽「自民が単独過半数確保の勢い、立憲はほぼ横ばい」(25日、朝日新聞)

終盤、具体的に議席数をあげる段階で、

▼「自民218~246、立民126~151、共産16~19」(産経)
▼「自民212~253、公明27~35、立民99~141」(NHK)
▼「自民231、公明33、立民137」(週刊文春)
▽「自民251~279、公明25~37、立民94~120」(朝日」

開票が始まった段階でも、
▼「自民240、公明30、立民111」(池上彰氏仕切るテレビ東京)

新聞は朝日以外は産経を筆頭に大外れもいいところ、テレビは全敗である。前回の総選(2018)でもメディアの予測は外れたが、今回ほど惨めなものではなかった。

ブログ子が現役の頃、何回か総選挙報道を経験したが、そのころ最も選挙予測で信頼されていたのは新聞では朝日、テレビではNHKであった。特にNHKは金に糸目をつけず、大規模に調査員を動員して全国規模でやるから正確さに定評があった。しかしデータは、報道の参考として政治部中心に回覧されていて直接放送されることはなかったので永田町関係者から「なんとか見せてもらえないか」と頼まれるほどだった。そのNHKすら今回は大外れだから、何をかいわんやである。

なぜ、こんなことになったのか?ブログ子には心当たりがある。

半世紀ほど前の旧聞に属するが、学生時代に札幌で朝日新聞の選挙予測のアルバイトをしたことがある。初任給1万5000円時代に調査票1枚1000円ほど、5枚で5000円くれるので魅力的なバイトで希望者は多かった。札幌支社の一室に集められ、まず統計学の「講義」を聞かされた。

統計学の理論では「階層化」が大事だということ。選挙なら男女別、年齢、居住地、職業(自営かサラリーマンか)など。この作業、サンプリングと呼んでいるが、統計学では200あればほぼ正確に出るとされるのだが、朝日では2000部調査票を集めていた。

具体的作業は、市役所の出張所にある住民票の簿冊を閲覧して、何番目の簿冊の、何番目の世帯主、そこから選挙権がある何番目の人・・・というふうに選び出し、その人物に直接調査票を書いてもらう。回収にまた出かけるのだが、勤め人だと夜遅いことがあるから帰るまで外で待っている。

こうした地道な調査を知っているから、同じメディア側に立つようになっても、朝日が「選挙報道の朝日」と自賛しても、さもありなんと認めてきた。他の新聞社も程度の差こそあれ同じようなサンプリングでデータを取っていたからそれなりに信頼度は高かった。NHKは加えて投票日の「出口調査」に力を入れてきたから午後8時の開票作業開始と同時に当確を打つなどみな自信満々であった。

ところが新聞はみな落ち目になった。部数減でカネがかかる選挙予測が負担になってきた。幸いなことにテレビはみな新聞社がダミーになって設立した経緯がある。取って代わって隆盛を誇るテレビに寄っかかるようになった。産経に例を取るとFNN調査、つまりフジテレビと協同調査となっているが殆どの調査金額はテレビ持ちといった塩梅である。これは他の新聞も同じである。

時を同じくして調査方法が手軽なRDD方式に取って代わり、これを専業とする調査会社に委ねるところが多くなった。これはコンピューターで発生させた電話番号に掛け、出た人から調査票に聞き取るもので、上述のサンプリングでいうと「階層化」がなってないという欠点がある。加えてこの調査方法では「聞き直し」の有無で大きな違いが出てくる。

「聞き直し」というのは「まだ決めていない」「どちらでもない」と答えた人に、再度、今はどうですかと問い直すことである。各社の調査で政党の支持率などでに違いが出ていることが多いが、「無党派層」から、その違いの分を引くとだいたいその誤差に該当するものである。

さて今回の議席予測で朝日が唯一、実際の議席に近かった理由だが、多くのメディアが頼った従来からの情勢調査の手法(RDD)ではなく、インターネットで回答を募る「ネットパネル調査」を基に小選挙区の予測をしたことによるという。朝日によると、調査会社4社に委託し(金を払って)各社に登録されている登録モニターを対象にした、と説明しているが、これまでこの方法は、サンプルが偏るために情勢調査には不向きとされてきた。第一、登録モニター対象というのでは、上述のサンプリングでいう階層化が出来ているとは言い難い。統計学的な理論的説明が必要であろう。

NHKが外れた理由だが、次第に増えている期日前投票の把握が出来ていないからではなかろうか。いくら金に糸目をつけないNHKでも、投票日までの長い期間、バイトに出口調査に当たらせるわけにも行かない。与野党の固定支持層はこの期間に投票に出向くであろうから、この数値が読み込めないということもある。

何かというと国の財布に手を突っ込む公明党

「18歳以下のすべての子供に対する一律10万円給付」をゴリ押ししている公明党。いい加減にせよとの声は世に満ち溢れている。

選挙期間中、公明党の山口那津男代表は「“未来応援給付”を提案しております。“未来応援給付”を訴えております。“未来応援給付”をやります!」と連呼して32議席を獲得した手前、引くに引けないのはわかるが、「連立政権」をいいことに毎度自民党に抱きついては国の財布から人気取りのバラマキ政策を繰り返すこの党に、国民は怒りすら感じているのがわからないのか。

先の総選挙では維新と国民民主以外、みなバラマキ公約を掲げた。自民党も然り。ただ高市早苗政調会長は「自民党の公約は公明党とはまったく内容が違う。わたしたちは本当にお困りの方に経済支援をするというもので、そうでない方に支援をするということは書いてない」と弁明していた。

公明党が「10万円一律給付」に固執するのは、選挙で一番世話になった創価学会婦人部への「お礼」であろう。今回の与党に厳しかった衆議院選挙でも公明党の当選者は3人増の32人だった。婦人部(現在は女性部)から「あれだけ応援したのに何の見返りもない」と言われるから引くに引けない事情がある。「学会員だけに配れ」とは言えないから、一律ということになる。

結局、岸田首相が10日午前、公明党の山口代表と会談し、18歳以下への10万円相当の給付について、所得制限を設ける方針で一致した。夫婦と子ども2人のモデル世帯では、年収960万円以上の高所得層を対象から外すことで決着した。

官邸に入る山口那津男代表。バラマキを押し通した。

バラマキ批判に配慮した形だが、実際に給付対象から外れる世帯は全体のわずか1割程度にすぎず、ほとんど「一律給付」である。年内に現金5万円を先行給付し、来春までに残る5万円を子育て関連に使途を限定したクーポンを配布する。対象家庭には年内に公明党からボーナスが出るわけだ。

この日の自公トップ会談では、マイナンバーカードの新規取得者などに最大2万円分のポイントを付与することも確認した。公明は3万円相当のポイント付与を求めていたから、1万円分譲った。このほか、住民税非課税世帯に、これとは別に現金10万円を給付することでも合意している。

公明党の高笑いが聞こえるような「手打ち」だ。この結果、バラマキ対象は約2000万人。ざっと2兆円が国の財布から出ていく。

これまでも公明党は、地域振興券や給付金といった評判の悪い公約を掲げ、連立政権という錦の御旗を押し立てては、実現してきた。地域振興券は「子育てを支援し、老齢福祉年金等の受給者や所得の低い高齢者の経済的負担を軽減する」というのが公明党の名目で、市区町村が発行した。15歳以下の子供がいるとか、一定の条件を満たした国民に2万円分が配られた。およそ6200億円の財源は国持ち、つまり税金で7000億円。

自公連立の立役者だった野中広務が、「天下の愚策かもしれないが、七千億円の国会対策費だと思ってほしい」と語ったのは有名な話だ。

今朝(10日)の産経抄に「パンとサーカス」の話が出ていた。このコラムは小生がよく知る田中規雄論説委員が書いている。こうある。

▼「パンとサーカス」は、古代ローマ帝国の詩人の言葉である。市民が権力者からパン(食糧)とサーカス(娯楽)を与えられ、政治に無関心となったさまを揶揄(やゆ)したものだ。

▼矢野康治財務事務次官が月刊誌に寄稿した論文でも、「最近のバラマキ合戦のような政策論」を批判するのにこの言葉を使っていた。もっとも詩人の亡くなった後も、ローマ帝国は400年近くも命脈を保つ。滅亡の原因になったわけではなさそうだ。

▼作家の塩野七生さんによれば、パンについては共和制時代の「小麦法」が始まりだった。国家が一定量の小麦を買い上げ、市民に配給する。最低の保障とはいえ、少なくとも飢餓が原因の集団死はまったく起こらなかった。サーカスは人気取りだけが狙いではない。皇帝が競技場で観衆の反応を確かめる、現在の世論調査の機能も果たしていたという(『ローマ人への20の質問』)。

▼パンとサーカスには、ともかく目的と効用があった。単なるバラマキではなかった。それにひきかえ、公明党の主張はどうだろう。18歳以下の子供に対して、一律10万円相当を給付するという。(以下略)

前回、このブログで「こんな面白い総選挙見たことない」と書いた。何かというと「辞めろ」、「政権交代せよ」とほざいていた支持率わずか6%の立憲民主党の枝野幸男代表がその座を追われたことは欣快至極ではあるが、同時に維新が4倍近く議席を伸ばして公明党を抜いて第3党に躍り出た。憲法改正に前向きな維新、国民民主入れると改正発議に必要な3分の2議席に達した。

公明党はバラマキだけでなく、憲法改正に後ろ向きで、なにより親中派である。今回の総選挙で公明党擁護の長老は概ね消えた。そろそろ公明党を切って、維新と連立を・・・という時期である。

こんなに面白い総選挙見たことない

立憲民主党の枝野幸男代表は2日午後の党執行役員会で、代表職を辞任する考えを表明した。敗戦が明確になったあとも 「野党共闘には一定の効果はあった。おおむね理解をいただけている」と続投の意向を示していたが、これまで時の総理相手に、何かというと「任命責任」と辞任を求めていただけに、それはないだろうという声は党内外にあふれていた。

元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏は「野党がどういう責任を取るのか。枝野さんは代表を辞任するつもりはないと言われますけど、野党が政権選択選挙で負けたのに代表が、執行部が責任を取らないということならば、野党としても党として体をなさないと思いますね。いつも与党に対して責任、責任と言っているんですから。野党が唯一責任を取れる場面というのが選挙で負けた時に執行部が身を引くことでしょう」と迫っていた。福山哲郎幹事長も引責辞任する意向で立憲民主党首脳は総取っ替えになる。

/敗因は「立憲共産党」のこの二人

誰が考えても敗因は立憲民主党が9月末共産党と結んだ「合意」にある。衆院選で政権交代した場合、共産党から「限定的な閣外からの協力」を得るという。共産党は綱領で「日米安保廃棄」「自衛隊解消」を掲げる。枝野氏の「日米同盟を軸とした現実的な外交・安全保障政策を進める」という立場とは、大きく食い違う。「野合」そのものだ。

麻生太郎副総裁は「立憲民主党はいまや『立憲共産党』になった」。甘利明幹事長は「共産党が意思決定に直接、関与する政権は今までの日本にはなかった」と非難した。立民最大のスポンサーである、連合の初の女性トップとなった芳野友子会長は「共産党の閣外協力はあり得ない」と断言していた。

それにも関わらず、立民は全選挙区の7割以上にあたる213選挙区で共産党などと野党候補を一本化した。結果は自民党が想定外の勝利をおさめ、立憲民主党と日本共産党は想定外の大惨敗を喫した。2つの野党の合体について、支持したリベラル左翼のメディアや政治家よりも、国民の方が正確に理解していた。つまり、単なる政権交代への道ではなく、自由と民主主義の政治体制か、共産党の影響を強く受ける政治体制かの体制選択選挙そのものだったのだ。

事前予想では、メディアは自民党は公示前の議席数を大幅に減らすと報じた。自民党はこれを受けて獲得議席目標を「過半数の233議席の確保」に絞った。結果は261議席、絶対安定多数を得た。日本維新の会は4倍近くの41議席、公明党の32議席を入れて334議席。共産党と対立した3党が憲法改正に十分な数を得た。

他方、立民は大幅増を期待されたが、議席は14も減らして96だった。共産党も2議席減らした。大きく考えの異なる政党共闘のいかがわしさを国民が嫌ったのは明白だ。節操のない野党共闘の実態を国民は見抜いたのだ。

それにしても今回の総選挙、与野党で「大整理」が行われた。

与党では自民党の甘利明幹事長が小選挙区で敗北、比例で復活したものの潔く幹事長を辞任。自民党の元幹事長で石原派会長の石原伸晃氏も初めて敗北、永田町から去った。もっと前の総裁選に遡れば、「小石河連合」を組んだ小泉進次郎、石破茂、河野太郎という3人が粉砕された一件がある。脱原発、親中国、女系天皇を認めるという「自民党をぶっ壊す」一派が岸田文雄現首相に勝っていれば自民党はバラバラになるところだった。新中国の二階俊博前幹事長も切られた。

野党、立憲民主党の惨敗はそれ以上の「大整理」である。盤石の地盤だった辻元清美氏は維新の新人に破れた。他にも黒岩宇洋、今井雅人、川内博史各氏ら国会審議で政権批判やスキャンダル追及をしてきた「うるさい」のが落選した。

「泥舟」の社民党からうまく乗り移った辻元氏は「ソーリ、ソーリ!」と叫んで、もっぱらテレビ映りばかり気にするスタイルで運材rさせていた。昨年2月には、当時の安倍晋三首相に週刊誌報道をベースに質問し、安倍氏が「意味のない質問だよ」とやじを飛ばされたこともある。

黒岩氏は野党による官僚に対する「合同ヒアリング」の中心人物だ。「桜を見る会」前日に安倍氏の事務所が主催した夕食会をめぐる発信に対し、安倍氏が「真っ赤な噓」と反論したこともある。共産などとの「合同ヒアリング」は政府・与党の不祥事や政策の不手際があるたびに、関係する省庁の幹部職員らを会議室に呼び出して説明させる、いわばショーである。国会議員に強く反論できない立場の省庁職員を詰問する姿には、「やり過ぎだ」との批判も出ていた。

森友学園問題などで政府を追及してきた今井氏は、平成21年の旧民主党を振り出しに毎回政党を変え、いずれも比例復活で4回連続当選してきたが、立民で臨んだ今回は5回目の当選を果たせなかった。立民中堅は「最前線で批判ばかりしていた人が軒並み落ちた。路線を変えないと、支持は得られない」と語った。

ブログ子はかねて、「枝野幸男、福山哲郎、辻元清美、蓮舫がいなければ政党支持率はもっと上がる」と言ってきたが、今回蓮舫以外、みな姿を消した。きっと支持率は上がるだろう。ただ「蓮舫代表」だけはまっぴらだ。

ブログの亭主山上げ。更新途絶えます

毎年のことですが、ブログの亭主、八ケ岳に上がります。イチゴは夏の間、暑さを避けて高地に苗を上げるということをしますが、あれと一緒です。

まだ梅雨空ですがワクチン接種も2回目が済み一段落、ウイルスなど無縁の山墅が良かろうと、普段より早めの「山上げ」です。山小舎にはテレビなし、Wi-fiあるところは2キロ下のホテル、というところなので、情報とは隔絶されています。したがって、下山する晩秋までブログの更新は途絶えます。

東京オリンピック、総選挙、コロナ収束へ・・・この間、いろいろあるでしょうが下界のことは無縁です。

韓国の犯罪に見る「韓国らしさ」

ここ一両日の韓国の犯罪報道でいかにもこの国らしい、と感じ入った3例を紹介する。

地下鉄エスカレーターで男が女性に「小便テロ」

23日午後10時30分ごろ、インチョン(仁川)市内の地下鉄駅エレベーターで、前に立っていた20代の女性に向けて小便をした。背後から尿をかけられた女性は、男と揉み合いながらも身柄を確保。男を駅の職員室に連れて行き、警察に通報。

警察は‌20代の男を淫乱罪の疑いで在宅のまま捜査を進めていたが、男は翌日、自宅の花壇で遺体となって発見された。

警察関係者は「被疑者が死亡したことを受けて、公訴権無しとして事件を終結させる方針」と発表した。警察の「やれやれ感」が‏にじみ出ている。

知的障害者に集団暴行した韓国の女子高生、スマホいじりながら出廷

知的障害のある女子高校生をモーテルで集団暴行した10代の2人が28日、拘束前被疑者審問(令状実質審査)を受けるため、インチョン(仁川)地裁に出廷した。

2人は白のキャップを深く被り、マスクで顔のほとんどを覆った状態で、「障害のある友人に、なぜひどいことを?」、「責任は感じていないのか?」など取材陣の質問に答えることなく、無言のまま。もう1人の女子高生は取材陣の質問に沈黙するだけでなく、自身のスマホ画面をいじりながら足早に建物へ入っていった。

 警察によると、2人は去る16日午後9時ごろ仁川市のモーテルで知的障害3級の女子高生(16)を暴行し、顔などにけがを負わせた容疑。被害者の母親が娘と連絡が取れないことを心配してスマホのアプリケーションで位置を確認し、該当の場所に行くと、裸で汚物まみれになった娘を発見。警察に通報し、事件が発覚した。


 ③「反腐敗秘書官」が9億円の腐敗疑惑

韓国大統領府で、社会の不正対策を担う金起杓(キム・ギピョ)反腐敗秘書官(写真右

が27日、辞意を示し、文大統領が受理した。事実上の更迭。

約3カ月前に就任したばかりの金氏だが、就任後の保有資産公開で、約91億ウォン(約9億円)相当もの不動産所有が判明した。「投機目的で不動産を保有しているのではないか」と問題視されたが、金氏は否定し、違法性も明らかになっていなかった。

土地の不正投機疑惑は、文政権の支持率低下の一大要因となっている。マンションなどの不動産高騰に韓国国民が苦しむなか、韓国土地住宅公社職員らが値上がりを見込み、不動産を不正取得したとして、大量の逮捕者が出ている。疑惑は国会議員や家族にまで広がっており、与党「共に民主党」の議員も複数処分されている。

それにしても、よくもまあ、『反腐敗秘書官』というネーミングにしたものだ。ありもしない「従軍慰安婦」への謝罪と賠償の要求を求めて30年間、毎週在韓日本大使館前で)日本政府を相手にデモをして、その実、金はみな自分の懐に入れていた、「正義記憶連帯」(正義連)の代表、尹美香(今は除名されているが国会議員)の「正義」と同じパターンである。

◇ ◇ ◇

コロナ禍だが、韓国人と中国人が入国できないという「メリット」もある。密かにコロナが続くことを願っている。

地に堕ちたキャリアの犯罪

コロナ禍で売り上げが減った中小企業の関係者を装い、国の「家賃支援給付金」をだまし取ったとして、経済産業省のキャリア官僚2人が25日、詐欺容疑で警視庁に逮捕された。
自分たちが管轄する経産省の給付金制度を悪用した、まれに見る悪質なキャリアの犯罪である。

逮捕されたのは、同省経済産業政策局産業資金課の係長、桜井真(28)=東京都千代田区一番町=と、同局産業組織課の職員、新井雄太郎(28)=東京都文京区向丘1丁目=の2人。二人は慶応高校の同級生で、桜井容疑者が2018年入省、新井容疑者が20年入省。

逮捕された経産省の桜井真容疑者(左)と新井雄太郎容疑者(SNSより)


二人とも堂々たるキャリア官僚だが、だまし取った家賃支援給付金の管轄は経産省中小企業庁。つまり自分たちの「職場」で堂々と詐欺を働いたというのだ。

 2人は慶応高校時代の同級生で、桜井容疑者は慶応大学からメガバンクに就職したが、退職し、経産省に2018年入省した。新井容疑者は慶応大学から東京大学のロースクールに進学し司法試験に合格し、20年に同省に入省した。

捜査2課によると、19年11月二人の頭文字からとったと見られる「新桜商事株式会社」を設立。コロナ禍で売り上げが大幅に減った中小企業の関係者を装い、専用サイトから偽の賃貸契約書の画像データなどを提出するなどして給付金を申請し、今年1月上旬ごろに約550万円を詐取した疑いがある。新井容疑者が申請し、給付金の大半は桜井容疑者が受け取っていたとみられる。

 同課は「桜井容疑者は高級外車2台を所有している上、1か月分の給料に相当する約50万円の家賃の千代田区一番町のタワーマンション14階に住み、派手な生活をしているという情報で捜査を始めた。

新井容疑者の東京都文京区の自宅と親族宅と桜井容疑者の神奈川県の実家の計3か所へ月々200万円の家賃を支払っているというニセの賃貸借契約書を作成し、給付金をだまし取ったという。

申告書、添付書類などは新井容疑者が大半を作成したようだ。一方、カネを派手に使っていたのは、桜井容疑者で、高級時計や外車を購入していた」(捜査関係者)

桜井容疑者の住んでいた千代田区一番町の分譲タワーマンションは、不動産業者のサイトで見ると、約90平方メートルの物件で2億円近い値段がついている。

◇ ◇ ◇

最近、キャリア制度が問題になるが、ブログ子は大学4年まで知らなかった。同級生が当時の「国家公務員試験甲種」をうけるというので初めて知った。現在の「国家公務員総合職」試験である。それ以前は「国家公務員Ⅰ種、Ⅱ種試験」という時代もあった。エリート意識が高い外務省には、独自の「外務公務員採用Ⅰ種試験」というのもあった。雅子皇后陛下などその合格者で、ロンドンの2等書記官時代に「皇太子妃候補」だというので現地取材させたら「名刺を出しなさい」と追いかけられたものである。

ブログ子がそのすさまじい「格差」を目の当たりにしたのは新人記者として配属された三重県警本部だった。県警本部長に次ぐナンバー2は警務部長だが、新しく東京から新任が来たというので近鉄津駅頭に見に行った。県警ブラスバンドの演奏下、身重(初めての子供)の夫人を伴って降りてきたのは警察庁からの28か29歳だったかのキャリアで、最敬礼で迎えたのは間もなく定年という叩き上げの刑事部長だった。刑事部長からは「いい嫁さんを世話するがどうか」と言われていたが、なんだか気の毒になった。

先月亡くなった義兄は東大法学部卒のキャリアだった。実家は和歌山で蚊取り線香屋の長男だが家は3男に譲って東京に来た。それがよく言っていたのだが「キャリア試験の成績が二ケタでよくなかったので電電公社に入った」

一ケタだと大蔵省に行けるがそうでなければその他の官庁、義兄の場合、同じキャリア制度をとっていた「三公社五現業」(国鉄や専売公社)に行ったものである。

病気で長期休養をたびたびとっていたが、それで「出世」に影響があったかというと全然。民営化でNTTとなったが支社長やドコモなど子会社を「渡り歩く」こと4度か5度。そのたびに数千万円の退職金をもらっていたものである。

◇ ◇ ◇
先述の2人と同じ経産省の職員が25日麹町署に盗撮で逮捕された。4月23日午後5時45分ごろ、衆院2階の女子トイレの個室内にいた女性職員が盗撮に気づき、捜査で経済産業省職員が盗み撮りを認めた。

キャリア制度は大学進学率が0・8%程度の時代の産物である。また官僚にも「志」があった。先頭に立って国のために働くという「気概」もあった。今はどうか、上述のキャリアたちを見てもそんなもの微塵も感じられない。

年々、キャリア試験の受験者が減っているという。大学進学率90%、実力主義が今の趨勢ではもはや「超特急」階級などいらないのである。

日本医師会に頼らなければワクチン接種は早く進む

ブログ子は先週2回目のワクチン接種を受けた。あと数日経てば抗体ができて新型コロナへの防御率は治験報告にある「95%」になるだろう。コロナ何するものぞ!の気概すら湧いてきた。

首相官邸や厚生労働省によると、新型コロナワクチンの累計接種回数は6月24日時点で3721万回となった。少なくとも1回接種した人の割合は総人口の2割を超え、接種を2回完了した人が1000万人を超えた。政府が目指す「一日100万回」接種も連日達成している。

「読売新聞」の調査によれば先行接種した医療従事者の感染は9割も減少しているそうだ。この分ではオリンピック開催もなんとか乗り越えられそうな希望が見えてきた。それもこれも、3月から本格化したワクチン接種の効果だ。

こうも早くワクチン接種が加速したのは自衛隊が運営する東京と大阪の大規模接種センターが今月、対象の地域と年齢を拡大したことや、21日からは職域接種が本格化し、実施ペースがさらに速まったおかげである。

接種の加速に一役買っているのが、4月下旬以降、ワクチンの担い手となることが特例で認められた歯科医師、救急救命士、臨床検査技師の存在だ。ワクチンは現行法上、医師のほか、医師の指示の下で看護師らが接種できるが、医師や看護師だけでは早晩担い手が不足する。

「打ち手はいずれ足りなくなります。地元の歯科医師たちは接種への協力に理解を示しています。総理、今のうちにご決断を」と、医療従事者への先行接種も始まっていなかった2月3日夕、いち早く官邸で菅に歯科医師の活用を進言したのは、自民党参院議員で歯科医師の島村大だったという。(産経新聞)

連日記者会見を開いて国民に「三密回避」など偉そうに呼びかけていた日本医師会にも打診したが、会長の中川俊男は「ちょっと待て。簡単に決められる話じゃない」と‏尻込みするばかり。

菅首相は腰が重い日本医師会と、その顔色をうかがうばかりの厚生労働省に不満を募らせ、ついに「もう医師会にも厚労省にも頼まない」と官邸主導に舵を切った。

4月の訪米から帰国直後、ワクチン接種が進まないことに怒りを爆発させた菅は、歯科医師を皮切りに救急救命士、臨床検査技師と担い手を広げていったという。

「日本医師会では、歯科医師らが接種をするのはプライドが許さないようだった」(政府高官)が、もはや流れに抵抗することはできなかった。

その日本医師会を率いる日本医師会の中川俊男会長(69)だが、6月17日(木)発売の「週刊文春」で、自分が理事長を務めるさっぽろ脳神経外科病院の職員5人から、「不十分な感染対策の結果、クラスターの発生を招いた」と告発されているという。

「医は算術」が目に余る日本医師会についてはたびたびこのブログで指弾してきたところだが、この国難というべきコロナ禍でも、一向に役に立たないことがますます明白になった。日本医師会などないほうがマシなのである。

朝日の社説「東京五輪 中止の決断を首相に求める」にあきれた

「東京で五輪・パラリンピックを開くことが理にかなうとはとても思えない。人々の当然の疑問や懸念に向き合おうとせず、突き進む政府、都、五輪関係者らに対する不信と反発は広がるばかりだ。冷静に、客観的に周囲の状況を見極め、今夏の開催の中止を決断するよう菅首相に求める」とある。

朝日新聞が「上から目線」なのはいつものことだが、ブログ子は読むほどに「よく言うよ」と吐き気を催した。まず、この朝日新聞含め、読売新聞、毎日新聞、日経新聞、産経新聞、北海道新聞の6社は東京五輪のスポンサーである。五輪史上でもメディアがそろってスポンサーを務めるのは珍しいことだ。いわば、東京五輪の推進機関が突如裏切ってブレーキを掛けるということが許されるのか。

もちろん、世論の半数はここまでコロナ禍が拡大した現状では五輪開催は無理と考えているのは事実だ。しかし大ナタを奮って来日人数などを抑えることでなんとか開催できる方策はないかと関係者が日夜奮闘している。例えば、以下のように。

選手が1万5000人以上、コーチや関係者、メディアも含めて約8万3000人が来日すると予測されている。この人数を大幅に制約する方向で‏調整‏している。組織委と政府、東京都が連携する「対策会議」ではかなり厳格なルールを定め、

・海外から訪れる全ての大会関係者は、出発前の96時間以内に日本政府が指定する方法で2度の検査を実施し、指定の書式による陰性結果証明書を取得する。日本到着時は空港で検査を受ける。

・入国翌日から3日間は自室で隔離する。ただし、選手は陰性の証明など一定の条件を満たせば、入国後すぐに練習できる。

・日本滞在中は原則として毎日検査を実施する。2種類のスマートフォン向けアプリを活用し、検温結果や症状の有無などを毎日報告する。

・原則として行動は活動計画書に記した内容に限定し、観光地、店舗、レストラン、バー、ジムには行けない。移動手段は大会専用車両のみとし、原則として公共交通機関は利用不可。

・食事はウイルス対策が施されている施設やデリバリーに限る。

 そして、「プレーブックの規則に違反した場合、資格認定証の剥奪などの懲罰的措置を受ける可能性がある」と規定されている。行動ルールを破れば、オリンピックへの参加資格が失われる、という意味だ。

そこまで厳しくしても、五輪開催を目指すのは、コロナ禍でも人類が五輪を開催したという克服の証明を世界に示すことに意義を見出すからである。何より、招致にあたって東京都が世界に約束した「平和の祭典」である。約束を果たすことは日本の責務である。

社説にはこうもある。「何より大切なのは、市民の生命であり、日々のくらしを支え、成り立たせる基盤を維持することだ。五輪によってそれが脅かされるような事態を招いてはならない。まず恐れるのは、言うまでもない、健康への脅威だ。 誰もが安全・安心を確信できる状況にはほど遠い。残念ながらそれが現実ではないか」

よくぞ言ってくれた。ならば、朝日新聞社が主催する夏の甲子園も当然中止するのだろう。何しろ社説には「十全ではないとわかっているのに踏み切って問題が起きたら、誰が責任をとるのか、とれるのか。『賭け』は許されないと知るべきだ」と書いているのだから、当然、夏の甲子園も「賭け」はできないはずだ。6月になると早、県大会である。それまでに中止の発表がなければ、社説との整合性が取れないが、どうなのか。

社説にはこうもある。「五輪は政権を維持し、選挙に臨むための道具になりつつある」。ブログ子の見るところ、この社説「中止の決断を首相に求める」で朝日が言いたかったのはこの下りに尽きるのだろう。つまり五輪を「政局」に持って行きたいのである。

5月17日の朝日新聞には朝刊一面左肩で嬉しそうに「菅内閣支持急落33%」と大きな見出し。小見出しは「『安全安心な五輪』納得できぬ73%」。それまでも、社説やコラムなどで菅義偉首相の武漢ウイルス対策、緊急事態宣言、蔓延防止等重点措置の適用、ワクチン入手に至るまで、批判してきた。

これより前に、日本共産党の志位和夫委員長が東京五輪中止を言いだし、立憲民主党代表の枝野幸男氏が賛同し、朝日や毎日が支持する構図が出来上がっていた。つまりリベラル・左翼である共産・立憲民主路線の「東京五輪中止」に同じリベラル・左翼メディアがコラボしただけの話である。

それにしても朝日新聞というのは、これが日本の新聞かと疑う。従軍慰安婦のフェイクニュースを流して記事は取り消したもののいまだに謝らないし、今回の「五輪中止」社説といい、日本を貶めることに専念して飽きない。

一方、今朝こんな記事を見かけた。【産経ワシントン=黒瀬悦成】米紙ウォールストリート・ジャーナルは28日付の社説で、7月23日開幕予定の東京五輪に関し、「米国は同盟国である日本を助けるためにもっと多くのことができる」と指摘し、バイデン政権が五輪開催に向けて菅義偉政権を支援すべきだと主張した。

社説は、米国務省が24日に新型コロナウイルスの感染拡大を理由に日本への渡航警戒レベルを引き上げ、「渡航中止勧告」を出したことについて、日本が何万人もの出場選手や関係者を受け入れ始める中で「誤ったメッセージを送ることになる」と批判した。

また、バイデン大統領が菅首相と4月の首脳会談の後に発表した共同声明で「安心で安全な五輪とパラリンピックを実施するための菅首相の取り組みを支持する」と表明していたと指摘し、「バイデン氏が本気なら、渡航中止勧告の撤回が(五輪開催を支援する)良い出発点になるだろう」と指摘した。バイデン政権が日本にワクチンの緊急支援を申し出ることも提案した。

さらに、中国が来年の北京冬季五輪を主催することを想起すべきだとし、「権威主義諸国は自国の政治形態(の優越性)を誇示する場として五輪を活用してくる。東京五輪の失敗は中国政府にとってプロパガンダ上の大勝利となるだろう」と警告し、開催の政治的重要性を強調した。同時に、東京五輪の開催は、1年以上のロックダウン(都市封鎖)を経て「世界が再び動き出したという重要なメッセージを送ることになる」と訴えた。

ブログ子は東京オリンピックは、学生時代、札幌での4年間熱中した馬術しか興味がない。今大会、札幌でのマラソン競技コースは馬術部のそばを2度も3度も周回するのでテレビを見ようと楽しみにしている。

野党と朝日新聞のように、五輪を政局に利用するのではなく、五輪を無事に完了させるべく惜しみない努力を続ける方々に深甚なる敬意を表する。