NHKには日本語を守る義務がある

世界の言語の中でも日本語は特筆すべき存在だと思っている。英語など表音文字一本槍の国と、日本のように漢字、ひらがな、カタカナという表意文字と表音文字を使いこなす国と比べると、多彩な表現力の点で格段の差がある。

これに方言を加えるとさらに日本語の厚みが増す。その面白さは井上ひさしの『國語元年』を読めば一目瞭然だ。明治初期、薩摩藩士は警察と軍隊の中核をなしていたが、東北に派遣された兵士と津軽弁の地元民の間で、言葉が大混乱をきたし、混乱がないようにと「全国統一話し言葉」つまり現在の標準語の作成を命じられた文部省官吏の苦闘を描いた作品である。井上ひさしは言葉に関する知識が、「国語学者も顔負け」と称されるほど深く、『週刊朝日』で大野晋、丸谷才一、大岡信といった当代随一の言葉の使い手とともに『日本語相談』を連載、、『私家版日本語文法』や『自家製文章読本』など、日本語に関するエッセイ等も多日本語の名手である。NHKでも『國語元年』は何度も番組化された。

さすが標準語を守る総本山・NHKだけあって抜群の面白さで録画して何度も見たほどだ。ところが最近、そのNHKとも思えないネーミングの番組に出くわした。「世界のメディア ザッピング」という。カタカナが多いのも気に食わないが、まず第一に「ザッピング」の意味がわかる人がどれだけいるのか。ブログ子はメディアの片端にいたのでわりにカタカナ語には通じている方だと思うが、これまで使ったことがない。

「zapping」というのは、テレビを視聴するときに、CMや番組の途中でリモコンを使って次々にチャンネルを換えること、さらにはチャンネルを替えながら、あちこちの番組を視聴する行為を指すようになったという。「ザップ」とは、リュックサックやナップサックなどのザップ(背嚢)のことで、山や森をぶらぶら歩いて、リフレッシュする様子を「ザッピング」と言ったことから、頻繁にチャンネルを替えるフリッピング(flipping)や、VTRの再生時にCMを早送りするジッピング(zipping)などと使う。

カタカナは外国語表記、動植物の名前、擬音などに使うことが日本語では約束事になっている。ところが、最近は何でもかんでも英語にしてそれをカタカナ表記にして悦に入る輩が多い。実に見苦しい。ザッピングなどと言わず「雑記帳」とか「拾い読み」とかいくらでも日本語表記が可能である。

ついでにいうのだが、テレビで散見するカタカナ表記もいくらでも言い換えができる。エビデンス( 証拠 )、パラダイム (規範)、スキーム(枠組み)、ガバナンス(統治 )、コンセンサス (合意 )・・・ほぼすべて日本語があると思っていい。テレビ側の人間の日本語力がないだけである。

隣の韓国は漢字を捨てて表音文字のハングルだけにした。結果、「庭園」と「定員」、「医師」と「意思」と「義士」、「駅舎」と「歴史」、「裁判」と「再版」と「再販」、「病院」と「病原」が同じといったぐあいで、中には同音で20くらいあるという。これでは意思の疎通は齟齬をきたすのが必定だ。

NHKはアナウンサー教育の過程で民放の何倍もの訓練をしている。某民放テレビでは「旧中山道」を「いちにちじゅうやまみち」と読んだ女子アナがいた。これは日本語教育の問題というより常識の部類だろう。アナウンサー教育とならんでこうしたネーミングをする裏方の制作現場の教育に力を入れてもらいたい。

NHKには日本語を守る義務がある。

落書き野郎に「鞭打ち刑」導入のすすめ

産経の大阪版だけ掲載のニュースだったので知らない人が多かろうが、自社の壁に落書きされた会社が防犯カメラの映像を公開して賞金30万円付きで犯人探しに乗り出した。

まずそのニュースから。

被害にあったのは大阪市浪速区の「まんだらけグランドカオス店」。外壁に英単語のようなものが、大人の手が届く範囲一面に白いスプレー塗料で落書きされていた。防犯カメラには10月22日午前4時半ごろ、黒い服に紺色の帽子を目深に被りマスクをつけた数人の集団が白いスプレー缶のようなものを左手に持ち、壁に向かって代わる代わる塗料のようなものを吹き付ける姿が写っていた。

同社はホームページで事件を公表し、犯人側に警察や店舗に説明に出向くように呼び掛けた。しかし犯人が名乗り出ることはなく、動画投稿サイトでの防犯カメラ映像の公開に踏み切った。犯人の特定につながる有力情報の提供者には30万円の謝礼金を支払うことを決め、情報提供専用の電話窓口も設置した。

同社は「世の中には落書き被害に遭っている人が大勢いるのに、犯罪として重く捉えられていない。被害者は黙っていないで声を上げることが大事だと分かってもらいたかった」と説明する。

「まんだらけ」はわいせつな写真集を販売したなどとして5月に社長らが書類送検されたところで、なにやら怪しいが、ブログ子は今回の強硬手段を大いに支持する。それどころか、さらに強固な犯人への「鞭打ち刑」の導入はどうかと提案する。

自宅から近い渋谷へはバスででかけることが多いのだが、途中の地下道への入り口、ビルの壁、電柱、信号機の制御箱、陸橋の横腹、山手線沿いのビルの壁‥いたるところが落書きだらけである。だいたいは上で公開された落書きと同じ字体なので同一の「流派」と見受ける。

2,3年前に豪州だったかニュージーランドだったかの男がわざわざ落書き目的でスプレー缶持って来日して現行犯で捕まった。デザイナーの森英恵の孫も原宿署で捕まったが、いずれもすぐに釈放されている。日本の法律では落書きは微罪も微罪、せいぜい、都条例にすぎない迷惑防止条例で説諭処分くらいにしかならない。厳しくやれば、軽犯罪法違反、器物損壊等罪、建造物等損壊罪、などいろいろ適用できるのだが警察にはその気がない。痛みがないからすぐ再犯に走り反省などない。

そこで鞭打ち刑となるのだが、この道の「先進国」はイスラム国、中でもインドネシアだ。恋人とハグやキスをしていた、隠れた場所で女性と一緒にいた、同性愛の男性カップルなど、ビシバシと執行されている。鞭打ちなどは軽い刑で姦通罪のうち悪質者には、投石による死刑(ラジャム)があるからすごい。

軽い刑といっても100回近く(回数は裁判官が決める)鞭打たれた男が死んだほどだから、再犯率はゼロに近い。ジャカルタの国立イスラーム大学フザイマ・T・ヤンゴー教授は「以前は酒を飲んだり賭博(鞭打ち40回程度)をする人々があちらこちらで見られたが、イスラーム法が施行されて以来、このような行為は見られなくなった」と自賛しているほどだ。

戦争の形が変わった

ロシアはヘルソン市の放棄を決定、部隊をドニエプル川の左岸(東岸)地域に撤退させた。ヘルソン市はロシアが併合を宣言したウクライナ東・南部4州の州都のうち、侵略開始後に制圧した唯一の都市だった。その虎の子の都市を放棄放棄するのだから、ロシアにとって政治的にも軍事的にも大きな打撃である。

ウクライナ軍がヘルソンに入るや、8か月の間ロシア占領下で過酷な生活に耐えた市民から抱擁とキスと涙で迎えられている写真が届いているが、哀れをとどめているのはロシア軍に協力した人で、写真下のように、柱に縛り付けられて市民に罵声を浴びている。

ロシアでは裏切り者の処刑も行われている。エフゲニー・ヌージン(55)=写真右=は殺人罪で24年間服役していたが、侵攻以来兵士不足で釈放され前線に送られたものの、すぐにウクライナ側に投降した。9月にはジャーナリストに「大砲の餌のように感じる」と話し、家族の何人かがウクライナに住んでいるため降伏することにした説明していた。

しかし、親ロシア派の情報筋によると、彼はその後、プーチンの私兵、民間軍事会社「ワグネル」によって誘拐され、処刑された。ロシアのメディア「グレイゾーン」には、ヌージンがレンガの柱に縛り付けられ、ハンマーで撲殺される様子が映し出されている。プーチン大統領の側近で、「ワグネル」の創設者であるプリゴジンは日曜日、「犬は犬並の死に方をする」と述べた。

平和ボケの日本人からするとともに許せない蛮行だが、第二次世界大戦でもパリでナチスに協力したと女性が丸刈りにされ市中引き回しされている写真が流布されているし、あちこちでリンチが横行するのは戦争では「通常」である。

◇ ◇ ◇

今度のウクライナ戦争でブログ子がこんな戦争見たことないと思っているいくつかを書く。

ベトナム戦争は、テレビで報道された最初の戦争だった。アメリカとベトナム民衆の闘いは逐一世界に報じられ、サイゴンには大勢のアメリカ人ジャーナリストに混じって日本人のカメラマンや記者たちが戦場に出向いた。作家の開高健もその一人だし、ブログ子の新聞社も特派員を出した。しかし、大半は前線などには行かず後方のサイゴンの米軍か南ベトナム軍から提供される情報と写真をもとに記事を送ってきた。最前線での映像は殆どなかった。

ハイライトだったのは宗主国だったフランス軍があっけなく敗退したディエンビエンフーの戦いと、米軍がベトコンに追われるようにサイゴンから撤退するヘリコプター部隊の修羅場だった。米軍と南ベトナム軍に協力してきた市民が、ベトコンの報復をおそれ蹴落とされながらもなんとか乗ろうとしがみつく姿やサイゴン政府庁舎にホーチミン軍の戦車が入場してくる映像を覚えている。

それに比べ、ウクライナの前線の映像のなんと生々しいことか。

塹壕の中にいるロシア軍兵士の真上から手榴弾を投下しているところである。一発は兵士の体に当たり爆発前に慌てて投げ捨て、溝をよろめきながら逃げるものの、二発目が近くで破裂、怪我をしてうずくまる様子が映っている。

以下は戦車にドローン攻撃をするところだ。

ウクライナ戦争は戦争史上初めてドローンが登場した戦いだ。上で紹介したのは陸戦でのドローンだが、クリミヤでは水上ドローンが登場した。ウクライナ軍は2022年10月29日にロシア海軍の黒海艦隊に対し、8機のドローンと7隻の自爆水上ドローンで攻撃を仕掛けた。米軍供与のものかウクライナが自分で開発したものかは不明だ。

自爆水上ドローンとはどんなものか。発表はないが、9月にセヴァストポリに漂着し、ロシア軍に回収されたものの写真がある。衛星通信用のスターリンクアンテナのようなものを装備し、胴体中央に潜望鏡のようなカメラと船首に爆薬を積載している。偵察や自爆、それに通信の中継も可能なタイプと推察できる。

ブログ子はロシア軍の戦術で不思議に思っていることが二つある。一つは侵攻この方、いまだに制空権を取れていないことだ。ウクライナ所有の戦闘機69機に対しロシアは770機と11倍以上の戦力差がある。ソ連が崩壊した後、当時保有していた最新鋭機Su-25(スホーイ25)を旧衛星国などに売りまくった。その後のSu-27などふくめウクライナもロシアと同じ戦闘機で迎撃しているのだが、ロシアはその後開発したSu-30、Su-34、最新鋭機Su-35sと持っているのに一向に前線で使われていない。いろんな解説が加えられているが明快な理由は見つからない。

もう一つは、上述のようなドローン戦争時代に未だにロシア軍は塹壕を掘っていることの不思議だ。それも1中隊にスコップ3本で、召集兵は手で掘っていると苦情を述べている。動画で明らかなように真上から手榴弾が投下される時代に塹壕などものの役にたたない。第二次大戦でナチス軍をモスクワ近くで迎え撃ったときソ連軍は塹壕戦で戦って、冬将軍という援軍もあって勝利した。その戦法を、現代でも踏襲しているのはいかにも不思議である。ロシア軍の参謀の無能としか見えないのだ。

10月5日のブログ「プーチンの終わりのが近づいた」で書いたとおり、じわりじわりとウクライナ軍は反撃している。ドニエプル川東岸に撤退ということは、ロシア軍占有地は侵攻当初に占拠したウクライナ国土よりグンと狭くなったワケで、プーチンは何のために侵攻したのかわからないのが現状だ 。

アメリカの「戦争研究所」(日本のメディアの戦況報道はみなここのデータ)によると、ウクライナは開戦以来ロシア軍に奪われていた領土の50%以上を取り戻した(下図グレー部分)。ロシアは現在、東部のドネツク州やルハンスク州、2014年に不法に併合したクリミアなどウクライナの約18パーセントを支配しているにすぎない。

今後、戦場は秋の泥濘地帯から厳冬期の凍結地帯へと変化する。両軍、進むも退くもままならなくなる。このまま春先まで塩漬けになるのだろう。ヘルソンはクリミヤ半島への入る要(かなめ)の地である。ここを押さえておけば、春先にセバストポリに進撃することができると思う。

日銀総裁に為替介入したか?と聞くのはタブー

円安で推移していた円レートが11日、一気に141円台となり、1時間の間に4円以上の円高になった。9月上旬以来の円高ドル安水準が反転した。10日に発表された10月のアメリカの消費者物価指数が、市場の予想を下回ったことから、FRBによる金融引き締めが鈍化するという見方が広がり円が買われたという。一気の円高に日銀の為替介入があったのではないかという見方が広がっている。

ことし1月ごろは115円台だったから、確かにひどい円安ではある。ブログ子は海外に行く予定もなく、ブランド品はもちろん好みの輸入品もないから、為替がどう動こうが一向に関心がないが少し思い出すことがある。

新人記者の時、仮配属で大阪本社の経済部に3か月ほどいた。シンガポールゴムの相場記事と住友化学の長谷川周重社長のインタビュー記事を書いた。タイヤメーカーが関心を持つゴムの価格は大阪の取引所で決まることを知ったのと長谷川社長の娘ださんだったかの趣味の馬術の話で盛り上がり知遇を得たこと以外覚えていない。以後はほとんど社会部で、経済とはほとんど無縁だった。しかし夕刊フジ報道部のとき命じられてカバーで日銀担当になった。

「日銀クラブ」ともいうが正式には「金融記者クラブ」という。日本銀行内にあり新聞・通信社やテレビ局の記者が常駐していて日銀の金融政策のほか、銀行や生損保など金融機関の取材拠点で、みな背広をきちんと着こなしてほぼ全員が「銀行員」然といった顔をしている。

森永貞一郎総裁の会見があり、当時為替介入の是非が話題になっていたのでブログ子は「いつ、いくらで介入したんですか」と聞いた。総裁はびっくりしたような顔で話をはぐらかしたが、他社の記者から「総裁に介入の質問をしたのは君が初めてだ」とバカにしたような声をかけられた。

確かにその後の報道を見ても記者の誰一人として介入の有無を聞く者はいない。暗黙の了解というのだろう、タブーの質問とされている。今回もせいぜい財務省の神田真人財務官が11日、海外市場で急速に円高に振れた為替について、「緊張感を持って注視し、必要な場合は適切な対応を取る」と述べただけ。

専門家によると、為替介入があったと見るべき痕跡が見られるという。それも下記のグラフからみて3回とみられる。

ほんのしばらくの金融記者生活だったが、ついでに知ったことが2つほどある。

一つは日銀では新聞記者は「車夫馬丁」の扱いであること。「金融記者クラブ」は日銀内にあることになっているが、実は中ではない。日銀正面玄関前に頑丈な石造りの立派な「小屋」があってその中に警備の警察官と同じく記者クラブがある。テレビで警官や衛視の敬礼を受けて総裁や日銀政策委員会メンバーがクルマから下りて来る姿が写るが、あれはその小屋の前に指定されているカメラマン席で、日銀本館内に入るには別の認証カードを提示しなければならない。

もう一つは外国為替取引というのは兜町のような大きな取引所で行われていると一般の人は思うだろうが、さにあらず。当時ブログ子が出かけたのは日銀の近くにある上田短資(現在は上田八木短資)というところだが、さほど広くもない部屋の大きなテーブルに数人が座り、クリップで止めた伝票を買い入れた先の人に滑らせるように投げあっているだけである。

今は電子化されているだろうが、やってることは当時と同じである。外為の取引は金融機関同士のマーケット(銀行間取引市場)で行われるがこれを扱うところが短資会社で日本には3つしかない(セントラル短資、上田八木短資、東京短資)。銀行間取引市場と日銀の間を取り持っているのが短資会社である。

ウクライナ戦争、北朝鮮のロケットマン、尖閣諸島への中国の日常的な威嚇・・・日本はいま国防力の増強を迫られている。GDP比「2%」など一刻もはやく実現せねばならないのに、世界情勢に無知な野党は足を引っ張るばかりだ。その一つが「直ちに増税する環境になく、当面国債を活用する」という自民党の「保守団結の会」(代表世話人・高鳥修一衆院議員ら)の提言に、「国の借金がふえるばかり」という野党の反対論である。

これに対し、乏しいブログ子の金融記者クラブ体験ではあるが、「国の借金は税金で返さなければならない」論が間違いであると反論できる。

政府の債務は「返さなければならない借金」ではなく、単なる貨幣発行にすぎないからだ。日本銀行券(紙幣)にしろ、日銀当座預金、国債にしろ、会計上は「負債」として仕分けされ、バランスシートの貸方に負債計上されるだけで返済義務はないからである。日本政府は国債を税金で返済したりなどしていない。単に、借り換えを続けているだけだ。日本政府の長期債務は1970年度から22年度までに171倍に膨らんでいるが、破綻などしない理由はこれである。「国の借金」と「家庭の借金」は違うことぐらい、野党も知ったほうがいい。

今回のように日銀が円買い介入すると原資となる外貨準備が必要だ。現在日本は1兆1945億㌦も持っている。円にして175兆円。10月はじめに日銀は為替介入したときは9・1兆円だった。十分すぎる外貨準備があるのだ。

「餃子の王将事件」にやっぱり同和の影

「餃子の王将」社長射殺事件が9年ぶりにヒットマンが逮捕されるなど急進展を見せている。ブログ子は発生の直後から、「これは部落関係者が絡んでいる。捜査は長期化しことによると塩漬けになるかも」と新聞社時代の近い人には言っていたので、いま「やっぱりなあ」という思いである。

ブログ子は新人記者のとき三重県津支局に配属になった。半年もたたないうちに部落解放同盟の「糾弾」の対象になり、みかん箱の上に立たされて連日、子連れのおばちゃんや屈強の男に「お前に差別の苦しみがわかるか!」と吊るし上げられた。市役所前の50メートルほどの道路舗装が3年経ってもほとんど手つかずで、現場では数人が毎日朝からお茶をしていて工事などしている素振りはまったくなかった。この記事がやり玉にあげられた。

いわゆる同和対策事業で、仕事などしなくても毎月きちんと給料だけは支払われるという役所と解同の馴れ合いの所業であるが、当時は部落という言葉を知らなかった。新人記者にはどう対処すればよいのかわからなかったが、朝日新聞の県政担当デスクに「社会党の県議を紹介するから」と言われて、始末をつけた。

東京に移動してから編集幹部の時代また出くわした。遠藤周作がエッセーで「隠亡」と書いたのを当時言葉狩りを盛んにしていた部落解放同盟のやり玉に挙げられ、自分が不祥事対応の責任者だったのでやむなく前線で処理する羽目になった。

昔の経験が役立って、すぐ副書記長や、広報部長と会って1週間足らずで話をつけた。その夏岡山で開かれた解同の全国大会にブログ子が出席することと、新聞に大会開催の記事を書くことが条件だった。今でも全国紙の片隅にベタ記事を見かけるがそのたびに「ああ、ここもやらかしたな」とニヤリとする。幹部とゴルフもした。

ブログ子が王将事件ですぐ部落の影を嗅ぎ取った理由はいくつかあるが、今では出版禁止になっている「部落地名総鑑」の閲覧と同じことになるのと、職業差別とまた糾弾対象になりかねないので措いておくが、『週刊文春』(11月10日号)のスクープ記事にその一端をうかがい知ることが出来る。

記事では〈捜査幹部らは今、二人の男を注視している〉。一人は〈福岡を中心にゴルフ場経営や不動産業を手掛けて〉いる上杉昌也氏。部落解放同盟の〝ドン〟上杉佐一郎中央執行委員長(故人)の異母兄弟で、〈病魔に襲われた晩年の美空ひばりの後見人としても知られた存在〉。もう一人は〈「大東氏が上杉氏と創業家の不適切取引を解消したことで、大きな損害を被った王将の元幹部」(府警関係者)〉

 「餃子の王将」を展開する王将フードサービス(本社・京都市山科区)では、特定企業グループへの不正資金流出が発覚し射殺された大東隆行社長(当時72)はその処理に奔走していた。王将が設置した第三者委員会によると「流出額は10年間で約260億円。うち約170億円が回収不能」というもの。

報告書には、資金流出先の企業グループ名や個別企業名、さらに代表者名も、Aとだけしか記されていない。その名を明かそう。上杉昌也氏=写真右下=。京都通信機建設工業を母体に、ゴルフ場・ホテル運営と手広い事業をしている。70歳代と高齢ながらいまだ企業グループの代表を務める上杉氏は、長年にわたり王将前経営陣と特異な関係を築いた。その役割をひとことで言えば、トラブル処理である。

 例えば、王将側は1995年3月、上杉氏の関係企業から京都・祇園の5階建てビルを5億3千万円で購入していた(後に第三者に8千万円で売却)。また、同年4月には、上杉氏が関係する別の企業からハワイの高級住宅街の邸宅の土地建物を18億2900万円で購入していた(後に王将子会社に売却し、第三者に5億9800万円で売却)。

「湯水のごとく」という言葉がピッタリする異常な資金流出が、上杉グループ企業に対してなされていった。なかでも大きいのが、バブル期に贅を尽くしたゴルフ場として知られた上杉グループ傘下の福岡センチュリーゴルフクラブで、子会社を通じて約185億円が貸し付けられた。ほかにも不動産の高値買い入れなどを報告書は詳細に指摘している。

 上杉昌也とは何者か――。

 「(同和のドンといわれた)上杉佐一郎・部落解放同盟元委員長(故人)の異母弟です。同和運動に携わったことはないのですが、佐一郎氏が25歳も年下で、目端の利く昌也氏を可愛がったこともあり、佐一郎氏の各界への影響力を利用して大きくなった。政界、芸能界などにも人脈があります」(会社経営者の知人)。佐一郎氏とともに美空ひばりとも深い親交があったとされる。

 しかし、バブル崩壊がゴルフ場やホテルなどに事業展開していた上杉企業グループを直撃、そのうえ上杉氏と関係のあった加藤朝雄氏の長男・潔氏が不明朗融資の責任を取って社長を辞任、代わって朝雄氏の妻の弟・大東隆行氏が、2000年4月、社長に就任すると上杉氏との関係の精算に入った。

 それらを要因として、最後の砦となった福岡センチュリーは、11年7月、民事再生法の適用を申請、倒産した。負債総額は約425億円だった。

記事はまだ続くが、ここで思い出すのが同和に恫喝された関西電力の問題だ。関電の幹部ら20人が福井県高浜町の元助役、森山栄治氏(故人)から約3億2千万相当の金品を受け取っていたという問題だ。「同和のドン」の隠然たる力の背景には、部落解放同盟の存在があり、同和の力を利用し、差別をなくすという名目で、関西電力を恐れさせ、地元高浜町で確固たる地位を築いていった。取り込まれたら最後、言いなりになるしかないのが同和の力でというものだ。

5億8000万円で購入させたものを8000万円で引き取る、という商取引は普通は存在しないが、それを可能にさせる存在が、この殺人事件にはあるのである。逮捕されたのはヒットマンにすぎない。まだまだ大きな広がりを見せるのだろう。

6日の観艦式をご覧あれ

11月6日(日)に「令和4年度国際観艦式」が開催される。ブログ子は船酔いしやすい体質で、辛い思い出しかないので普段は大型船も小型船も敬遠している。それがわかっていても過去2回も観艦式に出かけたものである。今回、コロナ禍で無観客での開催だがYouTubeでライブ配信されるというから是非ご覧になることをお勧めする。日本の安全保障について、またいかに海軍力が大切か、認識を新たにすること必定である。

海上自衛隊による観艦式は1957(昭和32)年から毎年開催、1981(昭和56)年からは3年に1度挙行されてきた。そのうち、海外の海軍艦艇が参加するものを「国際観艦式」といい、海上自衛隊創設50周年に伴って平成14(2002)年初挙行された。2019(令和元)年に予定されていた「令和元年度自衛隊観艦式」が台風の影響で中止になったため、今回の「令和4年度国際観艦式」は2015年(平成27)年以来7年ぶりの「観艦式」であり、20年ぶり2度目の「国際観艦式」となる。

下に2015年の観艦式の動画を紹介するが、このときは安倍晋三首相、中谷元防衛相、麻生太郎副総理と役者がそろった。全員、モーニングにシルクハットという正装である。それほど観艦式というのは重みがあるものなのだ。

観艦式は相模湾で行われ、自衛隊最高指揮官である内閣総理大臣を乗せた旗艦を先頭とする観閲部隊と受閲艦艇部隊がすれ違う形で行われる。受閲艦艇部隊にはイージス艦、護衛艦、潜水艦、掃海艦艇、補給艦、輸送艦、ミサイル艇など海自が持つ多くの「兵力」で構成されている。

ブログ子は昔で言えば連合艦隊司令長官にあたる横須賀艦隊司令や(六本木に防衛庁があったころ)防衛部長をしていて「日本の潜水艦隊の父」と言われるK海将と親しかった。日本の防衛力は潜水艦隊に支えられていることを知っているから、潜水、浮上を繰りかえしながら進む潜水艦に特に注目したのだが、今回なら最新型潜水艦「たいげい」だろう。

取材不足で今回相模湾に出動するかどうか確認していないのだが、今後の日本潜水艦隊を背負う戦力なのだ。

深海を航行する潜水艦を探知するには、潜水艦が発する雑音を探知するしかない。かつては「騒音級」と世界で馬鹿にされていたロシアと中国の潜水艦が変貌した。ロシアは原子炉、蒸気タービン、モーター、プロペラに接続する動力伝達などの静粛性を高め、最近オホーツク海に配備されたロシア海軍原潜は、アメリカ原潜ロサンゼルス級よりも静粛だと言われるほどだ。世界のレベルからすると北朝鮮のオンボロ潜水艦など「チンドン屋を乗せた」ようなものである。

中国も以前は他国から潜水艦技術を盗み、そのモノマネばかりだったが、今ではその技術をさらに発展させ自力開発できる力を持った。凄まじい速度で進化し静粛性が高まっている。潜水艦を推進させるスクリューや船体の建造には、多くのデジタル技術が使用されるが、今、中国のデジタル技術は世界最高レベルにある。

こうして静かになった中露潜水艦を発見するには、「たいげい」が積んでいる高感度のソナーが必要なのだ。海中の潜水艦が発する音には、原子炉、蒸気エンジン、スクリューなどの作動音がある。これが海中を伝播してくるが、「たいげい」の最新ソナー「ZQQ-8」高性能ソナーシステムは、艦艇4箇所からの敵艦の探知情報を自動統合化することで、探知能力が凄まじく強力になっている。

また「たいげい」の潜望鏡は、カラー、高感度モノクロ、赤外線の撮像、レーザー測距、ESM装置が備わっていて短時間の浮上で瞬時に判断して潜行に移れる。

このほかリチウムイオン電池が搭載されている。従来の潜水艦は頻繁に浮上してディーゼル機関を回し充電していた。浮上航行中の潜水艦は一番脆弱だ。リチウムイオン電池は鉛蓄電池と比べ蓄える電気容量が数倍多く、充電時間が短い。従来型潜水艦に比べ水中の持続力や速力性能などを大幅に向上した潜水艦なのだ。

観艦式のライブ配信は下記。

「令和4年度 国際観艦式 INTERNATIONAL FLEET REVIEW 2022」 – YouTube

胡錦涛中途退席の真相

前項で胡錦濤の退席劇を報じ、その中でブログ子は中国情報は3人の意見だけ注視していると書いた。名を挙げたうち遠藤誉・筑波大学名誉教授の見方を待っていたのだが、出てこなくてやむなく筆を執った。その遠藤誉原稿が30日夜に氏のブログに出た。どうやら前項は訂正したほうがよさそうだ。「遠藤説」を紹介する。

◇ ◇ ◇

 第20回党大会最終日に胡錦涛が中途退席したことに関して様々噂が飛んでいるので北京の関係筋に確認した。
◆胡錦涛事件に対するさまざまな憶測
 10月22日、第20回党大会最終日の休憩時間に、胡錦涛前国家主席が中途退場するという事件が起きた。何と言っても全世界のカメラの前で起きた不可解な行動だけに、奇々怪々な解釈を含めたさまざまな憶測を呼んだ。

 最も多かったのは「胡錦涛が習近平の進める人事に不満だったので、あえて全世界のカメラがある場面で、抗議の意思を、ああいう形で表明したのだ」というものだ。その憶測には、胡錦涛が見ようとしたのは人事に関するリストで、党幹部の人事案が胡錦涛には知らされていなかったので、それを見ようとしたが拒否され、習近平に追い出されるようにして退場していったという解説がついている。

 中には中南海における「権力闘争の正体を見た」とか、「胡錦涛には人事リストが渡されてなかった」あるいは極端な場合には「胡錦涛にだけ偽のリストが渡されていた」という邪推も現われる始末。

 なかなか止みそうにないし、筆者自身も少なからぬメディアからの取材を受けたので、北京の関係筋に電話して真相を突き止める努力をした。

 もう高齢になる党の元老幹部に電話して、「あのう・・・、実は胡錦涛に関して・・・」と言っただけで、彼は全ての情況を掌握し、筆者が何を聞きたいかも分かっていた。

 中国では胡錦涛に関する情報が遮断されていると言われているが、そんなことはない。アメリカだろうが、日本だろうが、どのような邪推をしているかもよく知っていて、「なんで中国の事となると、こんなにまで詮索して、奇想天外な憶測を恥ずかしげもなく発表するんだろう。もう、そのことを、こちらが逆に聞きたいよ」とぼやいた。

 以下、Q&Aの形で問答を記す。Qはもちろん筆者で、Aは北京の元老幹部である。

 A:そもそもですね、胡錦涛は党大会の主席団代表の一人なんですよ。だから何度も予備会議に参加して人事の内容も選挙の手順も熟知していて、「人事案を知らされてなかったから、そのリストを見ようとした」って、なんですか、あれは!

 Q:たしかに、胡錦涛は今回の党大会の主席団代表の一人ですね。だから予め人事案も選挙方法も知ってるわけですよね?

 A:知ってるどころか、主席団代表は党大会の運営を管理監督する側だから、「熟知」しているわけですよ。

 Q:もちろん、中央委員会委員とかの投票も許されているんでしょ?

 A:当り前じゃないですか!主席団代表は何回も予備会議を開催し、胡錦涛は資料の内容も熟知しているだけでなく、誰に投票するかも、全く彼の自由意思で選んでいいわけだし、実際に中共中央委員の投票を胡錦涛はすでに実行して終わっていた。

 Q:投票結果に関して、党大会で習近平が「これでいいですね?ほかにご意見はありませんね?」と聞いたのが11時9分少し前で、異議を唱える人がいなかったので、「それではご異議がないものと認めて、第20回党大会の中央委員会委員および規律検査委員会委員の投票結果は以上といたします」と宣言したのが、11時9分だと、中国政府のウェブサイトにありますね。

 A:その通りです。非常にスムーズに投票が終わった。胡錦涛も順調に投票行動を終えました。

 Q:だというのに、なんでまた・・・?ウォールストリート・ジャーナルには、カメラが入って胡錦涛の行動をキャッチしたのが11時19分だという情報がありましたね。

 A:ええ、私もそれは見てます。

 Q:その間に何が起きたのでしょう?

 A:あのですね・・・。人は歳をとれば誰でも多少はボケていきますよね・・・。あなただって私だって、いつそうなるかは分からない。

 Q:ええ、私も長年にわたって母の認知症の介護をしていましたから、胡錦涛の表情を見ただけで、あ、認知症が進んでいるなと直感しました。

 A:そうなんです。お気の毒なことだと思いますが、彼は認知症だけでなく、かなり前からパーキンソン病になっていて・・・。

 Q:やっぱり、そうなんですね・・・。以前から歩行の仕方がおぼつかなかったですし、手先が震えていましたね。

 A:その通りです、指先が震えて、たとえば紙一枚を指で挟むという動作ができないんです。だから、栗戦書がファイルを胡錦涛のボディガードに渡そうとしたのですが、それが海外メディアには「ファイルを取り上げた」と映ったのでしょう。哀しいことです。

 Q:たしかに胡錦涛は、国家主席をやめてから、表立った場所に出る時に、ボディガードが付いてるし、手に何も持ちませんね。

 A:ええ、指で持ったら落とすんです。指先が震えていて、紙が薄ければ薄いほど指で挟んで持つ動作ができません。だから落とすといけないから栗戦書がボディガードに渡そうとした。

 Q:その前には、何が起きていたんでしょうか。

 A:まあ、そこははっきりしませんが、少なくとも私の昔の部下の中に胡錦涛の秘書たちとか親族と付き合いのある人もいて、今回、胡錦涛には党大会に出席しないように親族の人が必死で頼んだのですが、胡錦涛が聞かなかったようです。で、彼の意思を尊重しないといけないと思って出席を許したのですが、胡錦涛のボディガードが、何かが起きるといけないので、ひな壇の裾の方でスタンバイしていたようですね。何と言っても世界中のカメラが向いている場面で、元国家主席ともあろう人が、失態を演じるわけにはいかない。そんなことがあったら胡錦涛も死ぬに死にきれないほどの恥をかきますし、家族も社会で生きにくくなりますね。だからそんなことが起きないように、出席を止めたけど、聞かなかった。そのため万一に備えて近くにいて、どうも危ない行動をしそうになったので、家族とボディガードが連絡し合って咄嗟に動いたようですね。

 Q:そうでしたか。介護をしていると分かりますが、何もない時と、いきなり症状が悪くなる時と、たしかにありますよね。悪くなり始めると、どんどんその方向に傾いて行ったり・・・。

 A:そいういうことはみんな知ってるし、胡錦涛の様子が正常ではないのは、誰でも一目見れば分かることで、ただ、何と言っても神聖な党大会ですから、習近平としても一糸乱れず進行させたかったわけで、できるだけ党大会としての威厳を保っていたかったので、周りはできるだけ取り乱さないように苦労したようです。胡錦涛の体調は、誰も皆わかってたので、会場がざわつかないように、気が付かないふりをしたり、いろいろな気遣いが飛び交ったわけですよ。

 Q:たしかに、一糸乱れぬ行動を取るために、主席団がいて、予備会議を何度も開いているのに、一般の党員代表ではなく、主席団の代表が乱れると、党の沽券に関わるということにもなるでしょうね。

 A:そうですよ。だから栗戦書(りつ・せんしょ)が立ち上がろうとしたのを、王滬寧(おう・こねい)が止めましたでしょ?あれは誰かが立つと「乱れた」という風に目立つので、みんな、できるだけ「何もなかった」という振りをしなければならなかったわけですよ。

 Q:なるほど。その雰囲気が出ていましたね。

 Q:海外メディアの中には、胡錦涛が、李克強が国務院総理から降ろされることに不満を抱いたため、あのような状況が起きたという人もいますが・・・

 A:ああ、知ってます。それ、日本メディアです。中国の政治のイロハを知らないのでしょう。中華人民共和国憲法第八十七条には、「国務院総理や国務院副総理の任期は一期5年、最大二期までで、二期以上は許されない」と明記してあります。それを知らないのでしょう。もし胡錦涛がそのことに不満を抱いたというのなら、胡錦涛は憲法を知らないことになりますので、それは胡錦涛を侮辱した邪推に相当します。どうせ真実はわからないので、妄想を発揮して、何でも言っていいと思っているでしょうが、やがて社会が「事実」をもって、その人たちを裁くことになるでしょう。

 Q:私はメディアから取材を受けて知ったのですが、胡錦涛の資料だけ、別に印刷して違う資料を渡していたと主張する人がいるようです。

A:ああ、それも日本メディアです。もしそんなことをしたら、それって犯罪行為ですから、すぐに発見されますね。それに胡錦涛は主席団代表で、何度も予備会議を開いて、資料に間違いがないことや、この内容で党大会を開いていいか否かなど、多岐にわたった議論に参加してきたのに、その予備会議でも、胡錦涛だけが分からなかったとすれば、それは胡錦涛の認知能力を、あまりにバカにした憶測になりませんか?

 胡錦涛は家族の者が「出席してくれるな」と、何度も頼んでも、頑固に「出席するんだ」と言い張って、言うことを聞かなかった。会場から出たくなかったのは確かでしょう。「俺は大丈夫だ」と言い張ったのですから。

 それに、もし李克強の事を気にかけて不満だとして行動したのなら、なぜ李克強は、あんなそっけない態度をとっていたのか、説明がつきませんね。ともかく、胡錦涛は党大会が順調に進むように管理監督する主席団の代表であったことを忘れないでください。

だから、どんなことでも、予め知っていた。その事さえ分かれば、誰が好き勝手な妄想を働かせて、「どうせ分からない」と思って虚言をまき散らしているかが分かるでしょう。主席団の代表であったことを、その人たちに知らせてください。そうすれば、もう、どんなデタラメも言えなくなるはずです。

 以上が長い取材の結末である。

世界が驚愕した胡錦涛「強制退場」

中国共産党の胡錦濤前総書記が22日の党大会閉幕式で途中退席する前、ファイルを巡って不満を示したと受け取れる動画が世界に衝撃を与えた。

満座の中で自分と同じ総書記だった長老を「追放」してみせた。「習近平はここまでやるか」という驚きである。この動画は華僑が多いシンガポールのメディアが流した。閉幕式は非公開だったが、終わりの部分は公開で、記者らが会場に入ったときにはファイルは壇上の指導部や長老ら出席者の前にすでに置かれていた。そこでこのハプニングが起きた。

胡錦濤が手元の赤いファイルを見ようとした際、隣の栗戦書がその動きを制止してファイルを引き寄せているような姿が映る。その後、胡氏は離席直前に習氏のファイルにも手を伸ばしたが、習氏が応じなかったようにも見える。国営の新華社が「体調不良が原因」とツイッターに投稿したが、連れ去られるときしっかり歩いていたし、その前も体調不良を伺わせるものはなく、一連の動きからは「追放劇」にしか見えない。

もう一つ驚いたのは胡錦濤の「老い」である。この動画を見た人はかつて黒髪をポマードで塗り固めたようなトレードマークの胡錦濤=写真右=と同一人物とはとても思えなかったのではないか。パーキンソン病を患っているということはつたえられていたが、まるで別人のような姿だった。

ブログ子は中国問題を考えるときには3人の評論を参考にする。それ以外は流し読みだ。一人は北京駐在だった日経の中沢克二編集委員兼論説委員。もう一人は元産経新聞記者で今はフリーで活躍する福島香織。北京駐在のときから地震現場や地方に飛んでいっては書くユニークなルポを愛読していた。そして3人目は遠藤誉・筑波大学名誉教授である。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国、資料を駆使しながら中国を裏側から解き明かす。

福島香織氏の見方はこうだ。

ここまで習近平イエスマンで固め、共青団派、改革開放派を徹底的にパージすると想像していた報道は国内外通してなかった。共青団派とは、鄧小平と胡耀邦が作り出した共産主義青年団を通じた官僚育成システムによって選ばれたエリート官僚たちの派閥を指す。メンバーの共通点は重点大学卒業の優秀なエリートで、血統(革命家の血筋)は重視されず、大学での成績を重視して選抜され、路線的には改革開放重視、イデオロギー的には胡耀邦的な開明派が多いとされている。李克強、汪洋、胡春華、孫春蘭らが共青団派エリートとして知られていたが、新しい中央委員会名簿に李克強、汪洋の名前がなく、2人とも「裸退」、つまり完全引退となった。

胡錦涛は中央委員名簿に李克強、汪洋が残らず、政治局名簿に胡春華が残らず、共青団派が徹底的にパージされたことを知らされておらず、閉幕式中に図らずも名簿を目にして、抗議の声を上げそうになった。中央委員名簿の採決の際に、反対に挙手する可能性があった。栗戦書が説得を試みているのを横目で見ていた習近平が、自分のボディガードに命じて胡錦涛を強制退席させたのではないか、というストーリーが考えられる。

中沢克二氏はこの動画をこう見る。

中国政治の奥深さを知る人物は、厳しい情報統制のなか、漏れ伝わってきた当時の現場の実情をこう再現する。

「(閉会式の)あの日は(人民大会堂のひな壇に座る要人らの)誰もが示し合わせたように、健康が優れない胡錦濤と目を合わせないようにしていたんだ。すれ違いざまに目が合えば、『聞きたくない話』に付き合わされ、自分が政治的に危うくなる」

あらぬ方向を見たり、素知らぬ顔をする姿が並んだ

まるで要注意人物、腫れ物に触るような扱いだ。ポイントは「聞きたくない話」という部分である。ずばり習近平への不満もにじむ胡錦濤の本音の嘆きという意味だ。習が全権力を握った今、長老と話すのさえ危険な行為になった。だから誰もが胡錦濤を避け、身体が弱っている長老への気遣いもなく冷たい態度をとっている。

上の写真であらぬ方向を見たり、素知らぬ顔をする「習近平派」のなかで一人腕を組んで無念の気持ちを隠さないでいるのは胡春華である。

胡春華は16歳で北京大学に入学し、20歳で総代として卒業した“超”の付く秀才。胡錦涛氏や李克強氏と同じく、党のエリート養成機関・共産主義青年団のトップを務め、すこし前まで“次の総書記の大本命”と目された人物だ。その彼が今回、ヒラの中央委員に降格されてしまった。共青団派の親分である、胡錦濤が連れ出されるのを見て憮然とした気持ちだったのだろう。

不思議なのは非公開だった本会議場に外国メディアが入ることを許された直後に「胡錦濤劇場」が始まったタイミングだ。偶然にしてはできすぎで、会場内の雰囲気は長く凍り付いたままだった。

◇ ◇ ◇

上の記事をアップした翌28日、産経新聞中国総局特派員がこの「退場劇」のもう一つの観測を報告しているので紹介する。

【北京=三塚聖平】胡錦濤前総書記ら党長老に示されていた人事案が最終的に大きく差し替えられたとの見方が浮上している。李克強首相らは新指導部に選出されなかったが、党内事情に詳しい消息筋によると、今夏の時点では李氏らが含まれる人事案が示されていたという。長老たちは「不意打ち」を食らった形で、党大会閉幕式での胡氏の途中退席の背景になった可能性がある。

8月前半に非公式に党幹部や長老が集まった「北戴河(ほくたいが)会議」で、次期指導部人事の調整が行われた。その時点では、李氏や汪洋(おうよう)人民政治協商会議主席を含む、党内のバランスをとった人事案が示されていたという。

今夏時点で党関係者の間では、最高指導部を構成する政治局常務委員(7人)の入れ替えは「小幅に終わる」との見方が大勢だった。しかし、最終的に新たに常務委員に選出されたのは過半数の4人を数えた。しかも全員が「習派」で、情報筋は「党長老らにとっては不意打ちだったようだ」と指摘する。

党長老らが、どの時点で最終的な人事案を知らされたのかは判然としない。ただ、胡氏が、自身と同じ共産主義青年団(共青団)出身の李氏や汪氏が最高指導部から外れたことに不満を抱いたとみるのが自然だ。

作られたボージョレーヌーボー騒ぎ

今年も「ボージョレ・ヌーボー」騒ぎが始まった。新聞記事によると以下のようだ。

11月17日に販売が解禁されるフランス産ワインの新酒「ボージョレ・ヌーボー」が19日、全日空機で羽田空港に到着した。輸入販売元のサントリーによると、航空輸送費の高騰で令和3年に比べ千円以上値上げ。主力商品は750ミリリットルで3850円(参考価格)となった。

ロシアのウクライナ侵攻で空輸ルートが制限されて遠回りになり、燃料費が増えた。サントリーは、今年の気候がブドウの生育に適していたとして「自然な果実の甘みが口いっぱいに広がる」と紹介している。サントリーは今年、約27万4千本、約19万2千リットル分を輸入する予定。今後、国内各地の空港に空輸される。(産経)

新聞がわざわざ全日空とサントリーの名前を挙げて宣伝の片棒を担いでいるが、実は日本の「ボージョレ・ヌーボー」ブームを仕掛けたのはこの2社である。

恥ずかしながらブログ子もその昔、この仕掛けのお先棒を担いだものである。舞台は赤坂プリンスホテル、オーナーの堤義明氏と数人の記者が恒例の懇親会を開いていた。そこで「今年のボジョレ・ヌーボー」の話になった。堤オーナーが「それはなんだ?」と聞いてきた。彼はこのワインについて知らなかったのである。ブログ子も知らなかった。

スポーツニッポンと報知新聞の記者が以下で紹介するような蘊蓄を披露した。すると堤オーナーは広報課長を呼んで「来年ここで大々的にやれ」と命じたのである。後に八景島シーパラダイス社長に転出したH課長もろくすっぽ知らなかったようだが、翌年そのボジョレー祭りに招待された。

いまでは日本一のワイン評論家として有名な田崎真也氏が当時プリンスホテルのソムリエで、彼がワイングラスで作ったタワーの上からボジョレーヌーボーを滝のように流すショーを見せられた。

 ブルゴーニュ地方のボジョレー地区は、ガメイ種のぶどうでつくる熟成のいらない早飲みワインで有名だ。ボジョレー・ヌーボーとは、ボジョレーでつくられる「ヌーボー(新酒)」という意味である。通常、ワインは9月から10月にかけて収穫をおこない、ぶどうを潰して発酵させ、しばらく寝かしてから出荷される。

この熟成期間は、品質や産地を守るために、国が地区ごとに法律で定めている。赤ワインで12~20ヵ月、白ワインでは10~12ヵ月の樽熟成が定められているが、ボジョレー・ヌーボーは、わずか数週間の熟成期間で出荷していいと決められており、その最初の出荷日が「解禁日」と呼ばれる11月の第3木曜日。

この「解禁日」に目をつけたのが日本のワインメーカーやビールメーカー。ワイン輸入商社で「目新しくて美味しくて希少」をメディアを使って大々的に宣伝した。普通ワインは船便で運ばれてくる。フランスから日本まで6~8週間ほどかかるが、1本あたりの輸送コストは僅か数十円。一方、航空便で運べば輸送期間は1日だけだが、コストは船便の何倍もかかり、1本あたり数百円~数千円になる。

それでも原価が安いものだからペイした。そこにコロナ禍が襲って、旅客がほぼゼロとなり破綻に瀕した航空会社が貨物便を使ってくれるボジョレーヌーボーに乗っかったという図式も加わってのブームなのである。

最盛期には1,000万本以上のボージョレ・ヌーボーが日本に輸入されたが、今では数百万本程度に落ちている。最盛期にサントリーは日本の輸入量の3,4割と国内最大の扱い高を誇ったものだが、上記記事によると今年はたったの約27万4千本だという。凋落ぶりがわかろうというものだ。

もともとボージョレ・ヌーボーはその年のワインの出来を確認するための試飲専用新酒である。フランスでは一本400円程度の「安酒」扱いで、解禁日に大騒ぎする市民など皆無。飲むなら他のワインという人がほとんどだ。現にボジョレーヌーボーの大半の輸出先は日本というのが現実なのである。

安いのが「売り」のはずのボジョレー・ヌーボが、上記の記事にあるように今年は3000円から4000円という高級ワイン並という値段ではアホらしくて飲めたものではない。だれでもさっさとワインに切り替えるだろう。

ブログ子は以前「1本390円」というチリ産ワインを買ったことがある。さすがに二度買いはしたくない代物だったが今ではチリ産ワインで美味しいのがたくさんあるという。山墅に駐日オーストラリア公使が遊びに来てクルマのトランクいっぱいのオージーワインを4人でがぶ飲みした。実に美味かった覚えがある。すぐ近くの山梨ワインはいまや世界でも一流のワインになった。

それほどのワイン「通」ではないが、こうした経験則としてボージョレー・ヌーボー騒ぎはもうやめたほうが良いと断言する。

坊主が政治に絡むと碌なことがない

上で紹介するのはイランのNetflix女優、エルナズ・ノルジさん(30)のストリップだ。ヒジャブを脱いで下着だけのトップレスになりさらにイスラム教のローブをパンツまで脱いだ。

AVに慣れた日本人にはどうってことないだろうが、ここイランでは「死」に値する大変な所業なのである。本人はここまで裸体を披露した理由を「選択の自由を促進するため」と語っている。

いま、イランでは女性たちの怒りが頂点に達している。ことの発端はイラン北西部のクルディスタンから首都テヘランに遊びにやってきたマフサー・アミニさん(22歳)=写真右=が、宗教警察(ガシュテ・エルシャード)にスカーフで髪の毛の隠し方が不十分だったことを問題にされ、逮捕されたうえ3日後に死亡した事件。アミニさんは大学入学前の最後の休暇に家族と北西部の町からテヘランに訪れて、将来は医者になるのが夢だった聡明で美貌の女性。

当初、宗教警察は心不全で亡くなったと発表したものの、警察の暴力で亡くなったことは明白。彼女の生まれ故郷であるサッケズで発生した抗議デモはまたたく間にイラン各地に波及した。

イラン政府は体制に対する重大な危機と感じて、力で必死に封じ込めようとしているが、すでに4週間が経過した現在も、若い人たちや女性を中心に激しい抗議活動が続いている。今回のデモ発生以来、民間人の犠牲者は200人にも達すると見られている。

週刊新潮で「変見自在」を連載している高山正之氏はブログ子の新聞記者時代の3年後輩だが、イスラム教の宗旨についてこう書いている。

ユダヤ教では女を不浄で罪深い存在とし、つい最近まで聖地「嘆きの壁」にも触れさせなかった。ヨブ記には男を惑わさないようスカーフで髪の毛を隠せとある。妻が不倫でもすれば石打の刑で殺しちまえとモーゼは命じた。ムハンマドはそのユダヤ教に倣ってイスラム教を立てたが、女の扱いはより過酷で「女は男の持ち物だから反抗したら打擲してベッドに放り込め」とある。

 不倫は勿論、石打刑とし、女の装いも厳格で、髪は「ヘジャブで包み、 胸は覆いをして人の目に触れさせてはならぬ」。「違反した女は鞭打ち」 と定めた。

 60年代のパーレビ王朝時代には、親米の国王が西洋化を進めヘジャブは一時、遅れた文化と見なされ、かぶることが禁止されたこともあった。1979年イスラム法学者のホメイニ師が主導した「イラン革命」でイスラム共和国になると、ヘジャブ着用が義務づけられるようになった。今から43年前、イランでホメイニ師のイスラム政権ができて、この冗談みたいな刑罰が現代に生き返った。

いま、日本では旧統一教会問題で沸き立っている。岸田文雄首相は17日午前、官邸で永岡桂子文部科学相と面会し、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)について、宗教法人法に基づき業務や運営に関する報告を求める「質問権」を行使した調査を行うよう指示した。

ことの発端は安倍晋三元首相を暗殺した山上徹也容疑者(41)が母親が統一教会に全財産を注ぎ込んで破産したのは安倍元首相が統一教会と親しくしていてからだと、逆恨みしての事件だったが、いまやそれは忘れ去られて、統一教会と親しかった立憲民主党も含めて与野党議員に追及の刃が向けられている。

あらゆる宗教は信者の献金を生業としている。ブログ子個人の経験ではカトリックの総本山バチカンでそれを見たし、学生時代創価学会に見込まれて総支部長と言うのに長時間にわたり折伏を受けた経験から、宗教と金には古来から切っても切れない関係があることを知っている。

しかし、統一教会の場合、悪どさで群を抜いている。生まれた韓国では集めた金額の大きさから宗教団体というよりは「財閥」とみなされていうという。集金マシンで一大宗教都市を建ててそこで桜田淳子で有名になったあの集団結婚式を挙げたり、霊感商品を売りつけたりしていて、集金の8割は日本からのものだという。朝鮮半島は北も南も、昔も今も日本の財布を当てにした「商売」で成り立っているのである。

いま日本ではパチンコ業界が衰退の一途である。パチンコ屋の三分の一は朝鮮総連の傘下と言われていたが、今や金正恩に貢ぐ金が底をついて、比例して朝鮮総連の北の扱いがどんどん下がっている。その北朝鮮には統一教会から潜水艦を寄贈したというから呆れる。

大小問わず世界中の宗教というのは成長すると政治に関与してくる。ロシア正教会のキリル総主教がいい例で、プーチンを堂々と擁護して「ウクライナ政権は邪悪」と公言して同じ正教会のキーウ正教会をも敵視している。呆れたものだ。

まあこれを機会に坊主(宗教)が政治に関与(口出し)すると碌なことがないことを肝に銘じるべきだろう。特に、韓国由来の宗教はみな邪教と思うことだ。

プーチンの終わりが近づいた

ウクライナのゼレンスキー大統領は2日、ロシア軍が支配していたウクライナ東部ドネツク州の要衝リマン(地図ではイジュームの少し南東部)について「完全に敵を排除した」と述べ奪還したことを明らかにした。ロシア国防省も「包囲される脅威がある」として部隊をリマンから撤退させたと発表した。

リマンは交通の拠点で、ここを抑えたことで東部ルガンスク州西部の人口約9万人のリシチャンスクを奪還できる可能性が高まった。

そればかりでなく、ウクライナ軍参謀本部によると、。南部ドネツク州ではバフムートとマイオルスク(地図では南部の青色のあたり)の重要地域でロシアの進軍を阻止し過去1日で20以上の町や村を奪還した。ロシア軍が制圧した地域のロシア側の責任者もウクライナ軍が前線を突破したことを認めている。

8か月前ロシアが侵攻したときは首都キーウ周辺を含めウクライナの大半を掌握していたから、その時と比べると「半減」あるいはそれ以上の面積を失ったことになる。

そればかりでなく、ロシアが不凍港セバストポリをどうしても確保したいがためクリミア半島を一方的に併合したものの、地対艦ミサイルで黒海艦隊の旗艦「モスクワ」(巡洋艦)があっという間に撃沈された。セバストポリを母港にしていたキロ級攻撃潜水艦隊もウクライナの射程内に入ったためやむなく黒海を出てをロシア南部に帰った。いまは中型の戦艦3,4隻が塩漬けになっているだけ。

明らかに戦況は劣勢に立たされている。9月21日、プーチン大統領は、予備役の部分的動員令を発表したが、これがとんだデタラメで、兵役経験のない60歳代の男性を召集したり、サイレンを鳴らして驚いて出てきた男に召集令状を渡したり。周辺国には召集逃れのためクルマで脱出をはかる長い車列ができた。召集適齢期の脱出者は20万人を超えたという。プーチンは30万人の兵員を確保する目的だったが、ほぼ大半が「逃亡」したわけだ。召集者は少数民族ばかりという話も伝わっている。首都モスクワやサンクトペテルブルクを中心にロシア各地で大規模な抗議デモが起きている。

プーチン大統領はウクライナ東・南部4州の占領地のロシア併合を決め、「ロシアは私たちの兄弟姉妹に故郷の扉を開くだけでなく、心を開く。おかえり!」と語り掛けたものの、その併合領土はじわりじわりと蚕食されているわけで、劣勢は覆うべくもない。欧米のメディアでは「プーチン敗戦」の論調も目立つようになった。

ブログ子もそれに近い観測だ。ロシアがせっかく併合した東部4州だが年内にでもウクライナ領から押し出されるのではないか。こうしたウクライナ側の大反撃が出来た背景には「ハルキウ奪還作戦」の成功が大きい。後日、戦史に残るであろう「敵陣突破」について触れておこう。

たった5日間の攻防で戦争の流れを変えたこの戦いの流れはこうだ。

①9月6日、ウクライナ軍は、まずイジュームの南部を攻撃した。

②9月7日、ウクライナ軍は、ハルキウ方面から包囲攻撃(敵の正面から攻撃するのではなく、敵の側背から攻撃して退路の遮断を狙うもの)を行った。ロシア軍はウクライナの攻撃主力がハルキウからなのかジューム方面からなのかわからなくなった。

③9月9日、ウクライナ軍は、ハルキウ正面から戦果を拡張し、ロシア軍が重要拠点としていたイジュームの背後に回り込んだ。

④9月10日、ウクライナ軍はイジュームへの後方連絡線を遮断。

⑤9月11日、ロシア軍イジューム守備部隊は、背後と後方連絡線に脅威を感じたために後方に逃走。ウクライナ軍は一挙にイジュームとロシアとの国境線まで進出した。

こうした作戦成功の鍵となったのは事前に「シェーピングオペレーション」が行われていたことだとアメリカの戦争研究所(ISW)は分析する。ISWはウクライナの戦況をリアルタイムで分析してホームページで公開しているところで世界中のメディアで「戦況」として掲載される地図はすべてここが作成したもので、ブログ子もここのHPをよく参照している。

 シェーピングオペレーションとは、本格的な攻撃前に実施される軍事行動で、指揮統制、弾薬庫などの敵への攻撃だけでなく、地形を変えたり、第三者に働きかけることにより、計画された進攻に備え戦場を形作る(shaping)ことをいう。

このほか戦車部隊を集中的に破壊して機動力を奪っていたことや、西側供与のハイマースなど新鋭兵器が効果をあげたこともある。なにより、ロシア軍の戦意が著しく低く、すぐ逃亡をはかったなど要因はいくつかあろう。

プーチンが命じた「一部動員令」は30万人の兵力を補充するというのが名目だが、実は100万人を集める総動員令に近いものだったとするロシア国内の報道がある。しかし前述の通りでたらめぶりでそれどころか兵役逃れの国外脱出者がすでに20万人に達している。だれが見てもプーチンの敗色は濃厚である。

独裁者の最後はいずれも無惨である。チャウシェスクのように射殺されるかムッソリーニのように民衆になぶり殺しにされるか。ヒットラーのように毒をあおるか‥。それに比べると日本には「切腹」という「きれいな」始末の付け方があるのだが、あの傲慢なプーチンには届きそうにもないのが残念だ。

「安倍国葬」に日本人の本心を見た

安倍国葬の中継を何時間か見た。昭恵夫人に抱かれた遺骨が海上自衛隊の儀仗に送られて自宅を出るところから、防衛省に立ち寄り陸海空の自衛隊員、防衛大学生、防衛医科大学生の敬礼を受けて会場の国技館に入るところ、ハイライトだった菅義偉前首相の弔辞、各国弔問団の献花、19発の弔砲場面まで。

遺骨を迎える防衛省前の光景

https://www.msn.com/ja-jp/video/news/%E5%AE%89%E5%80%8D%E5%85%83%E7%B7%8F%E7%90%86%E3%81%AE%E9%81%BA%E9%AA%A8%E3%82%92%E3%81%AE%E3%81%9B%E3%81%9F%E8%BB%8A%E3%81%8C%E9%98%B2%E8%A1%9B%E7%9C%81%E3%81%AB-%E8%81%B7%E5%93%A1-%E9%9A%8A%E5%93%A1%E3%82%89%E3%81%8C%E6%95%AC%E7%A4%BC/vi-AA12hE4C?ocid=msedgntp&cvid=d2796f7b66d341808f78d66d2a6d2092&category=foryou

会場外では献花台まで5キロ並んだ長蛇の人たち。2万5000人が花を手向け、献花が終わった後もなお花束を抱えた人の列が絶えなかった。デジタルで献花ができる「安倍元総理デジタル献花プロジェクト」には開式前の正午までに25万件を超えた。

前回ブログ子は「国葬に反対する連中は当日どれだけの人が国技館や献花台で手を合わせるか見るが良い」と書いた。いま「それ見たことか」という思いだ。メデイアは「国論を二分した」とか(国葬)反対派が賛成派を大きく上回る」と報道しているが、ブログ子の見るところ、多くの人が考えは「国葬と決まったからには粛々と実施される。騒ぎたい連中は放っとけばよい」というところだったのだろう。それが劣化した新聞・テレビにはわからなかっただけである。

もう一つメデイアがミスリードしている点がある。「反対派は高齢者が多い」という報道である。そう見えたのは中核派が途中から国葬反対運動に参加しているからだろう。国葬反対デモは極左団体の中核派や関西生コン、千葉動労、日教組などで成り立っている。

ブログ子は60年安保世代は共産党と社会党主導の「全学連」一本槍でいま80歳代、70年安保世代は共産党から分派したブントがさらに分裂して中核派、革マル派になり互いに殺し合いを始めるに及んで周りから総スカンをくい、若い世代からも見放されて受け継ぐのは旧世代だけになった。

「暴力革命」を掲げてゲリラ活動を行ってきた中核派で議長を務める清水丈夫は、地下潜行活動を経て、2020年9月、実に51年ぶりに公然集会に姿を見せて人々を驚かせた。現在85歳である。周りは推して知るべし。みな後期高齢者だから、彼らが国葬反対デモで出てきたからには、見る人らは国葬反対論者は高齢者ばかりと見えるのだと思う。

 国葬で弔問外交も展開されたが、国葬終了後元赤坂の迎賓館での日印首脳会談ではインドのモディ首相は、安倍氏の思い出を語る際、感極まって泣きそうになる場面もあったという。日豪首脳会談では、アルバニージー氏が「クアッドは安倍元首相のリーダーシップなくして開始できなかった」と述べ、功績をたたえた。アルバニージー氏とともに国葬参列のため来日した豪州の元首相3人も口を揃えて安倍首相をたたえた。

国葬は粛々と行われた。共産党、立憲民主党、朝日新聞と同調する左翼メディアは恥を知るべきだ。

安倍国葬に反対する者ども

先週、2ヶ月間どっぷり山暮らしして八ケ岳から下山しました。山に上る前に予想と言うか予言と言うか、下山する晩秋にはこうなればいい、こうするべきだと考えていたことが二つありました。ウクライナが反攻に出てうまく行けば9月中にクリミア半島まで進出する。もう一つはリベラル左翼が狂奔する安倍国葬は粛々と盛大に行えば、彼らの吠え声は雲散霧消するということでした。直近に迫った安倍国葬の方から書きます。

安倍国葬に罵声を上げているのは、朝日新聞と毎日新聞、多くのブロック紙と地方紙である。政党では共産党を中心に立憲民主などの野党である。

 「安倍元首相の業績には賛否両論がある。極めて異例の『国葬』という 形式が、かえって社会の溝を広げ、政治指導者に対する冷静な評価を妨げ はしないか」(7月20日の社説「『国葬』に疑問と疑 念」)

 “社会の溝”を広げているのは朝日新聞である。いまや「三流紙」に堕ちたこの新聞は、安倍晋三元総理の業績の中か ら、モリカケ桜等々を抜き出して如何 にも故安倍元総理が極悪人であったかの如くに吹聴している。事実は逆である。
諸外国の首脳、日本研究を物してきた人々は安倍氏の理念や政策を高く評価している。その中で、戦略論を研究するエドワード・ルトワック氏が月刊「Hanada」の9月特大号に寄せたコメントが一番的を得ているので紹介する。

「安倍氏は『日本政府の政策』を打ち出した戦後初めての政治家だ。それ以前は外務省は米国のカウンターパートである国務省と、陸上自衛隊は米陸軍と、海上自衛隊は米海軍と、内閣情報調査室は中央情報局(CIA)とだけ対話していた。しかも日本国内ではこれらの人々は互いに意思疎通も情報交換もなく、ひたすら米国の政策に追随するだけだった。安倍政権になって初めて、日本の各機関が日本国という有機体の一部となって互いに支え合うようになった」

安倍氏以前の民主党政権はルピー鳩山由紀夫にみられるように、米中の真ん中に日本を置き、日米同盟とは別個の形で東アジア共同体構想に熱中した。これは元々、中国が米国のアジアにおける存在感を薄め、アジアから排除することを狙って、日中韓+ASEAN諸国で結束しようと提唱したものだ。中国は、米国さえ背後にいなければ、日本を中国の支配下に入れて屈服させるのは容易だと考えた。これにどっぷりはまった鳩山由紀夫のお陰で民主党政権下で日米同盟が漂流し、オバマ政権は日本に深い猜疑心を抱いた。

12年12月、政権を取り戻した安倍首相が日米関係の修復を急いだのは、地球全体を見渡したパワーバランスの中で考えることができたからだ。対中抑止力の要となるTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への参加を表明したのは年明けの3月だった。TPPはトランプ氏が政権に就いた途端に米国が脱けたが、それでも安倍首相はこれをまとめ上げた。TPPの持つ戦略的重要性を十分に認識していたからこそできたことだ。

日本の長い歴史の中で育まれた価値観に人間重視の思想がある。一人一人が各々その志を遂げることができる公正な社会を目指す思想がある。個々人の生き方を許容する自由と、誰もが法の下では平等であり、国家同士も国際法の下では平等だという思想は、日本においてはるか遠い7世紀初頭から実践されてきた価値観である。

この思想が「自由で開かれたインド太平洋戦略」(FOIP)に反映された。主軸国の日米豪印の絆は深まり、オーストラリアとはいまや準同盟国と言ってよい関係を構築した。同じくイギリス、フランスも安倍氏のFOIPを受け入れた。両国と日本は「2+2」(外務・防衛閣僚会合)も実現した。また安倍氏は07年に日本の首相として初めてNATO本部を訪問し、価値観を共有することの重要性を説いている。

こうした安倍元首相の功績のどこをとっての「国葬反対」か。少しは政治史を勉強したら良い。この反対運動の中で自民党内からも唾棄すべき「本性」をあらわした輩がいる。

昨年10月の衆院選で立憲民主党の辻元清美候補(現在は参院議員)を応援し、1年間の党員資格停止処分を受けた自民党の山崎拓元副総裁である。週刊ポスト(9月9日号)で、こんな異論を唱えていた。

「果たして安倍さんに国葬に値する政治的功績があるのか」

「(岸田首相の)その判断はあまりに拙速だった」

呆れた男である。彼は第1次安倍内閣時の平成19年1月、北朝鮮に圧力をかけ続けるという内閣や拉致被害者を救う会、家族会の方針を無視して訪朝し、マツタケ料理の供応を受けた。この時の訪朝は目ぼしい成果などなかった。

山崎氏は小泉純一郎内閣の首相補佐官時代、中国の政府機関であり、中央政府・地方政府の政策立案に携わる中国第2のシンクタンク、上海社会科学院の客員研究員にも就任した。また、韓国の国立慶尚大学校の客員教授も務めるなど、北朝鮮だけでなく中韓両国にも融和的でいわば自民党内の「獅子身中の虫」である。

もう一人いる。自民党の村上誠一郎元行政改革担当相である。20日、村上氏が党本部で開かれた総務会後に、安倍氏の政権運営が「財政、金融、外交をぼろぼろにし、官僚機構まで壊した。国賊だ」と発言した。

安倍元首相が生きていたらこんなこと言えるはずがない。死者にむち打つ良識を疑う言葉だが、これを報じた記事に立憲民主党の逢坂誠二代表代行がツイッターで「良く言った」とコメントするのだから、呆れた連中である。まあこういう唾棄すべき人間が現れるのも、日本人が劣化していることの証左であろう。

こういう連中は国葬当日どれだけの人が国技館や献花台で手を合わせるか見るが良い。ブログ子は彼らが赤面する(少しの良心があればの話だが)ほど多くの国民が手を合わせると信じている。

だから嫌われる 共産党のこの教条主義

安倍晋三元首相を追悼する記帳所は、全国各地で開設されているが、横浜市が市役所内に設置した記帳所に対して共産党横浜市議団(団長=荒木由美子市議)が中止を求める声明を出した。

共産党横浜市議団の言い分はこうだ。「設置理由はあいまいであり、万人が納得できるものではありません。公平公正であるべき地方自治体のあり方に反するものと言わざるを得ません」団長の荒木市議は「(横浜市が)どういうスタンスで記帳所を開設しているのかが不透明。公費を使う以上、(横浜市には)説明責任があるのではないか」といつものような「公費を使う以上・・・」論である。

10日投開票の参院選で3選を果たした自民党の三原じゅん子参院議員(神奈川選挙区)は自らのツイッターに「設置理由があいまいと言うなら、その抗議理由こそあいまいだ! 何より市民の民意を大切にすべき」と投稿した。

共産党は今度の参院選で議席を減らした。その理由は上述の通り、この「馬鹿の一つ覚え」にあることを明確に示している。

ブログ子は新聞社の横浜総局長をつとめたことがある。居れば、ただじゃ置かないところであるが、幸いにも横浜市は「人によって受け止め方は違うとは思うが、市民の弔意を受け取る場として設置した」(総務課)と、予定通り18日まで記帳所を開設するという。まともで、ホッとした。

◇ ◇ ◇

ブログの更新を秋ごろまで休みます

ブログ子は15日、4回目のワクチン接種を受けたあと、毎年のことですが八ケ岳に「上がる」予定です。膵がんの4年生存率は8・8%という低さなので、あきらめ半分、昨年で終わりのつもりでしたので「僥倖」といったところです。

山の上はネット環境が悪く、メールも一日一回見る程度です。大きなフィルの送受信も不自由ですので、9月末に下山するまでブログの更新を休みます

安倍晋三暗殺を招いたSPの無能と統一教会の強欲

8日午前11時半ごろ、奈良市の近鉄大和西大寺駅前で、演説中だった自民党の安倍晋三元首相(67)が銃のようなもので撃たれ、心肺停止の状態で奈良県立医科大付属病院に搬送されたが午後5時3分死亡が確認された。

発砲した奈良市大宮町の職業不詳、山上徹也容疑者(41)は、母親が団体と金銭トラブルになった影響で家庭が崩壊したと説明。この団体を国内に広めたのが安倍氏だとする持論を展開し、「安倍氏を恨んで狙っていた」と説明しているという。「安倍氏の政治信条に対する恨みではない」と供述している。

問題は2つある。一つは狙撃犯人を後ろ5メートルまで近づくのを許し、1発目では当たらなかったが2発目の致命傷を受けるのを傍観していたSPの無能さである。奈良県警をはじめとする警察庁の責任は免れず近々更迭は免れない。

奈良県警の鬼塚友章本部長は警護の不備を認め、「警察官人生で最大の悔恨、痛恨の極み」などと語った。「私自身、警護計画書に目を通し、承認した。警護上の問題があったことは否定できないが、態勢なのか配置なのか、個々の警護員の能力なのか、早急に確認し、見直しを行う必要がある」

SPの無能さは下の一枚の写真がすべてを物語っている。

犯人は銃を持って近づいているのに、SP(後方黒っぽい服にマスクの人物)は犯人の銃を目撃しながら、「近づかないでよ」くらいの程度で、拳銃を引き抜くなどの対応は何もしていない。このあとも犯人は第一発目を発砲するのだが、白い煙が出た瞬間、間髪を入れず犯人を押さえ込むのがSPの仕事なのに何もする様子がなく、第二発目が安倍総理に命中してからようやくSPが動いている。

もう一つの問題点は、警察発表でも陰にある宗教団体の名前が伏せられている問題だ。何を斟酌する必要があろうか。「母親が宗教団体と金銭トラブルになって破産、その幹部を襲うつもりだったが難しいので安倍にターゲットを変えて(前の遊説先の)岡山から付け狙っていた」というから今回の暗殺の大きな要因である。何も警察が庇う必要などない。巷間、創価学会、日本会議、立正佼成会・・・の名が取り沙汰されていて伏せるのはかえって迷惑だろう。

一般にはまだその宗教団体名は伏せられているが、統一教会のようだ。

韓国発祥の新興宗教で集団結婚式で有名なところである。ひところ日本でも有名歌手が信者になって一切を投げ売って、いまも結婚相手と北陸で暮らしているようだが、文鮮明により韓国で生まれたこの宗教団体は日本で注目を浴びたのは、「霊感商法」が社会問題になったときである。「世界基督教統一神霊協会」(統一教会)といったがその後「世界平和統一家庭連合」に名称を変更、現在はさらに名称変更して「天の父母様聖会」というらしい。「協会」と称したり「教会」と呼ばれたりまちまちであるがここでは「統一教会」としておく。

韓国では財閥の1つとみなされ、系列企業は「統一教グループ」と呼ばれ、宗教としてより統一系企業の方が有名で、文鮮明は事業家としてのイメージが強い。

この統一教会が日本の政治と関わったのは、1968年に、文鮮明が岸信介の協力を得て反共産主義政治団体「国際勝共連合」を日本に設立させて以来のことで、「国際勝共連合」の名誉会長が笹川良一だったので日本では右翼とみなされることが多い。

自民党、特に安倍晋三が会長になり党内最大派閥になった「清和会」が統一教会と関係があったとしても政治の世界では当たり前である。現に統一教会が開いた大規模集会に安倍晋三前首相がビデオメッセージを送り「敬意を表します」などと演説していたことが昨年報じられたりしている。

文鮮明率いるこの団体と岸信介や安倍晋太郎が親しかったとしても当時は当然のことだったし、教祖はニクソン大統領やゴルバチョフ大統領にも招かれ国連総会でまで演説していたくらいだ。安倍晋三氏が多くの宗教団体の一つとしてその関連事業に関連を持っていたとしても特別の関係とはいえないし、世界の多くの政治家が普通に関与している。

統一教会や勝共連合の運動方針上げてみる。

                「TIME]紙は次号表紙を安倍晋三に決めた

・ジェンダーフリーや過激な性教育の廃止
・「選択的」夫婦別姓に潜む共産主義の索道を阻止
・憲法改正
・スパイ防止法の制定
・日本版NSC(国家安全保障会議)の設置
・集団的自衛権の行使容認
・非核三原則の改廃
・武器輸出三原則の改廃
・防衛産業を成長戦略に盛込む
・宇宙の軍事利用を促進

統一教会は嫌いでも保守派の多くは賛同するのではないか。

最後にブログ子はささやかながら「安倍幹事長」時代から付き合いがあった。後に「魔の三回生」と呼ばれる大量の新人議員が当選したとき以来である。彼らは物知らずだった。ブログ子は新聞社で紙面をデジタル化してネットで流すシステムを構築したことがあり、それを評価されて自民党本部に呼ばれた。

自民党にサーバーを置き、大量当選した新人議員を教育する仕事を安倍幹事長から仰せつかった。新聞社時代の政治部長と安倍幹事長の対談で自民党の考え方を広めたり、北方領土からみで終戦時に、当時のソ連が日ソ不可侵条約を一方的に破って満州と樺太から攻め入り武装解除した日本兵を殺し、婦女子を凌辱、ために樺太電話局の女性全員が「みなさんさようなら」と電話して青酸カリを飲んで果てた事件、北朝鮮への帰還事業の嘘と朝鮮総連の資金源になっている日本のパチンコ屋の実態、北朝鮮による拉致事件(横田めぐみさんの拉致などはまだそれほど知られていtなかった)、日本の軍備特に日本は潜水艦隊の優位でかろうじてロシアと中国に相対していること・・・などを自民党本部から配信した事がある。議員一人あたり1,2万円(月)もらったが、多くは幹事長が持っているカバンから出された。

その後の「魔の三回生」の事件を見ると、ブログ子の「新議員教育」はあまり成果を挙げたとはいえないが、当時はまだネットの威力などに気づく政治家など少なかっただけに、その先見の明は驚くほどであった。

最大の功績の一つが2016年に提唱した「自由で開かれたインド太平洋」であることは言うまでもない。中国を念頭に一方的な現状変更を否定し、インド太平洋地域の平和と安定を目指す構想の重要性はかすます高まり、民主主義国の共通理念として広範な支持を得ている。ほかにもG7での活躍、スカッドの創設、憲法改正へ舵を切った総理・・・当時はこれほどの「名君」になるとは思わなかったが、ずば抜けた功績をあげた人だけにこんなことで失うとは返す返すも無念の思いである。

渡辺喜美の引退に思う

無所属で参院議員の渡辺喜美元行政改革担当相(70)は参院選に立候補せず政界を引退する意向を明らかにした。所属していた日本維新の会を2017年に除名され無所属となったため、政治団体を結成して比例代表で立候補する道を探ったが、断念した。自身のフェイスブック(FB)で公表した。(新聞各紙)

この記事を読んで、数十年前になるが一枚の写真を思い出した。彼の父親、渡辺美智雄を取材したことがあった。「ミッチー」の愛称と栃木なまりのズーズー弁で庶民派標榜した人で、多分政局の話だったと思うが、終わったあとウチで飯でも食べないか、と誘われた。この人の自炊は有名で他の記者も大勢誘われたことがあるはずだが、議員のクルマを赤坂見附で捨てて、角の魚屋でサンマかイワシか買い込んで一ツ木通りを話しながら歩いて、赤坂の議員宿舎の一室にたどり着いた。

写真というのはそのとき同行したカメラマンが撮ったもので、魚を焼く議員とそれを見ているブログ子の奥に、今と全く同じ顔で勉強机でニコニコしている渡辺喜美受験生である。多分浪人でもしていて栃木から上京、親父さんの宿舎で予備校にでも通っていたのだと思う。押し入れを探せばこの一葉は出てくるだろうが、これほど若いときの顔と今が変わらない人も珍しい。

親父さんの秘書をつとめ、ミッチーが通商産業大臣、外務大臣に就任した際はそれぞれ政務秘書官に就任。1995年9月、父の死後地盤を継承し、1996年の第41回衆議院議員総選挙に栃木3区から自由民主党公認で出馬、その後も圧勝を続け第1次安倍内閣などで行革相を務めたまでは順調だったが、後が続かなかった。

2008年12月24日、民主党提出の首相・麻生太郎に対する衆議院の解散総選挙を要求する決議案に与党議員でただ1人賛成し、自民党から戒告処分を受ける。その後も麻生内閣や党執行部への批判を繰り返し、自民党離党。放り出されたという方があたっていよう。

みんなの党を結党。無所属の江田憲司や民主党を離党した浅尾慶一郎ら国会議員5名を集めて政党要件を満たし、そこそこ活動したものの、後は尻つぼみ。とどめは2010年参院選と2012年衆院選の直前に、化粧品会社DHCの吉田嘉明会長から計8億円を借り入れ、5億円超が現在も返済されていないとする吉田の手記が週刊新潮に掲載され、みんなの党の代表の辞任を余儀なくされ、ついには解党に至る。

2016年、おおさか維新の会(現・日本維新の会)へ入党し、7月10日、参議院議員として初当選し、副代表に就任したが、翌年の東京都議会議員選挙で、渡辺は音喜多駿らみんなの党出身の都民ファーストの会の候補者3名を応援する意向を示したため除名処分を受けた。今回、改選を迎えたが新党結成の目も見えず断念せざるを得なかった。

政界では大事な物「三バン」という。地盤(後援会組織)、看板(名前)、鞄(金)である。みな揃っていたが三番目のカバンで政治生命を失った。

あの一葉の写真に収まった人懐かしそうな笑顔の親子を思い出している。

参院選を「選挙ゲーム」に変えたれいわ・山本太郎

あす22日参院選が公示される。れいわ新選組の山本太郎代表が衆院議員を辞職し、参院選東京選挙区に出馬するという。半年前に手にした議員バッジを比例の次の名簿搭載の女性に手渡す写真も公表した。この写真こそ参院選を私物化している何よりの証拠である。

「盲腸」とか「参院不要論」が叫ばれる参議院だが、山本太郎の行動を見ているとだれしも「こんな参院は要らない」と思うところだ。こんな人物を当選させてはいけないと思うが、情けないことに彼が出馬する東京選挙区(改選数6)は当選者数が多くて各党一人は当選する。山本太郎も当選圏内にあるというから理不尽なものだ。

参院を辞職の理由について山本太郎は「(小政党のため)予算委員会に席を持てない」ことを挙げた。現行の小選挙区制中心の選挙制度が小政党に不利なのは事実だが、それが民意だということを忘れている。

れいわの選挙作戦も気に入らない。福祉票目当に寝たきりの重度障害者を前面に押し立てて2議席を得たあとさあ大変、参院事務局は寝たきりベッドを参院に持ち込めるよう議場を大改造、さらに段差をなくしてスロープにした。投票も本人に変わり代人が登壇できるように規則も改正した。こrを参院改革というのなら、こちらも言わせてもらうが「その程度の党なのだ」

もし今回の参院選で当選しても、次の衆院選が近づいたらまた、参院議員のバッジを平気で捨てるのではないか、という疑いが本人には終始つきまとうだろう。

3月の「ロシアによるウクライナ侵略を非難する決議」に、れいわのみが反対したことも異形の党である。理由は「言葉だけの『やってる感』を演出する決議」「形式だけの決議は必要ない。意味がない」などと述べたことだ。

いわば野党の国会活動などは、すべて「やってる感の演出」「形だけで意味がない」ことを同じ野党のれいわが認めているわけだ。その程度の国会議員だということになる。議員活動を自ら否定している党に誰が信頼など寄せるものか。

もう一つ、この党の大石晃子の品の無さは尋常ではない。1日の衆院予算委員会で、「消費税の減税は考えていない」と答弁した岸田総理に対し、「資本家の犬、財務省の犬」と面罵した。「飼い主を間違えたらだめだ。首相の本来の飼い主は国民でないとだめだ」とも述べた。

この発言に対し、根本匠衆院予算委員長は「質問に当たっては用語の使い方に十分気をつけください」と注意したが、さらに「もう一度言わせていただきます。この鬼。もう一つ名前を差し上げます。資本家の犬、財務省の犬」とくりかえした。

こんな公党、誰が更に議席を与えるものか。

戦史に残るウクライナの大勝を可能にしたものは何か

このブログ前々回でドネツク川渡河作戦でロシア軍が大敗した事を紹介した。損害はウクライナ側「ほぼゼロ」、ロシア側「100」という日露戦争でバルチック艦隊相手に大勝した日本海軍に匹敵する勝ちっぷりで今後、戦史に残ることだろう。

ロシアは今度のウクライナ侵攻でなめてかかって「2週間でキーフ占領」をもくろんだ。それが北部撤退を余儀なくされ、親ロシア派がいる東側の2州と先に占拠したクリミア半島側の南部、マリュウポリからの侵攻という戦線膠着状態にある。ウクライナ側は西側からの武器援助が前線に届く6月以降には反抗に出るという。

今回、世界トップクラスと言われた軍事大国ロシア軍が「あきれるほど弱体」であった事を暴露した原因はいくつかあるが、最大の原因は今に至るもウクライナで制空権が握れないことにある。最新鋭機を飛ばせばバッタバッタと撃墜されて、無惨な写真がばらまかれている。黒海艦隊の旗艦「モスクワ」は地対艦ミサイルネプチューンであっけなく撃沈された。それに前述のドネツク川渡河作戦の失敗である。陸海空で「大敗」したのではもはや立つ瀬はない。

ブログ子はドネツク川渡河作戦での動画を見たが、ロシア軍の戦車に照準を表す「+」マークが点いた直後、正確に直撃弾が命中して炎上しているのが不思議だった。普通はターゲットを捉えてから後方の砲撃部隊に位置情報を連絡して射撃が始まるので「数分後」に着弾が見られるものだからだ。

その疑問にこたえる動画が5月26日のニューズウイーク日本版に掲載された。

開戦以来最も激しい戦闘ともいわれるシヴァスキー・ドネツ川の渡河防止作戦で、ウクライナのプログラマーが開発した画期的なミサイル攻撃ソフトが導入されていたことがわかった。英タイムズ紙が報じた。

システムは「GIS Arta(ジーアイエス・アルタ)」と呼ばれるもので、スマホ入力やレーダーなどによる索敵情報を統合する。さらに、この情報からミサイルを撃ち込むべき最も効果的な位置を瞬時に判断し、フィールドに展開中の各砲兵に目標を振り分けるものだ。

GIS Artaの導入で、ミサイル発射の決定から実際の発射までの時間は、従来の10分の1から20分の1にまで短縮された。従来20分前後を要していたところ、命令から1分程度で引き金を引けるまでになっている。

攻撃指令を即断化したGIS Artaは、その素早い割り当て能力から「戦場のUber」の異名をもつ。本来このシステムは列車制御に使われていた。乗車希望の顧客に対し、市街を走る車両から最も適した車両を割り当てる。これを応用してGIS Artaも、戦場に分布する自軍のなかから、最も効果的な兵器をもつ小隊に攻撃指令を割り当てるしくみだ。

ウクライナ東部では5月8日、シヴァスキー・ドネツ川に架かる浮き桟橋を渡ろうとしたロシア軍と、防衛に回るウクライナ軍のあいだで、侵攻開始以来最も激しいとされる戦闘が展開した。砲撃と空爆は2日間にわたり、最終的にウクライナ側は渡河の阻止に成功している。

ロシア側は戦車や人員輸送車など70台以上の車両を喪失したほか、少なくとも1個大隊戦術群に相当する兵力を失ったとみられる。将校・兵士含め700人前後に相当する兵力だ。

アメリカ国防契約管理局のテレンコ氏はツイートを通じ、GIS Artaアプリとスターリンク衛星通信の組み合わせが、「アメリカ軍の一般的な砲術指揮統制と比較して相当に優れたものをウクライナ軍にもたらした」との見解を示している。

このような演算システムはアメリカ軍も砲兵射撃指揮統制システム(TACFIRE)や先進野戦砲兵戦術情報システム(AFATDS)などを導入している。しかし、砲撃までの時間には雲泥の差がある。

トレント・テレンコ氏は、「米軍は指令から発射まで、第二次大戦では5分、ベトナム戦争では15分、現在では1時間を要している」「いや、書き間違いではない」と述べている。

アメリカでは友軍に対する誤射防止などのため、上層部への確認手続きに時間を要するようになっているのだという。対するGIS Artaはこの常識を覆し、常に自軍の位置を追跡しておくことで、元々20分だった工程を最短30秒にまで短縮した。ウクライナのシステムは、「意思決定」と「引き金を引く」のあいだに存在した冗長な時間を、IT化で省いたといえそうだ。

ウクライナ軍参謀本部によると、2月24日から5月30日までのロシア軍の戦闘損失は兵員 約3万350人、戦車1349両、戦闘装甲車3282両、大砲システム643門、多連装ロケットシステム205基、防空システム93基、航空機207機、ヘリコプター174機、無人航空機507機、ミサイル118発、艦艇13隻、燃料車など2258台となっている。

英大衆紙デーリー・ミラーは、ロシア軍の現状と問題点を分析した英機密報告書の内容をスクープした(5月31日)。それによると<プーチンは依然としてウクライナ東部ドンバスでの勝利は可能だと信じているが、そのために払う犠牲はロシア軍にとって重すぎる>
英国防情報部も5月30日のツイートで「ロシア軍は中堅・下級将校が壊滅的な損失を被っているとみられる」と指摘。「旅団や大隊の指揮官は部隊のパフォーマンスに対し容赦ない責任を負わされるため、危険な場所に前方展開せざるを得なくなっている」と分析している。

先述の英機密報告書ではさらに「ロシア陸軍は米欧の軍隊のように高度な訓練を受け、権限を与えられた下士官の幹部がいない。このため、訓練不足の下士官が最下層の戦術的行動を指揮しなければならない状況に追い込まれている。また、若手の専門将校を大量に失ったことは、指揮統制を近代化する上ですでに抱え込んでいるロシア軍の問題をさらに悪化させる可能性が高い」と指摘している。

さらに「ドンバスで迅速かつ決定的な勝利を収めようとするロシア軍の試みは、まだ成功していない。ロシア軍はまだ1日に1~2キロメートルずつしか前進できていない。ロシア軍は現在の2022年ではなく第二次大戦の1945年を思い起こさせる非常にコストのかかる歩兵攻撃を繰り返す泥仕合で成功を収めている」

NATOからの武器支援がこのまま続けばロシア軍はこの消耗戦に耐えられない。ゼレンスキー大統領がいうように「クリミア半島を取り戻す」ことも視野に入ってくるであろう。

プーチンの非道な戦争は世界が一丸となって「絶対に勝たなければならない」戦争である。

ロシア兵民間人2人射殺の瞬間、日本のテレビは「寸止め」「モザイク」の馬鹿らしさ

ロシア軍による戦争犯罪が次々明らかになるなかで昨13日、民間人2人を背後から射殺する鬼畜のロシア兵の映像が流れた。ところがこれを伝えた日本の民放テレビ局は発砲の寸前で画像を止めたり、ロシア兵の顔にモザイクを施したりして流していた。NHKはいっさい流さなかった。いわゆる人権とかショックを受ける人への配慮だろう。しかしブログ子ははっきり言っておく。報道人として失格だと。

映像は、ロシア軍が侵攻後最初にキーウを奪取しようとしていた3月16日に撮影された。市に通じる幹線道路では、ウクライナ軍がロシア軍の進軍を阻もうと激しい戦闘を繰り広げていた。キーウ郊外の自転車やオートバイの販売店にロシア軍の兵士数名がやってきた。この店の2人が応対した。報道したCNNによると1人は略奪に遭った自動車販売店のオーナーで、遺族が氏名の公表を望まなかった。もう1人はレオニード・オレクシヨビチ・プラッツさんで2人の孫を持つ68歳の男性で、同店舗の守衛をしていた。

店舗の至る所にあるいくつものカメラで撮影されたのをCNNが編集したもので音声は入っていないが画質は鮮明だ。それによると、5人のロシア兵がやってきて、販売店内に押し入ろうと錠を撃ったり、ガラスを割ったりしている。販売店のオーナーが両手を上げて近づくと、兵士らは武器を所持していないか確かめるような動きを見せる。続いてプラッツさんが現れ、同じようにボディーチェックされる。

何か言葉を交わした後で、兵士らは背を向け、プラッツさんたちも店舗の奥に戻ろうと歩き始める。その時、2人の兵士が背後に現われ自動小銃を発砲。撃たれた2人はいずれも地面に倒れた。

動画(CNNから)は下記をクリック

https://www.cnn.co.jp/video/21154.html?utm_source=yahoonews&utm_medium=news_distribution&utm_campaign=contents_distribution_ynews_photo

兵士らは販売店の内部で防弾チョッキを外し、引き出しや机をあさりまわっている。棚にあった毛糸の帽子をかぶったり、グラスに入った飲み物で乾杯の仕草をする兵士らもいる。

カメラに気づいて壊そうとするロシア兵。顔がはっきり写っているからいずれ訴追対象になろう

兵士らが店舗を荒らしている間、オーナーは即死したがプラッツさんはまだ生きていた。映像には足を引きずりながら警備所に戻ってくるプラッツさんが映っている。太ももには止血帯らしきものが巻かれている。その場でプラッツさんは電話をかけ、助けを求めた。相手は近所に残って町の防衛を志願した同胞のウクライナ市民だ。

電話の相手、友人のワシリ・ポドリエフスキーさんはこの日、大量出血の続くレオニードさんと、電話で2回やりとりした。民間人は殺さないと言ったそばから、ロシア兵は自分を撃ったのだと、プラッツさんはワシリさんにそう話したという。

「せめて自分で包帯を巻けるか? そう尋ねると、『ワーシャ、なんとかここまで這って来たんだ。全身がすごく痛い、すごく苦しい』という答えが返ってきた」。すぐに行こうとしたがロシア兵がつぎつぎ入ってくるので出られない。、地域防衛部隊に連絡し助けを求め、ようやく店舗にたどり着いた。

映像には、彼らがプラッツさんを警備所から運び出す際、床に流れたおびただしい血の痕が映っている。プラッツさんは警備所の外で息を引き取った。

◇ ◇ ◇
戦争は「なんでもあり」のように思われているが、このような民間人殺害はれっきとした戦争犯罪で、 第三者機関ではないが当該国で裁判できることになっている。

 そうしたなか13日、ウクライナで非武装の民間人を射殺したとして、戦争犯罪に問われているロシア兵の公判が、首都キーウの裁判所で始まった。ウクライナ検察はロシア軍による犯罪行為の捜査を進めているが、戦争犯罪を問う公判は初めて。

戦争犯罪に問われているのはロシア西部モスクワ州の戦車部隊の指揮官だったワジム・シシマリン軍曹(21)=写真右。ウクライナ侵攻開始から4日後の2月28日、同国北東部のスーミ州チュパヒウカ村で自転車に乗っていた62歳の男性に発砲し殺害した疑いが持たれている。

 シシマリン被告は丸刈りで、青と灰色のパーカ、スエットパンツを身につけて、裁判所のガラス張りのスペースに座った。「私は撃てと(同僚から)命じられた。1発撃った。彼は倒れた。我々は(そのまま)移動を続けた」と語り、殺害を認めた。

ウクライナの刑法により、10~15年の自由剝奪刑か終身刑に処せられる可能性があるという。

ウクライナ検察では1万700件以上の戦争犯罪が疑われるケースを捜査しており、容疑者の特定を進めている。ウクライナはIT技術大国で、顔認証により戦死したロシア兵士の身元を特定、ロシア軍が隠して知らせていない母親に通知していると言われる。

自転車店の犯行では犯人のロシア軍兵士は現在ロシア側にいるものの、顔ははっきり捉えられていて、同じ手法で特定されるものと思われる。当然いずれ訴追される可能性が高い。それなのに日本のテレビ局はモザイクをかけて報道している。いわば犯人隠匿に手を貸していることになる。平和ボケしているテレビ局の見解を問いたい。

ロシア軍の渡河作戦見抜かれ戦車など52両壊滅

前回、ロシアの最新鋭戦車が配備直後に破壊された事を報じたが、今度は東部戦線で戦車の渡河作戦をウクライナ側に見抜かれ集中攻撃を受けて戦車、軍用車両など52両という大隊規模が壊滅したことが判明した。ウクライナ側の損害はほぼゼロで、とても世界第2位の軍事大国とは思えないロシア軍の拙劣な作戦ぶりである。

キーウ付近の北方から侵攻したロシア軍はブチャなどで大虐殺を働いたが、ウクライナ軍の善戦で押し戻され、敗軍を再編成して現在は東部方面から再攻撃している。ロシア軍は5月8日、リシチャンスクとその姉妹都市セベロドネツクを大きく包囲しようと進軍してきた。

だが、ウクライナ側は見抜いていた。ウクライナの軍事技術者を名乗る「マキシム」氏がツイッターに一部始終を投稿したところでは、5月7日にロシアが川を渡ろうとする可能性が最も高い場所を特定し待ち構えていた。ロシア軍は得意とする「ポンツーン橋」を架けるだろうが、その合図は仮橋を運ぶタグボートのエンジン音が確実なサインだ、と現場に指示を出していた。

「ポンツーン橋」というのは右の動画で示したように、折りたたんだ形で架橋を運び現場であっという間に展開させて戦車を渡すための仮橋をつくるものだ。

5月8日の朝、タグボートのエンジン音が聞こえてきた、同時にロシアは近くの畑を焼き、発煙弾を投げて川を煙幕で覆ったあと進軍してきた。ウクライナ軍はドローンを使って大隊を発見した後、壊滅的な砲撃が命じられた。

ツイッターの「マキシム」氏によると「偵察部隊がロシアの橋の架設を確認してからおよそ20分後、重砲がロシア軍に一斉射撃し、その後、航空隊も参戦した」。

渡河作戦中にウクライナ軍に強襲され壊滅した現場

橋は崩壊した。渡り終えていた10数両は川のウクライナ側で身動きが取れなくなり、戻ることもできなくなった。ロシア軍のおよそ30から50台の戦車や兵員輸送車両、軍用車両はウクライナ軍の攻撃で混乱、なすがままに破壊された。5月9日の朝に撮影された衛星画像では、ウクライナのドネツ川近くはロシア軍の「戦車の墓場」と化していた。大隊規模のロシア軍が全滅したとみられる。この戦闘で、未確認だが1500人のロシア兵が死んだという。

川の片側には少なくとも3台のロシア製戦車と4台の装甲歩兵車両の残骸があり、その他の残骸も水面下に突き出ている。

ゼレンスキー大統領は、「占領者は徐々に押しやられている。侵略者の軍隊を追い出すために、戦線を維持し、本当に超人的な力を発揮しているすべての人々に感謝する」。

それにしてもロシア軍の「劣化」ぶりはひどいものだ。ロシア兵による民間人殺害、強盗、強姦‥は伝統的なもので、一方的に日ソ不可侵条約を破って満州と樺太に侵攻、武装放棄していた日本兵と現地に残っていた民間の日本人を殺し、60万人の日本兵をシベリアで使役した過去とそっくりである。

ロシアという国の残虐性を日本人は知っているが、世界は無知で中国やアフリカなど「世界人口の半分」はまだロシアに肩入れしている。ロシアは世界第2位の軍事大国ではあるが、GDPでは15位くらいで韓国とイタリアの間に位置する。こうした拙劣で士気も低い軍隊を世界が見ることで、グロムイコ外相が拒否権を振り回し「ミスター・ニエット」と呼ばれたくらい、国連を舞台に暴虐に振る舞ったこの国が、「それ相当」の地位に収まることを願う。

ロシアの”虎の子”戦車が配備直後に破壊さる

ロシアの「T-90シリーズ」最新作である「T-90M」は、ロシア軍の兵器で技術的に最も進んだ戦闘車両とされるが、配備数日後にウクライナ軍により破壊され、しかもその映像がツイッターで流された。

ロシア軍は5月2日、ハルキウ奪還を試みたものの、ウクライナ軍が善戦して5月4日、ロシア軍を押し戻した。その際ツイッター上にドローンが「T-90M」に照準を合わせ撃破する映像がアップされた。

https://twitter.com/i/status/1523979659544834057

ウクライナ国防省は5月5日の声明で、「T-90M」の破壊を確認したことを明かし、「世界の多くの人が恐れていたロシア軍のイメージは、この2ヶ月の間に想像もつかないほど弱まっている」と強調した。

T-90M「プロルイヴ3」と呼ばれる最新鋭戦車はロシア国内外に2000台あるT-90戦車を高度に最新化したもの。砲塔は、敵の軽装甲車や歩兵を殲滅するための遠隔操作式大口径(12.7 mm)機関銃「コルドMT」を搭載している。 また、劣化ウランの芯を持つ装弾筒付徹甲弾「ヴァクーム1」を搭載、秒速1980メートルまで加速し1メートルの戦車用装甲板を簡単に貫通する能力がある。このほか誘導ロケット弾「スプリンテル」で、飛翔中に軌道を修正して敵目標に正確に命中させる能力もある。さらにこの戦車は赤外線カメラにほとんど写らない。50トンの戦車は、起伏の激しい土地でも時速70キロメートルで疾走することができ、乗員は、いくつものレバーの代わりに操縦桿を使って楽に運転ができる。

まさに「無敵の戦車」と言われてきた。しかし高価で1両9億円ほど。ウクライナ戦線にはわずか20両しか配備されていない。その20両は2月半ばにロシアのクルスク州郊外で鉄道によって運搬される20輌以上が確認され、4月25日にウクライナ東部で実戦配備が報告されていた。

今回の戦争は電子戦でロシア側の劣勢が目立つ。今回もアメリカの情報提供があったのだろうが、「T-90M」の真上に攻撃用ドローンがあり、そこからロケット弾が発射される様子や、赤い炎が上がるまで捉えられている。戦車はどんなに装甲を誇っても真上からの攻撃には弱いという欠点がある。そこを突かれたことがよく分かる。

4月に、ロシア黒海艦隊の旗艦であるミサイル巡洋艦「モスクワ」が撃沈されたのに続き、今回「無敵の戦車」まであっという間に潰されたのではロシア軍の面目丸つぶれである。

ロシアには「T-90M」を凌ぐ、「T-14アルマータ」という戦車がある。攻撃力、防御力、電子システムにおいて他国の主力戦車より優れた最強の戦車と言われる。偵察ドローンを搭載し、対空機関銃は最大1.5 km離れた空中の高速移動物体に命中させる能力を持つ。敵のレーダーに映らないようにするステルス技術も備えている。そして車内にトイレも設置され、戦車の弱点とされてきた問題もクリアしている。

とはいえ、いまだにウクライナで「T-14アルマータ」の姿は確認されていない。ロシアは資金不足のために「T-14アルマータ」は戦線での戦闘準備ができないようだ。そいえば戦争初期に撃墜されたロシア軍のドローンの映像ではカメラはキャノン、部品や電子機器はこれまた日本製だった。度重なる自由主義世界からの経済制裁によって分品などの入手が難しくなり製造できていないと見られる。

「数年」とは何年を意味するか?

家族や友人たちと訪れたキャンプ場から当時7歳の小倉美咲さんが忽然と姿を消してから2年7か月──。行方不明になった山梨県道志村のキャンプ場から約600メートルの山中で子どもの頭部とみられる人骨が発見された。

報道によると、「肩甲骨とみられるものは、衣類と数メートル以内の場所で、土や落ち葉に埋もれた状態で見つかり、死後数年が経過している可能性がある」という。

ほぼ間違いないと思われるが、ここで書くことは事件についてではなく、ここで登場する「数年」「数メートル」という表現に付いてである。ブログ子は高齢者に属するが学校では「数年」とは「5、6年」と習った。美咲さんが行方不明になって3年弱だから違う人骨かも知れないと理解する。「数メートル離れて」とあれば「5,6メートル離れて」見つかったと理解する。

ところが今の人、特に20代、30代は「数年」は「2、3年」のことと理解する人が殆どで、この骨は美咲さんに違いない、と直感するようだ。

こうした本来、統一させなければならない言葉が統一していない状態を「言葉の揺れ」「国語の揺れ」という。NHKの調査では「砂をかむよう」の意味を、本来の意味である「無味乾燥でつまらない様子」ではなく、「くやしくてたまらない様子」と理解している人のほうが多いという結果が出ている。国民の世代によって捉える意味が違うのでは相互理解がすすまない。一大事である。

「国語の揺れ」は国語辞典でも見られる。岩波国語辞典の「4から6くらいの範囲。近頃は3か4程度」と言うのは良心的で、ほかは「3,4か5,6中心に2から10までさまざま。1980年以降は2,3」と書く。辞書も「揺らいでいる」のだ。これではもう「数年」どころか「数メートル」「数匹」も「数隻」も使えたものではない。

なぜなら、土砂災害で道路が通行止めになったときの報道で「復旧には数日かかる見込み」とあったら、利用者の方で若い人は「2~ 3日」だからまあいいかと一派と「5~6日」も通勤に支障できないかもという一派が分かれるのでは影響の大きさの程度がバラバラになる。

◇ ◇ ◇

事件の方に戻る。この事件では山梨県警の対応が悪い。所轄は大月署でそれこそ「数十人」規模と小さく、発生当初からと骨片発見の現在に至るまで現場捜索には「40人」しか出せないでいる。発生2,3日後から一時は自衛隊に依頼して100数十人も加わって「じゅうたん捜査」したが見つけられず、見つけたのはボランティアで現場周辺を何度も捜索していたアマチュア探偵であった。

いなくなったキャンプ場からわずか「数百メートル」で骨片が見つかっているから、もっと人手を出していたら・・・と悔やまれる。発生からしばらくしてJRの駅前で美咲ちゃんのチラシを配ったりしていたが、そんなパフォーマンスより県警本部長が直接指揮して県下各署から動員すればよかったのにと思う。発生直後に山の手通りと広域農道を通ったが、チラシ配りしている一方で北杜署は「ネズミ捕り」に執心していた。山梨県警は1600人ほどだが、ネズミ捕りの人手を本部長指揮で道志村に回せばよかった。

ただ事でないロシア軍の損耗率

プーチンのウクライナ侵攻から2か月の4月24日、ウクライナ陸軍が最新統計を出した。戦争では互いに敵の損害を多めに出すものであるが、これまでのロシア側発表はまるでデタラメであることを考慮すると、ウクライナ側発表は信憑性は高いと考えられる。

それによると(画像は英国「デイリー・メイル」紙から)、兵員の死者は21,800人 戦車873両、航空機179機、大砲(牽引式と自走式)408基、ヘリコプター179機、、装甲車2,238両、地対空ミサイル69基、多頭ロケット発射システム147基、兵員輸送車両1557両、無人航空機191機、輸送車76両 軍艦8隻。

「損耗率25%」という試算もある。20%を超えると普通、軍隊としては「負け」である。

いずれにしても甚大な損害である。2月24日の時点で、ロシアの陸軍は28万人ウクライナは12万5600人だった。2週間で制圧という目論見だったようだがあてが外れ、3月下旬にはキエフ近郊から撤退を余儀なくされ、ドンバス東部での攻勢に力を入れざるを得なくなった。

総司令官も任命せず、普通は林に隠れながら進軍するのに戦車を一列縦隊で進ませて米軍貸与の対戦車砲ジャベリンの格好の餌食になった。送られてくる路肩に擱座したおびただしい数の戦車のスクラップを見ると拙劣な攻撃ぶりは明白である。ロシア黒海艦隊の旗艦「モスクワ」はウクライナ自前の地対艦ミサイル「ネプチューン」2発で海の藻屑となった。

ウクライナ海軍は10年前の露軍のクリミア半島侵攻でセヴァストポリ軍港から追い出されオデッサ軍港に押し込められていたが、すべての艦船を入り口に自沈させた。自軍も出られないが、ロシア軍も揚陸艦から兵隊を上陸させられない作戦である。「ネプチューン」の射程距離2キロ以内にノコノコと旗艦を進めたミスは明らかで、今頃になって黒海艦隊司令官を逮捕したところで追いつかない。

専門家によれば、この戦争は「第2段階」に入った。すなわちロシアがドネツクとルハンスクのドンバス地域の領土を奪取し、南部のマリウポリを廃墟にしてもこれまで海路でしかクリミアのセヴァストポリ軍港に兵站路がなかったものを、陸路でつなげようとする試みだ。いずれ停戦交渉に入るだろうが、そのとき、両軍の占領地図を基に交渉されるのが戦争の基本だからだ。

しかし、これは容易ではない。たしかにマリウポリ市街は破壊されているが、最後は陸上部隊が入るしかない。今のように、親露地区からロケットで攻撃するだけでは容易に陥ちるものではない。ロシア軍は当初ウクライナ全土の掌握を目指していたがもはやその意図は無理筋だ。なぜなら専門家の見るところ「ウクライナ全土を掌握し全人口を支配するために必要なロシア兵の数は100万人近くになる」(キングス・カレッジ・ロンドン戦争学部のマイケル・クラーク客員教授)。キーウを撤退した今、ロシア軍にできる最善の策は親露地区の独立とクリミア半島への南部の兵站ルートを確保することである。

侵攻2か月での甚大な損耗は何を物語るか。

プーチンの「終わりの始まり」と言われるが、問題はその「終わり方」である。プーチンはソ連時代の秘密警察「KGB」(カー・ゲー・ベー)出身のスパイである。ところがロシア軍より上に位置するその親衛隊と最近ミゾが深まっているという。何十人か粛清されたという噂もある。先月、ロシア軍幹部と「異常に長いテーブル」を挟んで会談している写真があった。「コロナ対策」というのが公式の発表だったが、あれは暗殺を恐れてのことだという説が出回った。警備の厳重なクレムリンでもし持ち込めるとしても拳銃が精一杯である。20メートルも離れていては拳銃の弾はたいていそれるという。

暗殺はロシアの常套手段である。反プーチンで毒殺されかけた反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏(45)は、「ロシアは臆病者の国であるべきではない。狂った皇帝をひきずり下ろすため、すべての人々に街頭に出て、平和のために闘うよう要請する」と獄中から呼びかけているが、この戦争を止める最良の方策はプーチンを大統領の座から追い出すことである。

もう一つの方策は病気である。先日、ジョイグ国防相とのサシの会談が公開されたが、その動画では異常な仕草から病気、パーキンソン病の進行が指摘されている。

露大統領府が公表した約12分間の動画では、プーチンはショイグと着席で会談を始めた直後から、右手でテーブルの端を(白く見えるほど)強く握り、最後まで離すことはほとんどなかった。また足を小刻みに揺らしていた。一方、ショイグ国防相も心臓発作を起こしたあともあまり調子が良くないようで、言葉にハリがなくひたすrらメモを読み上げるばかり。ビデオを見た専門家も「プーチンとショイグ双方とも『落ち込んでいて、健康状態が悪そうだ』」と述べている。

この場でプーチンは「ロシアはマリウポルを解放したと主張し、ジョイグに対し反抗的なウクライナ人が立てこもるアゾフスタン製鉄所を、ハエ一匹通れないように封鎖するよう」猛烈に命令していた。言葉は激烈だが、映像からはプーチンの姿勢の悪さ、明らかに肥大化した顔と首について、最近低下しているとされる彼の健康について憶測を呼んだ。

テキサス工科大学のボディランゲージ専門家、エリック・ビュシー教授はサン・オンラインに、「数年前にも観察したプーチンと比べると、驚くほど弱体化している。健常な大統領なら、テコのために手を差し出して体を支えている必要はなく、両足を地面につけていることに気を使うこともないだろう。小さな会議テーブルでかろうじて直立しているように見えるプーチンの肖像だ」という。

プーチンの膨れた顔と首は、ステロイド治療を受けているという観測を裏付ける。プーチンは甲状腺癌を専門とする医師と「常に」一緒にいるとの報道もある。モスクワの中央臨床病院の外科医エフゲニー・セリバノフは、黒海のリゾート地ソチにいるロシアの指導者のもとへ35回以上も飛行機で訪れている。セリバノフ医師には、「高齢者甲状腺癌の診断と外科的治療の特殊性」という論文がある。

 英国の元国会議員はSNSで「プーチン氏はパーキンソン病を患っている。テーブルを握っていたのは右手の震えを抑えようとしていたからだ」との見方を示した。

 露独立系メディア「プロエクト」は1日、プーチン氏が甲状腺の病気を抱えている可能性を報じた。体調悪化がウクライナ侵攻を巡る判断に影響しているとの見方もある。

ロシア軍の士気の低さ、兵器の常識を超える損耗率、秘密警察への粛清、艦隊司令長官の拘束‥この戦争は今後数ヶ月から数年続くとの見方が出ている。しかし、ブログ子はロシアの内部崩壊に期待する。

ロシア旗艦「モスクワ」炎上写真からわかること

ロシア海軍黒海艦隊旗艦のミサイル巡洋艦「モスクワ」(約1万2500トン)がウクライナの開発した地対艦巡航ミサイル(ネプチューン)2発によって撃沈される直前の写真をウクライナ高官がオンライン上で公開した。

ロシア軍は撃沈と認めず「艦内で火災が発生、弾薬が爆発したため母港に曳航中に荒波で浸水、沈没した。乗組員は全員退避して人的損害はなし」と発表した。しかし、その後沈みゆく「モスクワ」の写真が公表されると、ことごとくウソであることが明白になってきた。

写真左側が「モスクワ」の前部。左舷喫水線近くに穴があいていることがわかる。右舷奥に放水する救助船、ヘリ格納庫が開いていること、艦橋下の救命ボートが無くなっている。

写真から読み取れることについて軍事専門家などはこう見ている。

BBCが海軍の専門家3人に動画と画像を見せて見解を求めたところ、撮影された画像は日中であることから、ウクライナが巡洋艦「モスクワ」を攻撃したと主張する日の翌日、4月14日に撮影されたもので、損傷がミサイル攻撃のものと一致するように見えるとの共通の見解を得られた。

また、画像からは海は穏やかで、ロシア側の発表のような「弾薬の爆発で艦体が損傷し、その後荒れた海が原因で沈没した」のではないことがわかる。救助艇から撮影されたとみられる3秒間の動画では、艦艇が左側に大きく傾いている。艦艇の右隣には、ロシアのものとみられるタグボート1隻が確認できる。艦艇からは黒煙が立ち上り、乾舷(船の中央部で、満載喫水線から上甲板の舷側までの高さ)の一部は大きく破損している。乾舷のほかの部分にも複数の穴が開いていて相当量の海水が流れ込んでいたことを示唆している。

船の左側の喫水線付近の損傷、左側面の煙と火災の被害、救命ボートの欠損、ヘリコプター・ベイの開いたドアなどが写っており、すでに積載のヘリが離陸したことがわかる。また、救助船が被災船の後方に見え、ジェット水流を噴射している。

「左舷の煙の跡は喫水線に近くにあるように見える。ネプチューンの特徴だと報告されているシースキミング(超低空飛行)が可能なミサイルによる損傷である事を示している」

「船の側面がかなりギザギザに内側に破裂しているのがわかる。艦内での爆発なら、内側ではなく、外側にめっきが突き出しているはずだ。これは(ミサイルの)貫通とその後に爆発があったことを示唆している。1発あるいは2発のミサイルが命中したのは間違いない」

もう一人の北大西洋条約機構(NATO)の司令官でもあった人は「大きな煙が上がったのは、ミサイル攻撃により艦内に保管されていたミサイルに穴が開き、甲板に沿って燃料が漏れて壊滅的な火災が起きたためだ。甲板が完全に変形し、船全体が燃え尽きているように見える。燃料が甲板に沿って船尾の方まで流れたのだろう」

英王立防衛安全保障研究所(RUSI)の軍事専門家、はBBCに対し、「対空砲の弾薬が積まれていた場所で火災の被害が見られる。最初の攻撃で発生した火災によって、対空砲の弾薬に火が付いたというのが、1つの有力な仮説だ」

また日本側の専門家の見方でも概ね一致する。元産経新聞ロンドン支局長、木村正人氏が香田洋二・元海上自衛隊自衛艦隊司令官にインタビューしたところでも(JBpress)、同様にロシア軍完敗の解析がされている。

(以下、香田氏の見方)
 ロシア側は最初、モスクワで火災が発生し弾薬が爆発したと説明したが、軍艦の特性上あり得ない話だと思った。ウクライナ側の対艦ミサイルによる攻撃だと予測できた。軍艦は基本的に武器と燃料と弾薬のかたまりで、その間に人間が寝泊まりしている。このため最大の危険物である搭載弾薬類には二重、三重の安全措置と装備が準備されている。

 戦闘被害ではなく通常の状態で火災が起きた時は、弾薬庫に二酸化炭素を充満させたり、普通のビルの約50倍の密度で設置しているスプリンクラーを作動させたり、最後の手段としてミサイル区画に海水を張ったりして爆発を防ぐ仕組みになっている。

 モスクワは両側に「SS-N-12(西側の識別番号)」という対艦ミサイルを8基ずつ甲板上にむき出して積んでいる。これは弾薬庫での保管とは異なるので海水の漲水などは困難であるが、火災の際には外部から大量散水して冷却するのが鉄則だ。戦闘以外の火災で爆発することは、乗員の拙劣な防火活動など極まれなケースを除きまずあり得ない。

 逆に、対艦ミサイルの命中による被害の際は、このような安全機構の全部または一部が作動不能となり、その結果、搭載ミサイルや弾薬の誘爆に至ることが多い。12時間後にモスクワが沈没したことを考えると、ミサイルの誘爆と二次被害による船体の破損がもたらした浸水という事態の公算が高く、ほぼ確実にウクライナの対艦ミサイルによる攻撃だ。

 ウクライナ海軍は2月24日にロシア軍の攻撃が始まった時に大型の戦闘艦をすべて自沈させた。軍港を占領された場合、ロシア軍が自国の戦闘艦を無傷で使う事態を阻止するためであった。これによりロシア軍は労せず黒海の制海権を獲得した。ロシア海軍がいまやっている任務は二つある。一つはウクライナ南東部の陸上戦闘を支援するための艦砲射撃とウクライナの地上目標に軍艦から巡航ミサイルを撃ち込む対地作戦だ。

 もう一つの任務は輸送だ。首都キーウ(キエフ)や北西部の作戦が上手くいかなかった理由の一つに、橋を破壊されたり、途中で待ち伏せ攻撃をされたりしてロジスティックラインをウクライナに切られたことがある。

 10トントラックで1万トンの燃料を運ぼうとすると1000台いる。海上輸送ならクリミアから一気に半日で運べる。しかも制海権をとっているから陸上のようなウクライナ軍の妨害がない。キーウ撤退以後の主正面となり戦闘が日々激化している南東部の戦線ではロジの支援ルートとして陸上に加えて海上が安全に使えた。

 しかし今回陸上から対艦ミサイルが撃たれ、モスクワが撃沈されたことで、ロシア軍としてはウクライナ軍の対艦攻撃能力を無力化する必要に迫られている。そのあとでないと安心して海上輸送できない。このことが陸上戦闘に相当大きな影響を与える。

 ロシアの目論見は大きく崩れた。いくらいい装備で訓練が行き届いていても燃料、弾薬、食料がないと軍隊は戦えない。その流れが悪くなる。モスクワ撃沈は軽視できないというレベル以上の影響を与える。

 巡航ミサイル防衛は対空戦の中で一番難しい。ロシア海軍からすると黒海にはそれほど強敵はいないので、黒海艦隊の装備も一世代前、訓練の程度も、乗員の戦闘に際しての心構えも十分ではなかったのではないか。

 これはロシア海軍の杜撰さ、甘さによるところが大きい。敵国の海岸に近づく時は陸上発射型の対艦ミサイルが非常に大きな脅威になるので、まず入念な事前攻撃により対艦ミサイルや対空ミサイルのような主防衛システムを潰してから近づくのが鉄則である。

 それをしなかったのは、ウクライナ軍の能力をなめてかかったか、そういう情報がなかったか、あるいは作戦の基本ができていなかったかだ。アメリカのやり方できちんと訓練をしている日本や西側の標準から言うと、そんな作戦は立てない。

 4月に入ってから軍事作戦を統括する総司令官をようやく任命したのには驚愕した。陸軍だけでも15万から20万人という大部隊を動かすのに1人の総大将もいないというのは近代戦では考えられない。

 ロシア軍がウクライナ軍をなめきって、そもそも総司令官はいらないと考えていたのか、そこは不明であり、このことのみでロシア軍を過小評価するつもりはないが、ウクライナ侵略戦争に投入されたロシア軍は近代戦を戦う資格さえないと言われても反論さえできない。

 サイバー攻撃で最初にウクライナ軍の神経系を断ち切って戦闘意欲のないウクライナ兵をロシア軍の量で一気に蹴散らせば100時間で終わると高を括って戦争を始めたのか、とさえ思わざるを得ない。

 失敗の条件はすべてそろっていた。「キーウ作戦でロシア軍は2割の被害を受けた」と米国防総省が発表した。これは「2割しか損害を受けていない」ではなく「2割も損害を受けた」と理解すべき事態である。キーウや北西部の戦いの問題点は少しも改善されていない。

 2014年はウクライナ軍の準備が全くできていなくて赤子の手をひねるようにクリミアを併合できたが、今回はNATOもウクライナ軍も、短く見て昨年秋から、長く見ると14年以降、準備していた。

 それに対して総大将も置かずに戦争を始めるとは、ロシア軍は近代戦を理解していないというか、杜撰としか言いようがない。プーチン大統領は対独戦勝記念日の5月9日までに決着をつけたいと考えているようだが、無理だろう。

衝撃!!ロシア黒海艦隊の旗艦「モスクワ」の撃沈

 現地時間4月14日(日本時間4月15日)、ロシア海軍黒海艦隊の旗艦スラヴァ級ロケット巡洋艦「モスクワ」がウクライナ軍の地対艦ミサイルで撃沈されたニュースは衝撃だった。

、ロシア国防省の発表では、「モスクワ」は前日に爆発炎上し総員退艦、その後まだ浮いていたのでセヴァストポリ港に戻ろうと曳航中に悪天候で浸水、沈没したというが、これは明らかにウソである。ウクライナ側の地対艦ミサイル「ネプチューン」2発により船腹に穴が空き、退艦の間もなく、沈没した模様だ。まだ未確認だが艦長以下殆どの乗組員が艦と運命をともにしたという情報がある。

例えて言うなら日本海海戦で旗艦「三笠」が撃沈され、東郷平八郎・連合艦隊司令長官以下全乗組員が死んだというに等しい損害だ。加えて「モスクワ」はオデッサなどウクライナ南部の制空権を握っていた広域防空艦だった。長射程の対空ミサイルを持ち、この地域の制空権を握っていただけに、その損害の大きさは計り知れない。ウクライナ空軍は南部での行動の制約が大きく解かれたことになる。もうひとつ、これでロシア軍は揚陸艦隊を出してオデッサなどでの上陸作戦を行うことがほぼできなくなった。地対艦ミサイルの威力を知ったからである。

ウクライナ側の発表では乗員510人全員が死亡したと主張する。これを裏付けるロシア側の動きが伝えられている。「モスクワ」の母港であるセヴァストポリで「モスクワ」の乗組員の「追悼式」が行われ、供えられた花輪には、「船と船員に捧ぐ」と書かれた献辞が読み取れる。全員死亡かどうかは別にしてかなりの犠牲者が出たことは明らかなようだ。

しかも、犠牲者には艦長のアントン・クプリンも含まれるという。ロシア国防省が「全員退艦したあと、木曜日の夜に船内の火災が原因で沈没した」とするが、虚偽である可能性が高い。

「全員退艦、曳航中に荒波で‥」というロシア国防省発表がウソ臭い理由は「モスクワ」を撃沈したウクライナの地対艦ミサイル「ネプチューン」の特性からも読み取れる。「ネプチューン」は亜音速の対艦ミサイルで、アメリカ軍のハープーン対艦ミサイルやロシア軍のKh-35対艦ミサイルとよく似た性能を保つ。ウクライナ国産の新兵器で少し前に生産に入ったばかりで、最初の1個大隊の編成完了が4月の予定だったので、ぎりぎりでロシアとの戦争に間に合った兵器だ。

攻撃はトルコ製バイラクタルTB2無人偵察攻撃機などでまず洋上索敵を行い目標艦を発見したらネプチューン地対艦ミサイルで攻撃するという手順で、ウクライナ側の発表ではオデッサの海岸近くからセヴァストポリ沖に遊弋中の「モスクワ」に発射された。発射機は4連装で海面すれすれに飛び、目標艦の喫水線近くを破壊する。命中すれば直ちに浸水するから、ロシア側が言うような退避や母港に曳航中などの余裕はなかなか取れないものなのだ。

「モスクワ」をめぐるもう一つの話題がある。ウクライナ侵攻が始まった2月24日、巡洋艦「モスクワ」は黒海に浮かぶウクライナ領のズミイヌイ島(スネーク島)を攻撃し、駐留する国境警備隊員に降伏を促した。すると兵士は「ロシアの軍艦よ、くたばれ」と降伏勧告を拒否した。攻撃で全員死亡したとみられていたが隊員らは生存が確認され、3月24日に捕虜交換で解放されていた。

この国境警備隊員の勇敢な姿はウクライナ国内で称賛を集めたが、国境警備隊員が叫んだ通り、「くたばった」のは「モスクワ」の方だった。ウクライナ郵便局は、急遽、巡洋艦「モスクワ」に中指を突き立てる姿を描いた切手を100万枚印刷発売した。英BBCは14日、「モスクワ」が沈没したというニュースを受けて、ウクライナ国内の郵便局に行列ができていると伝えた。

またこの台詞を吐いた兵士、ロマン・グリボフ氏は捕虜交換で釈放されたあと、故郷のチェルカースィ州に戻っていたが、急遽チェルカースィ州知事の表彰を受けることになり州庁舎でメダルを授与された。

表彰式の動画では知事と握手を交わしたあと「ウクライナの人々の支援に心から感謝します。私たちは、みなさんの支援に勇気づけられています。強さと正義は私たちの側にあります」と述べている(写真右)。

また「ロシアの軍艦よ、くたばれ」というグリボフのセリフは、ウクライナの抵抗を象徴するフレーズとして全国に広まっているという。

戦争の有り様を変えた

国と国との戦争というのは、人類はベトナム戦争以降知らない。パレスチナやアフガンがあるではないかと言われるかもしれないが、あれは「紛争」である。

次世代の戦争はIT戦でドローンやロボットが主役だと言われるが、それは漫画の世界である。しかし、それに近いものになる予兆のようなものがウクライナで見られる。ブログ子はその代表的な礼を「ブチャの虐殺」の中でみた。

前回、「ブチャ惨劇に目をそらすな」であえて遺体の写真を紹介した。その中で 「自転車の近くで倒れていた赤いマニキュアを付けた女性」の遺体があった。ロシア軍が撤退したあと現地に入ったウクライナ軍が遺体一つ一つを検証してロシア軍の戦争犯罪として記録している。

目撃者の証言で、彼女は今月、53歳の誕生日を迎えるはずだったイリーナ・フィルキナさんだとわかった。彼女は今年からメイクアップの勉強を始めた。インスタグラムへの投稿やコンサートでどんなファッションをするかを楽しみにしていた。

そのネイルが確認の手がかりになったのはなんとも悲しいが、彼女は育て上げた2人の娘をポーランドに逃し、自分はブチャに残って住民やウクライナ軍のために料理をしていた。

さらに驚くことに、彼女が虐殺される瞬間はドローンでしっかり記録されていた。写真でイリーナさん(右側の赤丸)が自転車を漕いでゆっくり進んで来て角を曲がった途端、ロシア軍の戦車が火を吹く(左の赤丸)ところが捉えられている。戦車には直射砲と機銃が備えられているが、吹き出す噴煙の量が機銃にしては大量であるがこの動画からはわからない。

同時にロシア軍の戦車の兵士が「やったぜー!」と叫んでいるのが録音されている。戦車隊は普通は、目標物を捉えた隊長が射撃命令を出す。ロシア軍の命令系統が乱れていて、戦車の軍用無線が使えなくて兵士がケイタイでやり取りしていて、これがIT先進国のウクライナ軍に傍受されているという報告はかねてから伝えられているが、それを証明するようないい加減さである。

この発砲した戦車はT-72B3Mといい、1972(昭和47)年から旧ソ連陸軍に配備が開始されたT-72戦車の改良型。古いが105mmライフル砲よりも強力な125mm滑腔砲を装備し、鋼鉄にセラミックやガラス繊維などを挟み込んで強度を高めた複合装甲を車体前面に採用するなど、極めて優秀な戦車だが、今回ウクライナ軍にやられまくっている。開戦から1か月間で撃破されたロシア陸軍の戦車の総数が109両で、うち25%強にあたる28両がこのT-72B3Mである。

ロシア軍は侵攻から1ヶ月で4000台以上の軍用車両を失った。中でも戦車の損害は大きく、配備の15%ー20%を失ったと推定されている。西側によりウクライナ軍に供与された携行式対戦車ミサイル「ジャベリン」の威力というのもあるが、軍事大国、ロシアにしてはただごとでない損害だ。なぜか、このことに就いては後日また書く機会があるだろう。

昨9日ロシア紙が報じるところでは、
アレクサンダー・ベスパロフ大佐の葬儀は金曜日にロシアの閉鎖都市オゼルスクで行われ、彼は「ウクライナでの特別軍事作戦中(これは、モスクワが「戦争」という言葉を避けるために使う用語)に殺されたという。ベスパロフは第59親衛戦車連隊の司令官だった。

ロシア軍の戦車隊の指揮官の死亡は9人目である。これまた異常な数字である。

ブチャ惨劇に目をそらすな

劣勢にさらされているロシア軍が首都キーフから撤退、東南部のマリウポリへ戦力を振り向けた。そのあとにウクライナ軍とメディアが入ったが目にしたのはロシア軍の虐殺の惨状だった。

首都キーウ近郊ブチャに入った記者の報道の一部を抜き出しただけでもーーーーー・

「道のあらゆる場所に、遺体が横たわっていた。建物の地下室では体の一部が切断され、拷問されたとみられる子供の遺体も」」

「解放のうれしさは感じない。あるのは犠牲者への悲しみだけだ」

「ある人は自転車に乗ったまま横倒れに、またある人は買い物袋を握りしめ路上で息絶えていた。橋には対戦車用の地雷が散らばり、舗装道には不発弾が突き刺さる。別の村では1日の捜索で1500超の爆発物が見つかった」

英紙サンデー・タイムズによると、領土防衛隊としてキーウ近郊の警備に当たる庭師のトロビクさん(53)は、「ここは地雷だらけだ。家の中も、庭も、道も。別荘地の地下室で18人の遺体を目にした。(ロシア軍は)拷問していたんだ。一部は耳が切り取られ、ほかは歯が抜かれていた。14歳くらいの子供の遺体もあった」

ブチャに入ったAFP通信の記者は、「静かな並木道に、見渡す限り遺体が散乱していた」と表現した。記者が確認した約20人の遺体は、いずれもジーンズやスニーカーなどを身に着けており、軍人には見えない服装だったという。

 犠牲者の多くは18~60歳の男性だとの情報もある。撤退決定を受けて露軍が組織的に住民を殺害したとも考えられる。露軍部隊が遺体や民家に地雷を仕掛けているとされ、民間人被害の全容把握には時間がかかりそうだ。

 ウクライナのゼレンスキー大統領は3日、米CBSニュースのインタビューで、「ジェノサイド(集団殺害)だ。ウクライナの国と国民全体を抹殺しようとしている」と強く非難した。

◇ ◇ ◇

報道の多くは虐殺の明白な証拠写真だというのに、画像にモザイクを掛けたり、遺体に毛布をかけたあとの画像にしたり、手を加えている。特に日本のメディアはこうした写真をいっさい使わない。

ブログ子はこれは人道に名を借りた「報道犯罪」だと断言する。新人記者で地方支局にいた時、一日に一度は死体を見た。多くは遺体の写真を撮った。交通事故、殺人事件、変死、鉄道自殺‥吐き気をもよおしたこともある。だが、そのうち情けないことに慣れて素手で触ることもあった。当時から紙面に遺体の写真を載せることはあまりなかったが、いまは、例え残酷に見えても載せるべきだと思っている。なぜなら、遺体写真は多くのことを伝えているからだ。

後ろ手に縛られて射殺された遺体。明らかに虐殺のあとだ。

犬を連れて散歩中だったのだろう。道端に横たわる人。犬がロープで繋がられたままそばにいるところを見ると、ロシア軍はブチャ撤退の直前に民間人を射殺したものと思われる。

「こども」とロシア語で書かれた車も蜂の巣にされ中にいたこどもが複数殺害されていた。

この女性はロシア軍が撤退する時いきなり射殺された、と目撃者は語る。

目撃者によるとこの人は自転車で側道を通っていていきなり射殺された。

ウクライナ戦争で脳内お花畑論義の者ども

終戦時、6歳だった。8月15日は山形県米沢市で疎開先の母の実家で迎えた。朝から人夫が庭の築山に防空壕を掘り始め、昼の詔勅を聞いて午後から埋め戻していた。食糧難もほとんど知らない幸せな「戦争を知らない世代」だ。だが、新聞記者としてその後「戦争」についていささか勉強したせいで、残念ながら結局、世界は「力」が支配している事を知っている。

ロシア・ウクライナ戦争の深刻な写真を見るたびに悲惨さに涙が出る思いでいる。しかし、今や「戦争を知らない世代」が大半の日本人の頓珍漢、能天気かつ歴史に無知な議論の横行に暗澹、落胆、の思いである。

呆れる議論の筆頭は、「侵略者が来たら降伏しよう」論である。橋下徹元大阪府知事とテレビ朝日のコメンテーター玉川徹がその筆頭株である。

橋下徹は、最初ロシアが侵略してきたときは「命が大事だからみんな逃げて20年後に戻ってこい」といい、それが批判を浴びると「ウクライナ政府が早く降伏しろ」といい始めた。それでは侵略したロシアが得すると批判されると「NATOが軍事介入しろ」と言い始め、それが核戦争の原因になると批判されると、今度は一転して「ウクライナもNATOも譲歩してロシアと話し合いしろ」と言い出した。今でも「降伏と政治的妥結は異なる。戦闘によって終結を目指すのか、政治によって終結を目指すのかだ。この恐怖心を戦闘によって払拭するなら、一般市民の被害がどれだけ出ても戦い続けるしかなくなる。生き残るチャンスがあるならそれを無闇に棄てるべきではない」と言う。山本夏彦は弁護士を「三百代言」といったものだ。そのとおりだ。

テレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」で玉川徹は、「ウクライナが退く以外に、市民の死者が増えていくのを止められない。死者が増えないようにすることも指導者の大きな責任」と、太平洋戦争で降伏を拒んだ日本軍まで引き合いに出してまくし立てた。

降伏は祖国の喪失を意味する。国土と時には国語を失うことが即「亡国」であることの意味がこの2人には理解できない。テレビで見たが、西部の国境まで妻子を送り届け、涙しながらウクライナの戦場に戻る男性の姿に心打たれた。この2人には今や無意味でしかない憲法9条が刷り込まれているのだろう。、民族や国家の独立、尊厳、自由を守ること。そのために個人も命をかけて戦うことが如何に尊い行為か、いまウクライナ人に学ぶべきときである。

過剰な「安全神話」を振り回すテレビもある。元NHKで今ニュース番組「news zero」(日本テレビ系)のキャスターを努める有働由美子アナがキーウにいるジャーナリストと結んで中継していたとき、そのジャーナリストが「空襲警報が鳴っていますね。聞こえますか? これ空襲警報です」と落ち着いた様子で話すと、有働アナは「すぐに逃げてください! 中継は後でしましょう」と打ち切った。

戦争取材はジャーナリスト一番の出番である。しかし命の危険がある。現場ではそれなりの安全を確保して行動している。この場面でも「大丈夫です。そういう状況ではない」と言っていたから、安全と判断してのことだ。なのに、遥か離れた日本の感覚で「逃げましょう」では、なんのための中継か笑い草だろう。

ロシア通でなる日本維新の会の鈴木宗男参院議員は「ウクライナが東部で数機のドローンを使ったことがプーチンを挑発した。(侵攻前に)話し合いを断ったのはウクライナのゼレンスキー大統領だ。原因をつくった側にも責任がある」と主張する。戦争となると「どっちもどっちだ」という手合が出てくるものだが、一方的に9万の軍隊で侵攻してきたロシアにこの論法はなかろう。こんな人物が北方領土問題でロシア通顔されたのではたまったものではない。

元新潟県知事の米山隆一と結婚した作家の室井佑月は、「わけの分からぬ夫婦」と呼ばれるが、ロシアの核使用の可能性と福島第一原発を結びつけて「読売新聞には、ウクライナ情勢の悪化に伴うエネルギー価格高騰を受け、与野党から原子力発電所の再稼働を求める声が高まっている、と書かれていた。人はどうしてこうも愚かなんだろう」と書く。先日、東京電力管内はブラックアウト寸前までいった。原発はEUも安全・安価と舵を切った。まともに考えればそうなるべきなのに、それがわからないとは愚かな人間はこの人のほうだろう。

愚かといえばルーピー・鳩山由紀夫元首相が23日、自身のツイッターをで「ウクライナのゼレンスキー大統領が国会で演説すると言う。私は訊きたい。なぜ彼はロシアの侵攻を止める外交努力をしなかったのか。熱狂の先に平和はない。今、日本人に必要なのは、誰を支持する、しないと叫ぶことではなく冷静になることである。そして、如何にして平和を創るかに協力することである」と大言壮語した。侵略された方に何の外交努力もしなかった、とは呆れる。

ゼレンスキー大統領の演説に猛反対した珍種が2人いる。

ジャーナリストの鳥越俊太郎はツイッターで「私はゼレンスキーに国会演説のチャンスを与えるのには反対する! どんなに美しい言葉を使っても所詮紛争の一方当事者だ。台湾有事では台湾総統に国会でスピーチさせるのか?アメリカ議会でremember Pearl Harborなら日本の国会ではremember Hiroshima & Nagasakiでしょう! それ以外にはない! そこを外したら奴は単なるアホだ!」

 立憲民主党の泉健太代表は「私は日本の国民と国益を守りたい。だから国会演説の前に『首脳会談・共同声明』が絶対条件だ。演説内容もあくまで両国合意の範囲にすべき。それが当然だ」

 演説内容について事前に合意を形成すべきだとする主張には「誰かと打ち合わせてのんびりやるようなことではない。普通の国が平時に国会で演説したいと言ってるのとは、わけが違う。死に物狂いで世界に訴えているのだ」と、党内からも批判の声があがると、翌日、「演説自体に反対したわけではない」と釈明した。

2人ともわけが分からぬ点で共通している。来たるべく参院選の結果が予想される口説の途だ。

. ロシアとウクライナは「どっちもどっちだ」という、ガキの喧嘩で両成敗論をひけらかす輩もいる。
代表的なのは、れいわ新選組で「国際紛争を解決する手段として武力の行使と威嚇を永久に放棄した日本の行うべきは、ロシアとウクライナどちらの側にも立たず、あくまで中立の立場から今回の戦争の即時停戦を呼びかけ和平交渉のテーブルを提供することである」(談話)

これはまず憲法解釈が間違っている。憲法第9条に定める「戦争の放棄」は、侵略戦争の放棄を定めるもので、すべての武力行使を禁止するものではない。話し合いで解決するぐらいなら、最初から戦争は起こらない。そんなきれいごとでは、国際紛争は解決しない。しかしきれいごとで済ますのが日本のテレビだ。

『サンデー・ジャポン』(TBS系)で杉村太蔵、爆笑問題・太田光はこういう。

杉村「『ウクライナ可哀想だな』『ウクライナ頑張れ』って世論になってますよね?」「ただ、ちょっとやっぱ冷静に考えなきゃいけない。戦争をしてる片方に加担するってのが本当に日本の外交に正しいのか?」などと疑問を呈すると

太田「本当に僕もそう思う。『圧倒的な正義』ってのは無いんじゃないかってことですよね。プーチンは悪ですよ、僕らから見たらね、ただ、プーチンの中にも彼なりの正義がある」

生きるか死ぬかの戦いをしているウクライナにこのお茶の間談義である。ブログ子はかねてから、テレビのワイドショーから三百代言の弁護士と、お笑いとか芸能人のキャスター・コメンテーターを外せ、と言っている。とりわけ、ウクライナ・ロシア戦争の今は軍事記者、軍事専門家、とくに防衛省で参謀本部的部署に就いていた人物しか要らない。

3月28日の産経新聞で元官房副長官・松井孝治が語っていた。
「平和、独立、自由という価値のうちで、日本は戦争で平和を喪失した経験はあるが、独立や自由を失った歴史的記憶が(GHQの平和的な占領の短期間を除けば)ない。世界史上の多くの異民族支配と比較すれば、日本は穏やかだったといえるが、それでも日本が味わった様々な悲劇や屈辱は少なくはなかった。そのことを考えれば、国民の生命を守るとともに、民族や国家の独立、尊厳、自由を守ることがもっと重視されてしかるべきではないか」

まったく、同感である。

プーチンの「終わり」の兆候が次々と

プーチンがウクライナに侵攻してあと1週間ほどで1ヶ月になる。全ロシア軍の90%を動員して2週間ほどで一気に勝敗を決するつもりだったのが、とてつもない誤算でもたついた結果、逆にプーチンが窮地に陥っているのが明白になってきた。侵攻は「終わりの始まり」と書いたが、そのとおりになってきた。

衝撃のシーンを見た。ロシア国営の「第1チャンネル」で14日夜、ニュース番組の放送中に、キャスターがニュースを読み上げていたところ、女性が紙を掲げて突然現れ、「戦争をやめて。プロパガンダを信じないで」などと書かれた紙を持った女性がスタジオに登場する場面があった。

画面はあわてて別の映像に切り替わったが、この場面はしっかりと世界に流れて衝撃が広がった。国営メディアにも反対の声があることがあらわになったからだ。タス通信によると、女性は同チャンネルの編集担当者で、警察署で取り調べを受けている。ウクライナ南部オデッサの出身という。この女性が事前に撮影したとみられる動画では、父親がウクライナ人、母親がロシア人と明かして「今ウクライナで起きていることは犯罪だ」などとウクライナ侵攻を批判していた。

一方、ロシアの独立系メディア「メドゥーザ」は13日までに、プーチン大統領に侵攻前のウクライナ政治情勢を報告していた連邦保安局(FSB)の対外諜報部門トップ、セルゲイ・ベセダ氏が自宅軟禁に置かれたと伝えた。侵攻が計画通りに進まないための「懲罰」だとみられている。

FSBの前身は泣く子も黙る諜報機関KGB(ロシア語でカー・ゲー・ベー)で2004年以降18年間、ウクライナを含む旧ソ連圏での全諜報活動を担ってきたが、ベセダ氏らはプーチン氏を怒らせないように聞きたいことばかりを報告していたが、侵攻開始から約2週間が経過し、プーチン氏がようやく「誤り」に気付いたという。

いまや全世界の90%がウクライナ支持に回っている、ロシアを支持しているのは中国(控えめだが)、ベラルーシ、北朝鮮くらいのものだ。ウクライナ難民は1000万人になるという予測もある。日本も受け入れを決めたが、難民生活もそれほ長くならないで母国に戻ることができるとブログ子は思う。

翻って、毎日放送されるテレビのワイドショーのお気楽なことはどうしたものか。さっきまでコロナを「解説」していたコメンテーターが手を返して「ウクライナ」を語るというのはあまりにひどかろう。

難民の窮状にお涙頂戴式のコメントは要らない。クラウゼヴィッツの「戦争論」を読んでからコメントしろとまでは過大要求しないが、口喧嘩の末、戦争状態になった今は双方の軍事力や武器知識などに通じた軍事記者や参謀関係にいた防衛省OB、単なる軍事オタクでない軍事評論家に出番を回してもらいたい。

クラウゼヴィッツは2世紀も以前の人だがブログ子が覚えているのは「戦争は契約である」という一言だ。外交で決着できなくて戦争になった場合、負けた方は勝者側の要求を呑むとい「契約」であるというものだ。「戦争とは政治の継続である」というのもある。

メデイアは「侵攻」と表現しているが、ロシアがとっている戦術は、クラウゼヴィッツの言うところの「侵略」である。侵略とは、占領と異なり、その領域を長く保持する意図はなく、単に疲弊させることを目的として行われる。ザポリッジャ原発の占拠もその一つである。重要インフラを押さえ、主要都市を押さえ、そして首都を押さえることで、ウクライナ政府や国民の抵抗を抑え、戦意を喪失させようとしているわけである

長くなるので止めるが、戦争の勝敗は外的要因と内的要因で決着するものだが、上で紹介した片々としたニュースではあるが、ロシア敗北への一歩であると、ブログ子は考える。

この項をアップしてから、彼女の名前はマリーナ・オフシャンニコワさんといい、事前に用意していたビデオメッセージの内容がわかった。

◇  ◇  

今ウクライナで起きていることは犯罪だ。そしてロシアは侵略国家だ。その侵略の責任は、プーチン大統領にある。私の父はウクライナ人で、母はロシア人だ。これまで一度も敵対したことはない。(ロシアとウクライナの国旗の色があしらわれた)私の首にかかるネックレスは、ロシアが今すぐに、同胞を殺す戦争を止めねばならないという象徴だ。私たち兄弟国は、まだ和解ができるはずだ。

残念ながら、私は過去何年もの間「第1チャンネル」で働き、クレムリンのプロパガンダを広めてきた。今は、それを本当に恥ずかしいと思っている。テレビ画面を通じ、ウソを伝えることを許してきたことを恥じている。国民を、何も考えないようにすることを許してきたことを恥じている。

すべてが始まった2014年、私たちはただ黙っていた。クレムリンがナワリヌイ氏を毒殺しかけたとき、私たちは抗議集会に行かなかった。この非人間的な政権をただ黙って見ていた。

そして今、世界中が私たちに背を向けてしまった。私たちの子孫は今後10世代にわたり、この兄弟殺しの戦争の恥を洗い流すことはできないだろう。

私たちロシア人は思考力があり、賢い。私たちの力だけが、この暴挙を止めることができる。抗議集会に参加してほしい。何も問題はない。彼らは私たち全員を拘束することなどできないのだから。

今こそプーチンの本心が読み取れる木村汎氏の言論

このブログで前回、故・木村汎・北大名誉教授(2019年没)の言論に触れた。ロシア人を知るにはスラブ民族というものを知らねばならない。プーチンの本心は北方領土など返還する気はない。ソ連邦の再興あるのみ‥など現在のウクライナ情勢を読み解くのに必要な知識が山盛りだった。

そんな折、3月2日の産経新聞に同紙「正論」に寄稿した、プーチン政権の本質に鋭く迫るコラムが再掲された。6年前のコラムだが一つも古びていないばかりか、ロシアのウクライナ侵略の狙いと、少し先になるだろうが落とし所について鋭い言論なので転載する。
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「ミニ・ソ連」再興こそがプーチン大統領の白昼夢なのだ

 北海道大学名誉教授・木村汎 (2016/1/8 )

ソ連邦は、1991年12月に崩壊。早いもので、今年は25周年に当たる。冷戦終結は、既に2年前の89年12月にブッシュ米大統領とゴルバチョフ・ソ連邦最高会議議長によって口頭で宣言されていた。とはいえ実際終焉したのは、ソ連解体後とみなすべきだろう。

糾合できない旧構成国

もっと重要なことがある。人間の心理や営みは複雑で、国際政治は決して一直線を描くような形で進行しない。揺り戻しを含むある程度の紆余曲折は当たり前である。実際、その後のロシアではソ連邦復活の試みが後を絶たない。国際場裡でも「冷戦の再開」と騒がれる事態すら発生している。

ソ連崩壊は無念千万-。プーチン現大統領がこのような思いを抱いていることは間違いない。大統領は2つの発言を行った。まず、2003年に述べた「ソ連崩壊を惜しまない者には、心(ハート)がない。だが、その復活を欲する者には、頭(ブレーン)がない」。05年には多くの評論家が引用する有名な言葉を語った。「ソ連邦の解体は20世紀最大の地政学的な大惨事である」。確かに後者のほうが大統領の本音に近く、「ミニ・ソ連邦」の復活こそがプーチン氏の強い願望に違いない。

実際、クレムリン復帰が確実視された11年10月、プーチン氏は「ユーラシア連合」構想を発表した。旧ソ連邦構成諸国のうち、既に欧州連合(EU)や北大西洋条約機構(NATO)に加盟済みのバルト三国を除くなるべく多くの国々を糾合して、ロシア指導下に「ミニ・ソ連」を創ろうというスキームだった。

ところが、それから4年経過し「ユーラシア経済連合」と名称を改めるなど、同構想の内容を若干修正したにも拘わらず、既に参加を決定したのはロシアを除くと4カ国にすぎなかった。カザフスタン、ベラルーシ、キルギス、アルメニア。いずれも自国内に多くのロシア系住民を抱えるか、経済的、軍事的理由から要請を断れない弱みをもつ国々だった。

敵に回したウクライナ

他方、ジョージア、ウクライナ、アゼルバイジャン、モルドバといった有力な旧ソ連構成諸国は同「連合」参加をボイコットした。これら4カ国は、それぞれの頭文字をとったGUAMと名乗る組織を形成済みだった。モスクワの覇権主義を嫌い、ロシアから距離をおく姿勢を明確にしていた。

ロシアは、さらに08年夏のジョージア侵攻、14年3月のクリミア併合によって、ジョージア、ウクライナを明らかに敵に回した。そればかりか、これらの国々と同様の運命に遭うかもしれないと危惧するモルドバやアゼルバイジャンの反発を招いた。

なかでも、ウクライナを「ミニ・ソ連」プロジェクトから離反させるだけでなく、EUやNATOの方へ事実上追いやる結果を招いたことは、ロシアにとり大きなマイナスだった。というのも、ウクライナは地理、人口、国力などから見て、旧ソ連構成諸国のなかで群を抜く重要な地位を占めているからである。プーチン氏発案の「ユーラシア連合」の成否は、ひとえにウクライナが同プロジェクトに参加するか否かに懸かっているといっても過言でない。

戦術家・プーチン氏の過ち

プーチン大統領の決断によって、ロシアがクリミアを獲得したことは確かに事実かもしれない。だが、そのためにロシアが支払わねばならない代償は実に大きかった。仮に主要8カ国(G8)からの追放、経済制裁、「ミニ冷戦」の発生を別にしても、ロシアはウクライナ全体を失ってしまった。ウクライナは米欧、EU、NATO側へ急接近を遂げる一方、「ユーラシア連合」構想へ参加する意欲をゼロにしてしまったのだ。戦術家・プーチン氏は、なぜそのような戦略上の過ちを犯したのだろうか。私の説明は、こうである。

プーチン氏とて生身の人間である。理性(頭)にばかりもとづいて、政治的判断を行っているわけではない。時にはエモーション(心)に動かされて、衝動的な決定を下すこともあろう。まさにクリミア併合の決断は、その一例だったのではないか。

クリミア併合は、14年3月16日に実施された住民投票の結果、圧倒的多数がロシア編入に賛成していることが判明。それを知ったプーチン大統領は2日後に電光石火のごとく併合に踏み切った-。しばらくの間こう説明されていた。

だが、この通説はその後、大統領自身の言葉によって否定された。はるかそれ以前の段階、2月23日午前7時にクリミア併合の決断は下された。これが、今日の公式説明なのである。ちなみに、この時、同決定に参加した4人は全てKGB(元ソ連秘密警察)の勤務経験者であり、外務省関係者は加わっていなかった。

最重要決定は心でなく頭で行うべし。己が述べた至言を、プーチン氏自らが必ずしも常に実行しているわけではない。

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このほか、下記の木村汎氏の評論が
https://www.sankei.com/tag/topic/world_104/#kimuraに掲載されている。ぜひ読んでいただきたい。

領土保全がプーチン思想の柱だ(2019/2/11)
プーチン氏は法を恣意的に操る(2018/11/22)
露の軍事的威圧を黙認するな(2018/09/18)
プーチン氏は二重尺度を恥じない猛獣(2017/09/04)
早とちりしてロシアに接近すると日本は百年の計を誤る(2016/10/05)
「ミニ・ソ連」再興こそがプーチン氏の白昼夢(2016/01/08)
核の恫喝を弄するプーチン戦術(2015/07/06)
プーチンの「実像解明」に総力を(2015/03/05)
日本こそ対露制裁の旗振り役に(2014/10/01)
「策士」策に溺れたプーチン氏(2014/07/23)
プーチン氏がウクライナの恩人?(2014/06/27)
「異質のロシア」研究を再興せよ(2014/03/27)
ロシアこそ、日本が必要になる(2013/03/26)